運動の効果は、汗をかいた量で決まる?

Culture 2021.07.04

運動した後、額や鼻がうっすらと湿る程度で、ほとんど汗をかいていないことがある。運動が効果的にできていない証拠? 2人の専門家が疑問に答えてくれる。

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発汗量は、運動強度と環境要因によって左右される。photo : Getty Images

どんな内容のスポーツでも、トレーニング中の発汗は比較的少ないもの。頬がわずかに赤くなり、額が汗で少しだけてかる程度。そこでこんな疑問が生まれてくる。もしかして、そんなに効率的に運動できていない? かいた汗の量イコール運動の効果なのだろうか?

環境要因

答えはノンだ。発汗は運動効果を表すものではない。体温を調整するための自然な現象だ。「激しい運動をすると、血圧が上がり、筋肉が活性化されて熱を放ち、体温が上昇します。体温を調整するために、身体は汗腺を活性化させて、汗をかかせるのです」とバイオメカニクスとヒューマンパフォーマンスの修士号を持つ運動生理学の専門家クロエ・ランティエ(1)は説明する。したがって、運動中に起こるこの体温調節は、単に身体が機能している証拠だ。

言うまでもなく、身体の状態は人それぞれ。もしあなたが、30分間のジョギング後、他のランニング仲間はシャワーをほぼ必要としない程度にしか汗をかいていないのに、あなたが汗だくであれば、それはあなたの代謝が良いからだ。また、体重が重い人も汗をかきやすい傾向にある。「より重い身体を動かすので、熱が発生しやすく、汗をかきやすいのです」と専門家は言う。

また、トレーニングする環境に応じて、汗の量は増えたり減ったりする。例えばジムでは、エクササイズ自体に特に効果がなくても汗をかきやすい傾向にある。「外を走る場合、私たちは外気の中を移動するので自分の周りの空気は滞ることはありません。一方、マットの上にじっとしている場合、皮膚まわりの空気循環が悪く冷却が妨げられるため、より多くの汗を出して身体を冷やそうとします」とスポーツコーチのウィリアム・シャンコニーは説明する。

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運動の強度

風が吹いているときや気温が低いときなどに外を走ると、汗をかいても、あまりかいていないように感じる。これは、スイミングプールで見られるのと同じ現象だ。

プールでのエクササイズはジョギングと同じくらい効果的で同じくらいの量の汗をかくが、そう感じにくい。したがって、体内のミネラル分を補うため、運動後の水分補給を忘れないことが重要だ。

発汗は運動の強度によっても左右される。「運動が激しければ激しいほど汗をかく」とクロエ・ランティエはコメントする。「しかし短時間の筋トレ運動を回復タイムをしっかり取りつつ行う場合、心肺機能よりも筋肉によりフォーカスしているので、汗はあまりかかないかもしれません。それでも、運動は効果的にできています。週を追うごとに筋肉量が増え、エネルギーを消費しやすくなるでしょう」とウィリアム・シャンコニーは付け加える。

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効果の兆し

エクササイズが効果的に行えたかどうかを知るには、「脈拍と呼吸のリズムが上がり、筋肉が機能していると感じる必要があります」とクロエ・ランティエは言う。そうでない場合、運動の強度が十分ではないかもしれない。シャンコニーよると、疲労感や安らぎを覚えたら体内でエンドルフィンが生成されていることを意味し、良い兆候だと言う。

最後に、筋肉などの痛みは目安ではく、痛みがひどい場合は回復ストラテジーがうまくいっていないことを意味する。スポーツを効果的に行うためには、トレーニングの間隔を空けることが重要だ。汗をかくかどうかにかかわらず!

(1)クロエ・ランティエ(Chloé Lanthier)は『Trail, les clés pour performer sans se blesser』(Glénat社刊)の著者でもある。

 

text : Kassandre Fradelin (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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