今夏「Earthshot」で人々を魅了、小松美羽の次の挑戦。
Culture 2021.09.03
大調和時代を提唱する現代アーティスト・小松美羽が、この夏『NEXT MANDALA 〜魂の故郷』で魅せた。
去る8月、昨年25周年を迎えたデジタルガレージは、あのスティーブ・ジョブズにも影響を与えた伝説的な雑誌『Whole Earth Catalog(ホール・アース・カタログ)』で世界的に知られるスチュアート・ブランドの”Earthshot”を提唱。「Whole Earth Catalogから50年、これからの未来・テクノロジーを考える」をテーマに、「ザ・ニュー・コンテクスト・カンファレンス 2021」を開催した。スピーカーには名だたる人々が名を連ね、前述のスチュアート・ブランドを筆頭に、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン、日本からは河野太郎行政改革大臣、平井卓也デジタル改革担当大臣、小泉進次郎環境大臣などが登壇。そのカンファレンスの中で、当日1時間にわたり、小松美羽もスピーカーとして登壇。この日のために、高野山別格本山三宝院で描き上げた『NEXT MANDALA ~魂の故郷』を披露した。
会場で作品の仕上げとなる「目」を描き入れ、あわせて2日前に行われたライブペイント映像と、高野山での制作過程を上映。トークセッションでは、飛鷹全隆大僧正(真言宗総本山教王護国寺長者)がゲストとして登壇、デジタルガレージ代表取締役の林郁、共同創業者の伊藤穣一が小松へ作品依頼した経緯や想いについて語った。飛鷹長者は、生きとし生けるものが見事に描かれている『NEXT MANDALA ~魂の故郷』は、弘法大師空海の教えとも通じるものがあり、「Great Harmonization(グレート・ハーモナイゼイション)」というコンセプトはこれからの時代にとって素晴らしいものであると語った。
トークセッションの様子。小松は作品を描いたときに着用していた白装束で登壇。
スチュアート・ブランドは、曼荼羅の複雑なものを組み合わせた描写は、この世界で起こっている物事が実際どのようになっているかをよく表していると語る。「曼荼羅がそれらのシンプルであるが複雑なものの理解をひとつにするとき、我々はこの世の中が複雑に構成されていることを敬うだろう。(小松美羽の)この作品は今の世の中にも合っており、素晴らしい」とコメントを寄せた。
次のライブペイントを行うのは、長野県の善光寺。7月下旬に長野県立美術館で展覧会の開催を機してライブペイントを行ったが、長野県は小松の出身地でもあり、特別な場所。9月11日には長野県の善光寺にて、2001年に起きたアメリカ・同時多発テロからちょうど20年となることもあわせて、世界に向けて祈りを捧げる奉納の儀のライブペイントを執り行う。作品は善光寺に奉納されるので、いつか目にする機会に恵まれるかもしれない。
善光寺で以前開催されたイベントの様子。
text: Natsuko Kadokura