【立田敦子のカンヌ映画祭】ティルダ・スウィントンがコロナ禍の映画祭にエール!

Culture 2021.07.19

カンヌ国際映画祭のオフィシャルパートナーであるラグジュアリーグループ、ケリングが、映画界で働く女性たちの地位の向上を目標として開催している「ウーマン・イン・モーション」のディナーが開催された。今年の「ウーマン・イン・モーション・アワード」は、メキシコ出身の女優でプロデューサーのサルマ・ハエック・ピノー。

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女優でプロデューサーのサルマ・ハエック・ピノー。

24歳の時に英語が話せないままハリウッドに渡るも、『デスペラード』(1995年)で脚光を浴びる。その後『フリーダ』(2002年)で、メキシコ出身の女性画家フリーダ・カーロを演じてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、ラテン系女優躍進の先駆けとなった。制作プロダクションを設立し、近年では映画やTVのプロデューサーとしても活躍。女性の監督やスタッフを積極的に起用している。ケリングがカンヌ映画祭のオフィシャルパートナーとなった2015年からは、夫でケリングの会長である実業家フランソワ=アンリ・ピノーが主催している「ウーマン・イン・モーション」の立役者として知られるが、コロナ禍を乗り越えての開催となった記念すべき年に、満を持しての受賞となった。
 また、若手の映画人に贈られる「2021ヤング・アンド・タレント・アワード」は、デビュー作『ベイビー・ティース』(19年)がベネツィア国際映画祭で新人俳優賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)を受賞して脚光を浴びた、オーストラリアの監督シャノン・マーフィーが受賞した。

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オーストラリアの監督シャノン・マーフィー。

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 ディナーとは別日に開催された「ウーマン・イン・モーション」のトークイベントには、今年のカンヌで6本の出演作がある女優ティルダ・スウィントンが登場。

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「映画の始まりからずっと、女性の脚本家や女性の監督が世界中にいて、とても力を与えられてきました。私たちは、何か新しいものを求めて戦っているのではなく、何かを拡大させるために戦っているのです。そして、女性が映画を作っているということに自信を持ってもらいたいのです。監督でなかったとしても、映画製作に携わっている女性がいないわけではありません。共同脚本、照明、衣装、脚本監修など、すべての作品に女性の映画製作者が参加しています。大事なことは、映画制作の現場に女性がいないことに不安を感じている人が、映画祭の監督名簿の名前だけを見ているのではないかということ。男性が監督している作品でも、一部の例外を除いて、ほとんどの作品には女性監督の感性が息づいていることを忘れているのではないでしょうか。ですから、不安になることはないと思います。拡大というのは確かにそうですね、そこにエネルギーを注ぐことです。でも、女性が映画を作っているんです。素晴らしいことです」
『パラサイト 半地下の家族』(19年)でパルム・ドールを受賞したポン・ジュノ監督は、『スノーピアサー』(13年)などでティルダ・スウィントンを起用し、性差を感じさせない俳優として絶賛している。
「映画に限らず、一般的に、芸術とは『無境界』、絶対的な超越、自由、そしてある種の遊びのための場所だと、私はいつも感じています。その『無境界』を、たとえばひとつの性別の中でのパフォーマンスや仕事だけに浪費することは、この自由な空間を非常に無駄にしているように思えるのです。そして、それは私にとっての遊びです。これまでずっと遊びだったのです。ご存知のように、私はパフォーマーとしての訓練を受けたことはありませんし、演技にはあまり興味がありません。演技については何も知りませんが、パフォーマンスには興味があり、特にライブパフォーマンスにはとても興味があります。でも、自由な感じ、遊びの感じ、幼稚園のような雰囲気が、パフォーマーとしての私の魅力なのです」
 また、「今年はとても特別な年です。というのも、私たちは何もしないでいなければならなかったし、何もしないでいることは、私たち全員にとって、とても辛いことでした。そして、最初に出た言葉は安心だと思います。私たちが、また一緒に戻ることができたことに安堵しています」と、昨年コロナ禍で延期になったカンヌ映画祭にとって、今年が特別な年となったことを強調した。 「これからは、いままでのようなビジネスとは違います。もういつもの状態ではないのだということを、皆理解しつつあると思います。そして、私たちはただ適応し続けなければならないのです。ですが、私には、それがもう私たちのベースになったようにも思えます。私たち全員が適応しなければならないのです」

text:Atsuko Tatsuta

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