いつも疲れてる? 疲労回復のための10のヒント。
Culture 2021.06.28
いつも疲れてる? そんな生活を見直す10つのヒント。 photo : Getty Images
毎晩ちゃんと寝ているはずなのに、いつも疲れが取れない? その慢性疲労には、いろいろな理由が考えられる。栄養学、心身医学の医師ニナ・コーエン=クビと、脳病理学者ジョエル・アドリアン(1)の解説をもとに、その理由を探ってみよう。
1. 運動を後回しにする
疲れたからソファに直行...は逆に疲れを増幅させる。 photo : iStock
疲れているから、ランニングやヨガのオンラインクラスは後回しにしてソファに直行......は間違い! 運動しないと、その夜の睡眠が乱されてどんどん悪循環に陥ってしまう。
アドリアンによると「スポーツをしたり身体を動かしたりすることで、体内時計が調整され、睡眠の質が向上する」という。さらに身体を動かしている間、脳からエンドルフィンが分泌され、気持ちを落ち着かせてくれる。また、身体を動かすと刺激を受けエネルギーがわくので、疲労対策にもなる。
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2. しっかりと食事を取ってない
ランチは小さなサンドイッチだけ、はNG。 photo : iStock
仕事が忙しいと、ランチ休憩の時も画面を見ながら何かかじるだけだったり、Zoomミーティングの合間に小さなサンドイッチを口に入れるだけになってしまったりする。もし、あくびが止まらず力が出ないと感じているなら、その食事が原因だ。
体調を整えるためには、健康的な生活をしつつ、身体に良い食事を取ることが大切。士気を高めるためには、マグネシウムと食物繊維が豊富な食材を選ぼう。
ランチには、オメガ3脂肪酸を含む脂質の多い魚、野菜、果物、全粒穀物を取るようにする。夕食は消化を楽にするため軽くすませる。とはいえ、空腹にならない程度にボリュームを出す。例えば、全粒粉のパスタや穀物など、緩やかに消化吸収をするタイプの糖分、でんぷん質のもの、できれば白身の肉のタンパク質などがよい。
すしやフルーツジュースなど、満腹感を感じるよりもむしろ食欲が出てしまう食べ物にはご注意を。
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3. 水分補給が足りない
水分不足も疲労の原因に。 photo : iStock
一日中、水分補給について考えるのは難しい。しかし、水を飲むというシンプルな行動が疲労対策になる。栄養学専門医コーエン=クビは「人の身体は毎日1.5ℓの水分を失うとされています。失った分を補わなければ、脱水症状になり、筋肉がこわばりやすくなったり、細胞の交換がうまくできなくなったりして、それが疲労の原因になるのです」と説明する。水分補給のためには、1日にコップ10杯の水を飲もう。
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4. ビタミンD不足
ダークチョコレートには抗酸化物質とマグネシウムが含まれており、不安をコントロールしたり、筋肉の緊張をほぐしたり、気持ちを落ち着かせてくれたりする。ただし、1日に板チョコひとかけらで十分。 photo : Getty Images
ビタミンDはもともと身体の中にあるが、太陽の光を浴びることで初めて活性化する。このビタミンDこそが、免疫システムを強化し、体調を整えてくれる。「体内リズムは自然の光に影響を受けるので、秋や冬になるとぐったり疲れるのは当然です」と、コーエン=クビ。そんな中、少しでもビタミンDを摂取するために脂質の多い魚を食べるようにしよう。
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5. 鉄分、マグネシウム不足
マグネシウム、鉄分補給のための食材は常にストックしておこう。 photo : iStock
鉄分が不足するだけで、エネルギーは失われる。思いがけないことが要因で鉄分不足を引き起こしている場合もある。「例えば、お茶の飲みすぎると、鉄分の吸収を妨げます。また潰瘍や消化不良による出血で、鉄分不足に陥ることもあります。さらに、銅タイプのIUD(子宮内避妊器具)を使用していて、生理の量が多いという人も鉄分が不足している可能性があります」とコーエン=クビは言う。
「鉄分が不足すると、疲労感が続くだけでなくいわゆる『むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)』につながることもあります。そうなると、睡眠が浅くなり何度も目が覚めてしまうのです」とアドリアン。鉄分を補給して体調を整えるため、インゲンマメやレンズマメなどの豆類、野菜、赤身の肉、ドライフルーツ、穀物などが棚にストックされているか確認しておこう。
マグネシウム不足も、疲れやストレスを引き起こす原因になる。実際、マグネシウムは筋肉や神経の伝達に関わっている。不足していると、緊張やイライラ、不安や疲れを感じるだろう。不足分を補うため、ダークチョコレートや豆類(白インゲン、ソラマメ、レンズマメ)、ナッツ類などを買いにでかけよう。
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6. 働き過ぎ
疲れが取れないのは、疲れが限界に来ているサインかも。 photo : iStock
きちんと睡眠をとっているのに、毎朝ベッドから出るのが一苦労で、職場に着いたばかりなのに動きが鈍い? それは、おそらく働き過ぎでバーンアウトしかけの状態。脳病理学者アドリアンによると「バーンアウトの特徴は、身体だけでなく脳のエネルギーが低下すること。ありったけの力をかき集めないと、他の人と同じタスクをこなせない」という。
バーンアウトを改善するためには、14時間連続して眠ればいいというものではない。回復するには、本当の意味での静けさと、ゆっくりと休息できる期間が必要だ。
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7. 周りの人がネガティブ
周囲のネガティブな気にあてられて疲労が増す...なんてことも。 photo : iStock
愚痴を言うためだけに声をかけてくるような苦手な同僚とは、少し距離を取った方がよいだろう。「脳には『ミラーニューロン』(接している人が元気だと自分も元気になり、周りの人の調子が悪いと自分も気が滅入る)がある」とコーエン・グビは説明する。周囲のネガティブな気を吸収してしまわないように。
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8. 寝具が合っていない
マットレスを10年以上使っているのであれば、いまこそ交換時だ。photo : iStock
ベッドに転がって横になっているのが好き? それこそが、慢性疲労の原因かもしれない。もし10年以上同じマットレスを使っているなら、いまこそ買い替え時だ。
「寝具が合わないからといって必ずしも身体が痛くなるわけではありませんが、寝ている間に何度も目が覚める原因にはなります。結果、昼間も眠くて無気力になってしまうのです」とアドリアン。理想的なマットレスはないが、「とにかく寝心地が良いものを」とアドバイスする。
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9. 自然光に当たっていない
自然光に当たると、幸福ホルモンの分泌にもつながる。 photo : iStock
疲れて憂鬱な気分? それは自然光が不足しているせいかもしれない。自然の光は、幸福感をもたらすホルモンであるエンドルフィンの分泌を促してくれる。そのため、日が短くなる10月に突然、季節性のうつ病が始まり、3月には突如治る、ということも起こりうる。自然の光が足りない場合は、自然光再現照明などを使うなどの方法がある。
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10. お酒をよく飲む
アルコールが疲労の原因になるのは言わずもがな。 photo : iStock
飲み会の誘いはたいてい断らないことにしている? それはいいとしても、アルコールの取り過ぎには要注意。飲み過ぎは眠りの質も下げてしまう。
「睡眠の質は、年齢とともに自然に低下し、歳を重ねるごとにアルコールの影響を受けやすくなります」とアドリアン。さらに「アルコールで寝付きが良くなると思っていても、その後の睡眠は浅くなり、何度も目が覚めることになります」と付け加える。
(1)ジョエル・アドリアン(Joëlle Adrien)は、フランス国立保健医学研究機構(INSERM: Institut national de la santé et de la recherche médicale)の研究ディレクター。
*2017年に掲載した記事を再編集しています。
texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction:Aki Saitama