速攻美肌レシピも。フランスで注目される日本食の秘密。
Culture 2021.09.26
フードジャーナリストの増井千尋が、フランスでレシピ本『Belle peau(美しい肌)』を発表、みずみずしい肌を取り戻すための料理を提案している。美容におすすめの食べ物で、くすみともニキビともお別れ。パリで活躍する著者に話を聞いた。
さつまいものサラダ。photo :Flammarion
――食事と健やかな肌を結びつけるというこの本のアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
編集担当者が、日本にコラーゲンスープ専門のレストランがあり、コラーゲンスープが肌に効くという話を聞きつけてきたのです。そのときは驚きましたが、興味をひかれて、このテーマについて考えてみることにしました。それから友人の木部真知子さんに連絡を取りました。彼女は美容業界で働いた経験があり、リンパドレナージの普及に熱心に取り組んできた人です。日本の病院の腫瘍科に浮腫の緩和ケアとしてこの手法を紹介する一方で、食事療法と患者の血色の関連について研究しています。彼女とふたりで詳しく調べたところ、日本食には肌にいい食品が豊富に使われていることがわかりました。日本やアジアでは一般的に健康と食生活を結びつけて考える習慣があるためでしょう。
――コラーゲンはどのような食品に含まれているのでしょうか?
フランス料理では敬遠されるテクスチャーですが、粘りのある食品や、液体をゼリー状に固める効果がある食品には必ず含まれています。日本ではこうした食品が好まれ、高級和食の世界でも煮こごりと呼ばれる、ゼリー状の魚料理があるほどです。コラーゲンをたっぷり摂ろうとすると仔牛の足、というフランス料理の伝統とはずいぶん違います。本のなかでは、鳥の手羽をベースにした、あまり「クセのない」スープのレシピを提案しています。手羽を弱火で数時間煮たブイヨンに野菜を足し、酒と醤油で味付けをする…。このブイヨンは冷蔵庫で3日、冷凍庫で1カ月保存できます。肌に滑らかさと弾力を取り戻すのに最適なスープです。
――本の中のレシピではよく酒が使われています。血色のいい肌のためには、定期的に飲むべきですか?
もちろん、そうしたことをおすすめしているわけではありません! 飲むよりも、少量を調理に使うほうがよく、加熱してアルコール分も飛ばします。ただ実際に、酒には肌の老化を防ぐ効果があります。米を発酵させて作るわけですから。炊いた米には水分が80%含まれています。つまり保湿につながります。その証拠に、酒造りの工程で米を混ぜる作業を担当する職人はみな、すばらしくきれいな手をしています!
ステーキのレシピ。photo: Flammarion
――肌を美しく保つには、ほかにどのような食品がおすすめですか?
まず、地元で採れる季節の食材を料理するという、日本食の原則を取り入れましょう。身体にいいし、すなわち肌にもいいということです!それから動物性タンパク質もきちんと摂りましょう。肌の再生に重要です。とくに豚肉は肌を保護するビタミンBが豊富です。肉の脂身を食べるのもおすすめです!毎日ラードを食べるという意味ではありませんが、少量をときどき食べるのは大人の肌のケアにとってプラスになります。植物性脂質を豊富に含むゴマも取り入れてみてほしい。にんじん、さつまいも、かぼちゃ、柿など、βカロチンが豊富な果物や野菜も欠かせません。さらに微量元素を含む貝類や甲殻類は、特ににきびなどの肌の問題の軽減に効果があります。
――おすすめしないのは?
コーヒーとスパイスは避けたほうがいいでしょう。体内を刺激するため、肌にも影響が出ます。
45のレシピを紹介した「Belle peau(美しい肌)」の表紙。増井千尋、木部真知子共著『Belle peau』Flammarion刊
――速攻美肌レシピは?
大根とにんじんのジュースを1週間から10日間飲むといいです。真知子さんにアドバイスされて試してみましたが、とても効果があります。真っ白い新鮮な大根とにんじんをミキサーかジューサーにかけるだけです。野菜の量は好みで調節してください。抗酸化作用のあるビタミンEを補うために、帆立貝と一緒にいただくのがベストです。7日後には、肌が明るく、すべすべになり、輝きが増しているのがわかります。
にきびや敏感肌に:
アボカド、柑橘類、アーモンド、うなぎ、バナナ、鳥の胸肉、柿、全粒粉パン、豆腐、ハム、ハードチーズ
シミ、肌のくすみに:
ブロッコリー、にんじん、ドライフルーツ、玉ねぎ、オレンジ、りんご、玄米、さつまいも、キウイ、緑茶
シワ、かゆみに:
レモン、海苔、赤キャベツ、みかん、ココナッツオイル、卵、洋ナシ、ゴマ、プレーンヨーグルト
text : Vanessa Zocchetti(mamdamefigaro.fr)