立ち直り力を鍛える、失敗した子にかけるべき言葉とは?

Culture 2021.09.07

From Newsweek Japan

文/マンディー・シェイン(豪エディスコーワン大学教育学部講師)

親としては子どもに失敗させたくないと思ってしまうものだが、それでは失敗の経験から学ぶ機会を奪うことになる。

子どもたちの繊細な自尊心を傷つけないために、彼らを失敗から守ってやろう――最近ではそんな風潮が強い。これは一見すると、理にかなっているようだ。失敗は嫌なものだし、格好悪いし、失望を味わう上にまた最初からやり直さなければならなくなる。

だが、子どもたちを失敗から守ることは大きな逆効果をもたらす。それまで以上に困難に対処できなくなってしまうのだ。問題は、子どもを守ろうとして彼らから学びの機会を奪ってしまうこと。失敗は、他の方法では決して得られない恩恵をもたらしてくれる。子どもを見守り、失敗から上手に学ばせるために親がすべきことは......。

iStock-922559002-aa.jpgphoto: iStock

失敗で落ち込むことは問題ないと教える。

失敗すると、失望や挫折を味わうもの。だがこうした感情から守られた子どもは、自分が無力で何もできないと考えるようになる。

本当に必要なのは、失敗を避けるのではなく小さな失敗への対処法を学んでいくことだ。日々のちょっとした挑戦は、子どもの立ち直り力を鍛え上げるチャンス。彼らは失敗してネガティブな感情を味わっても前に進み、次は違うやり方を試すようになるだろう。

失敗体験を成長と学習の機会にする。

失敗がもたらす最大の利点は、自分の決断に対する当然の結果を学べること。「Xをしたら、Yが起こる」「勉強をしないと、落第する」「練習をしなければ、選手になれない」などいたってシンプルな概念だ。

こうした結果を経験させることで、子どもたちに決断する力を付けてやれる。数々の研究によれば、子ども時代に失敗から守られた人ほど、成人後に落ち込みがちで人生への満足度が低いことが分かっている。

小さな失敗とその結果に対処させる。

失敗は学習の基礎だ。新しいことを経験して能力を伸ばすとき、失敗は避けて通れない。失敗は「無能の証しで、避けるべきもの」と考えていては、挑戦まで避けるようになる。

心の成熟した子どもは、知性とは鍛えられるし、努力で変えられるものだと考える。反対に、凝り固まった考え方の子どもは、人の能力は生まれつき決まっていると信じている。だからこそ、心が成熟した子どもは、失敗とはさらなる挑戦と新たな方法を試すためのきっかけだと考える。凝り固まった子どもは、失敗は愚かさの証しだと考える。

個性より努力を褒める。

失敗で傷ついた子どもの心を埋めてあげるために、褒め言葉を掛けるのはよくあること。だが大げさな褒め方はかえって逆効果になることが、研究で示されている。両親が過剰に褒めたり(「ものすごく上手にできたね」)、個性に焦点を当てた褒め方をしたりすると(「あなたってかわいい子ね」「頭がいいね」「特別な子だ」)、子どもの自尊心は低下する。

個性を重視した褒め方を続けていると、子どもは達成感や自尊心を育むために必要な、失敗や挑戦を避けるようになる。努力ではなく、子ども「そのもの」を褒めているからだ。

両親は、「一生懸命頑張ったね」などと努力を褒める言葉を掛けたほうがいい。子どもは自分の賢さや美しさを変えることはできないが、努力の度合いは自力で変えられる。

Mandie Shean, Lecturer, School of Education, Edith Cowan University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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