2021年 第74回カンヌ国際映画祭 シャルロット・ゲンズブール、初監督作品の題材は?
Culture 2021.07.09
カンヌ国際映画祭の常連、女優のシャルロット・ゲンズブールは初監督作品『Jane par Charlotte』で、母ジェーン・バーキンを優しく細やかに描写した。
2000年2月19日、シャルロット・ゲンズブールは、ダニエル・トンプソン監督の映画『ブッシュ・ド・ノエル』でセザール賞助演女優賞を受賞、ジェーン・バーキンが娘を祝う。 photo : Benainous/Duclos/Getty Images
女優として36年のキャリアがあるシャルロット・ゲンズブール。カンヌ国際映画祭にこれまでに10回参加しており、女優賞も受賞した。だが今年のカンヌ国際映画祭では、監督としてレッドカーペットを歩く。
アウト・オブ・コンペティション作品である『Jane par Charlotte』は、女優であり歌手であるシャルロットの初監督作品。7月21日に50歳を迎えるシャルロットが、母ジェーン・バーキンをそっと優しく細やかに描写したドキュメンタリーだ。
ちなみに今年の2月、シャルロットの異父妹ルー・ドワイヨンも、フランス版グラミー賞であるヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュージックの授賞式の席上で、74歳の母ジェーンをほめ称えたばかり。
---fadeinpager---
「私にとって母は、絶対的な気品そのもの」
「この映画は、母に近づき、見つめ、一緒の時間を過ごすための口実でした。口実ができたことをとても嬉しく思っています」と、仏エル誌のインタビューでシャルロットは語っている。
コンサート会場、パリのヴェルヌイユ通りの父セルジュ・ゲンズブールの家、旅先......シャルロットは、この3年間、カメラ片手に母の姿を追い続けてきた。
母ジェーン・バーキンは言うまでもなく、セルジュ・ゲンズブールのミューズで元伴侶。ジェーンは12月パリ・マッチ誌のインタビューで、こう語っている。「この企画に参加できてとても楽しいわ。娘が私にこんなに関心があるなんて、思ってもみませんでした。父親のセルジュの存在が娘の人生で大きいことは知っていましたし、父親が亡くなって娘がどれだけ悲しみ、苦しんだかも分かっていました。でも、私のことをそんなに知りたがっているとは思っていなかったんです」
一方、シャルロット・ゲンズブールは、1970年代の伝説的カップルである両親の作品に敬意を表したいと思っている。「私にとって母は、絶対的な気品、美しさ、純粋さ、そして偉大な知性そのものです」と、シャルロットは2017年に仏マダム・フィガロ誌の記事で語っている。
---fadeinpager---
18歳で初めてカンヌへ
ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールの一人娘であるシャルロットは、1991年3月2日にセルジュ・ゲンズブールが亡くなった時、まだ19歳だった。
その1年前、彼女はタヴィアーニ兄弟の映画『太陽は夜も輝く』で、初めてカンヌ国際映画祭にやって来た。以来シャルロットは、ラース・フォン・トリアー(カンヌ映画祭でシャーロットが女優賞を受賞した『アンチクライスト』、および『メランコリア』)、ドミニク・モル(『レミング』)、ジュリー・ベルトゥチェリ(『パパの木』)、ギャスパー・ノエ(『ルクス・エテルナ 永遠の光』)、アルノー・デプレシャン(『イスマエルの亡霊たち』)など、フランス内外の有名監督たちと定期的にカンヌに参加してきた。
『なまいきシャルロット』のヒロインとして人々の記憶に刻み込まれているシャルロットにとって、11回目のカンヌ映画祭出品となるこの作品は、とりわけ感慨深いに違いない。
text: Stéphanie O’Brien (madame.lefigaro.fr)