メーガン夫人の炎上、アルゴリズムが自動で延焼させていた。
Culture 2021.11.02
photo: Caitlin Ochs-REUTERS
批判ツイートの約70%に特定の「攻撃専用アカウント」が関与しており、アルゴリズムがそうしたアカウントを「おすすめ」する実態が明らかに。
夫であるハリー王子とともに英王室からの離脱という大騒動を巻き起こし、今も何かと世間を賑わせ続けているメーガン夫人。しかし彼女をめぐるSNS上の「炎上」は、意図的に起こされたものである可能性があるようだ。
ツイッターにはメーガン夫人への誹謗中傷を専門に行うアカウントのネットワークが存在し、その数は83アカウントに上ることが、データ解析会社のレポートで明らかになった。これらのアカウントの影響が及ぶユーザー数は、推定で計1700万人に上っているという。
データ解析企業ボット・センティネルが2021年10月26日に発表した内容によれば、同社は2020年1月以降に投稿されたハリー王子夫妻に関するツイート11万4000件から、メーガン夫人を標的にした悪意ある投稿の発信元を調査したという。
その結果、メーガン夫人について否定的な投稿をすることだけを目的に開設されたツイッターアカウントが、55個も存在することがわかった。また、それらの投稿を拡散するために使われる別のアカウントが28個存在することも明らかになった。
ツイッターはBuzzFeed Newsに対し、今回のレポートで指摘された「情報とアカウントについて、積極的に調査を行っている」と語る。しかしボット・センティネルによれば、調査中にそうした悪意あるアカウントを2件閲覧しただけで、ツイッターのアルゴリズムは自動的に、別の誹謗中傷アカウントをフォローするよう「おすすめ」してきたという。
レポートには、「私たちは調査中、友だちもフォロワーもいないツイッターアカウントを使用した。ところが、2つのヘイトアカウントを閲覧しただけで、ツイッターのアルゴリズムは、多くのヘイトアカウントをフォローするよう勧めるようになった」と記されている。「一度だけでなく、何度もツイッターはそうしたヘイトアカウントをフォローするよう勧めてきた」
「私たちの考えでは、今回のレポートに記載されているアカウントは、プラットフォームの操作とスパム、攻撃的な行為やハラスメント、個人情報の公表に関するツイッターの規約に違反している」
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ヘイト拡散を呼びかけるアカウントも。
そうしたヘイトアカウントのうち、最も人気が高いアカウントのフォロワー数は2万5117人で、2番目が2万1935人、3番目が2万1844人だった。83アカウントのフォロワー総数は18万7631人で、その影響を受けるユーザーの総数は推定1700万人に上るおそれがあるという。
メーガン夫人は、今回の調査が対象としている期間より前の2019年の時点で、自らが経験したソーシャルメディアでの誹謗中傷について「耐えられないと言えるほどだ」と発言していた。
ボット・センティネルのレポートは、「調査で明らかになったのは、こうしたヘイトアカウントがツイッター上で、恥ずかしげもなく連携していることだ」と論じる。「そして、ツイッターで一緒にヘイトを拡散しようと他ユーザーに公然と呼びかけるアカウントも、少なくとも1件あった」
「ツイッターがかつては、そうした一次アカウントの40%を利用停止にしていたことと、それらのアカウントが利用停止措置を回避するための対策を講じていたことを、私たちは確認した」
「プロフィール欄で『パロディ』と謳っているアカウントもあるが、実際にはパロディなどではない。別のアカウントは検知されるのを避けるため、メーガン妃に対する人種差別的な書き込みをする際に、遠まわしな表現を用いていた」
これらのアカウントは、ツイッターだけでなくブログやYouTubeにも同様の誹謗中傷を投稿していたことがわかった、とレポートには書かれている。調査対象となったアカウントのうち1件は、フォロワー599人に向けて、メッセージを11万1031回投稿していた。別のアカウントは、フォロワー665人に向けて8万9600回投稿していた。
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攻撃的コンテンツの約70%に関与。
「私たちは解析によって、ヘイト投稿だけを行う一次アカウント55件と、一次アカウントの投稿を拡散させることを主な目的とした二次的なヘイトアカウントを28件、特定した」とレポートには書かれている。
「それらのアカウントが投稿したツイートと、18万7631人のフォロワーによる手助けを合わせると、ハリー王子とメーガン夫人を標的にしたコンテンツ全体のおよそ70%にも上る」
「当社の解析ツールと外部の解析ツールを用いたところ、そうした投稿が表示され得るユーザー数(ユニーク・リーチ数)は、合計で1700万人に上ると推定される」
メーガン夫人は2020年10月、ポッドキャスト「ティーンエイジャー・セラピー」に出演した際、「私は男女含めて、2019年に世界で最もオンライン上で誹謗中傷を受けた人間だと聞いている」と語っていた。「人前に姿を現さなかった期間が8カ月もあったというのに」
「産前と産後、私は世間に姿を現さなかったのだが、それでも、でっちあげられた話が次々と流されていた。ほとんど、生きてはいけないと思えるほどだった」。2021年3月に行われたオプラ・ウィンフリーとのインタビューでは、主要メディアで自分に関する否定的な報道が繰り広げられているせいで、自殺を考えたこともあったと明かしている。
ハリー王子は、メーガン夫人がさらされている状況を、母親の故ダイアナ妃の状況と比較し、ウィンフリーにこう述べた。「私が何よりも心配しているのは、歴史が繰り返されることだ。これまでに何度も、公の場で繰り返しそう発言してきた。それなのに今、目の前で歴史が繰り返されている。けれども、今回は以前よりもひどい状況かもしれない」
「いや、前よりもはるかに危険だと言って間違いない。人種的要素とソーシャルメディアが絡んでいるからだ。歴史が繰り返されていると私が述べるとき、それは私の母のことを指している」