美学を持つ人たちの選ぶ、美しい映画。 迫り来る「水」の美しさに、身も心も浸らせて。

Culture 2021.08.20

美意識を育んでくれる一方、選ぶ段階からセンスが問われる映画・本・音楽。多方面で活躍する憧れの彼女たちが独自の観点で選んだ、主人公の生き方や洗練の描写など、至極の美を体現する作品を紹介。

映画作家で振付師、ダンサーとしても活躍する吉開菜央さんが選んだのは、ルシール・アザリロヴィック監督の『エヴォリューション』。この作品に吉開さんが見いだす美しさとは?


RECOMMENDED >> CINEMA

身体感覚に訴えかける、没入感の高い描写に身も心も浸らせて。

『エヴォリューション』

210616-cinema-05.jpg

「この映画は部屋を真っ暗にして、なるべく鮮明な大画面で、全身リラックスし、画と音だけに没入できる環境を整えて観るのがおすすめ。全編を通してさまざまな“水”の描写があり、心地いい瞑想のようなうっとりした時間が流れます。でも、ふとした瞬間、映画の演出に監督自身の性癖のようなものが見え隠れする。完璧な映像美の中にあるほんの少しの人間的な癖が、くすぐったい可笑しさとぴりっとするような鋭い痛みを秘めている。違和感に満ちた世界の肌触りを、迫りくる美しさで知覚させようとする心がうれしくて、作品を鑑賞するたび、監督が生まれてきてくれたことに感謝してしまいます」

210616-date-cinema-05.jpg

『エヴォリューション』
●監督・脚本/ルシール・アザリロヴィック 
●2015年、フランス映画 
●本編81分 
●Blu-ray&DVD2枚組¥6,380 
●発売:アップリンク 
●販売:TCエンタテインメント

吉開菜央映画作家/ 振付師/ダンサー
NAO YOSHIGAI
監督を手がけた『Grand Bouquet』は、2019年カンヌ国際映画祭「監督週間」の短編部門へ正式招待された。

※『フィガロジャポン』2021年7月号より抜粋

text: Misaki Yamashita

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories