【立田敦子のカンヌ映画祭】リアル開催を現地レポート! 果たしてコロナ対策は⁉

Culture 2021.07.09

フランス時間の7月6日(火)に、第74回カンヌ国際映画祭が開幕した。コロナ禍によって2020年は開催を断念し、今年も、例年の5月から7月に開催時期を延期しての開催である。国際映画祭の最高峰としてのプライドもあり、オンライン開催を頑なに拒否していただけあり、映画業界でも今後の映画祭の試金石としても注目されている。

ラインナップはかなり充実したものになったといえるだろう。メインのコンペティション部門の作品数は、通常は18〜22作品のところ、昨年から繰越された作品があったり、この1年、国際映画祭が通常通り開催されなかったこともあり、24作品が選出されている。ジャック・オディアールやアスガー・ファルハディ、フランソワ・オゾン、ナンニ・モレッティ、ショーン・ペンなどの常連組のほかに、ショーン・ベイカーやヨアキム・トリアーらフレッシュな顔ぶれも並ぶ。去年のオープニングを飾るはずだったウェス・アンダーソンの『フレンチ・ディスパッチ』(原題)も、通常のコンペにラインナップされた。

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『Everything Went Fine(英題)』を引き下げて登場したフランソワ・オゾン監督や俳優アンドレ・デュソリエ、ソフィ・マルソー、ジェラルディン・ペラス。マスクなしでレッドカーペットを歩くフランス勢。Photo:Getty Images

作品については追々触れるとして、まずは今年の運営体制。万全のコロナ感染対策を宣言して始まっただけあり、参加者にはワクチンの接種証明、あるいは48時間以内のPCR検査か抗原検査での陰性証明が義務付づけられ、場内ではマスク着用が推奨されている(フランスでは屋外ならばマスク着用の義務がなく、カンヌの町でも多くの人がマスクなしで道を歩いている)。

PCR検査はメイン会場のすぐ近くに特設の検査場が設けられ、映画祭参加者ならば無料で検査が受けられる。検査結果が出るのは6時間以内。映画祭が始まる前は、2日に1回受ければいいとたかを括っていたが、結果が出るまでの時間を考えると、ほぼ毎日受けざるをえない状況だ。検査は、前もってサイトから10分間隔の時間を選んで予約ができるので効率はいい。システムもかなりきちんとしていて、並ぶこともなく受付から終了まで10分かからない。結果はメールで送られ、記者会見場やいくつかのスクリーニングルームのあるメイン会場「パレ」は、そのQRコードのチェックを受けないと入れない。

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カンヌの会場内のPCR検査場。Photo:Atsuko Tatsuta

また上映の混雑や混乱を避けるために、今年からプレススクリーニングもインターネットでの完全予約制になった。上映2日前の午前7時から予約が開始される。このシステムは機能的でもあるけれど、一方でキャンセルは上映2時間前までで、チケットをホールドしたまま鑑賞しないとペナルティとなり、数回重なると予約自体ができなくなる……とも聞く。映画祭では、取材などの都合で急遽予定を変更しなければならないことも多々あるので、もう少し融通を利かせてほしい気もする。

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細かく予約しているので混雑や混乱はなく、スムーズに検査を受けられる。Photo:Atsuko Tatsuta

また、新しいシステムなので不具合もあるようだ。私もソワレ(正式上映)の上映をリクエストしていたのだが、チケットが取れた知らせのメールが来たのは、上映開始時間の30分後だった。これでペナルティとなっても困るので、ことの次第をプレス担当者にメールしておいたが、ほかでも同じような話があったと聞いた。同じ上映のe-ticketが2通届いたという人もいた。まあ、このあたりはシステムの問題なので、徐々に改善されていくだろう。
しかし、いちばん驚いたのはコロナ対策の矛盾である。先ほど「パレ」への入場には、ワクチンの接種証明かPCR検査または抗原検査での陰性証明が必要といったが、メインのスクリーニング会場「リュミエール(レッドカーペットが敷かれた階段のある正式上映が行われる会場)」や「ある視点」部門やプレススクリーニングのメイン会場として使われている「ドビッシー」といったスクリーニング会場へは、これらの証明は不要なのだ。ドレスアップした招待客たちにいちいち証明書の提示を求めていたらいろいろ問題が起こりそうだが、コロナの感染対策としてはかなり杜撰ともいえる。そして、レッドカーペットを歩く人たちのほとんどはマスクも着用していない。

実際のところ、去年の秋以降、リアルで開催された映画祭でクラスターが発生したという噂も聞く。今年のカンヌは一体どういう結末が待ち構えているのか……それを予想するのは、パルムドールを当てるよりも難しいかもしれない。

text:Atsuko Tatsuta

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