英国王室に欠かせない存在、メイベル・アンダーソン。

Culture 2021.10.29

フィリップ王配が4月に亡くなられて以来、チャールズ皇太子アン王女の乳母だった女性がエリザベス女王の話し相手になっていることを10月24日のサンデー・タイムズ紙が報じた。女王陛下の忠実なしもべの肖像。

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ケンジントンのギブス・スクールに到着したメイベル・アンダーソンとエドワード王子。(ロンドン、1968年10月7日) photo:Getty Images

「女王に呼ばれたメイベルが、女王と一緒にテレビを見ていることもあります」と、王室の側近はサンデー・タイムズ紙に語った。一緒に見るのは女王が好きなドラマの「コロネーション・ストリート」や「イーストエンダーズ」、「ダウントン・アビー」といった番組だとか。また探偵小説とクロスワードパズルが好きな点も一致し、95歳どうしのふたりは「とても気が合う」ようだ。そのためか、4月にフィリップ王配が亡くなってからはメイベルがエリザベス女王とともに過ごすことが多くなった。

気がかりなのは女王の健康状態だ。最近、ロンドンの病院に検査入院をしており、バッキンガム宮殿はエリザベス女王がイギリスのグラスゴーで開催されるCOP26(第26回気候変動枠組条約締結国会議)にリアル出席しないことを発表した。

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震えていなかったのはただ一人

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(左から)ユーストン駅を歩くチャールズ皇太子、アン王女、アンドルー王子、メイベル・アンダーソン。(ロンドン、1963年8月8日) photo:Getty Images

そんなエリザベス女王をメイベルなら支えてくれるだろう。メイベルは70年以上にわたって女王にお仕えしてきた。相互信頼の関係が始まったのは1950年代後半のことだった。1948年生まれのチャールズ皇太子と1950年生まれのアン王女のために新しい乳母が必要だった。

候補者の中で、メイベルだけはロイヤルカップルの前で「葉っぱのように震えて」おらず、しかも当時、30代の女性としては非常に珍しい独身でもあった。もっともバッキンガム宮殿の規約で「マダム」と呼ばれることになるが。

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父親を亡くして

メイベルはすぐにロイヤルファミリーのお気に入りとなった。児童心理学を学んだことはなかったが、14歳で働き始め、几帳面な人物であることを1960年3月にタイム誌は紹介している。また、父親を早くに亡くしている。リバプールの警察官だった父親は、第二次世界大戦中、ドイツ空軍がイギリスに対して行った大規模な空襲「ザ・ブリッツ」の犠牲となった。フィリップ王配とエリザベス2世は、国のために父を亡くし、健気に生きるメイベルを自分たちの下に迎え入れることにした。

毎日、朝と晩、メイベルはエリザベス女王に子どもたちの一日の行動を詳細に報告し続けた。やがてふたりの女性は固い絆で結ばれるようになり、チャールズ皇太子、アンドルー王子エドワード王子、アン王女が成人した後もそれは続いた。

メイベル・アンダーソンは、エリザベス女王が所有するウィンザーの地に家を与えられ、おかげでロイヤルファミリーとの距離がさらに近くなり、気軽に女王と一緒にお茶や映画を楽しむこともできるようになった。

text:Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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