東京の現代アートを世界に発信! 都内を巡るアートイベント

Culture 2021.11.05

From Tokyo Updates

東京都内に点在する50の美術館とギャラリーのネットワークを強化して、現代アートが生まれ・育まれる都市としての東京をアピールする──。かつてない規模で開催されるアートイベントが東京にもたらすものとは?

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「東京画廊70年(前期)」展示風景。東京画廊+BTAP(東京/2020年10月24日〜11月21日)Courtesy of Tokyo Gallery + BTAP, photo : Kei Okano

東京の現代アートコミュニティーを世界へ

2021年11月4日から7日にかけて、東京に息づく現代アートを世界に向けて発信するプロジェクト「アートウィーク東京」が開催されている。現代アートを牽引する50の美術館とギャラリーを参加者がバスで巡るという、かつてない規模のアートイベントだ。

このプロジェクトを主催する一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォームの共同代表理事・蜷川敦子氏によると、新型コロナウイルスの感染拡大によって交流が困難になった結果、インターネットを通じてギャラリーがコミュニティーを形成し始めた。それが次第に大きなまとまりとなって、自分たちのアートを発信していこう、という風潮が生まれたという。

このとき気づいたことのひとつが、東京には現代アートの長い歴史があり、多くのギャラリーや美術館などのインフラがあるものの、国際的な場所に向けた情報発信ができていない、ということだった。もっと言えば、国内でもあまり知られていないのではないか......という懸念も生じた。

コロナ以前と同じような活動が不可能となった今こそ、国内外に向けて、自分たちのコミュニティーを紹介していくことの重要さを感じ、その第一歩として、「アートウィーク東京」の開催を決定したと蜷川氏は説明する。

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青山目黒「HAPPA フェス」。DDAA / 元木大輔《Maruhiro Office "おうち"》 © Daisuke Motogi

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巡回バスで自分だけのアートツアーを

「アートウィーク東京」とこれまでのイベントとの違いは、都内に点在するアートスポットを巡る際のアクセスの利便性だ。

開催期間中は「アートバス」と呼ばれるシャトルバスが4つのルートを15分おきに巡回。参加者は有料パス(1000円から。中学生以下は無料パスあり)で、参加ギャラリー、美術館の前に設置されるバス停から自由にバスに乗り降りして、自分なりのアートツアーを開拓できる。移動中の車内でも、各ルートで異なるアートプロジェクトが楽しめるという。

「東京という街はとても広く、アートスポットが分散しているので、会場から会場へのアクセスが常に課題となっていました。インフラを整えてアートスポットを結び付けることで、現代アートへの造詣が深くない方でも、東京の現代アートシーンの輪郭が掴めるのではと考えています」(蜷川氏)

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銀座の「ギャラリー小柳」。Installation view of Hiroshi Sugimoto's exhibition "Opticks," Gallery Koyanagi, 2021 © Hiroshi Sugimoto, courtesy of Gallery Koyanagi

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現代アート市場の活性化にも期待

日本においてアートは「崇高なもの」と捉えられがちだが、世界ではアートは資産運用のひとつとしても取引され、その価値はきちんとマーケットで評価される。

実は東京にも、作品を生み出すアーティスト、それを市場に紹介するギャラリー、作品の価値を学術的に検証する学芸員や評論家、作品を購入し文化を支えるコレクターが集結し、すでにエコシステムが確立している。今回のイベントはこうした連携を強め、現代アート界がより発展するための一翼を担うとも期待されている。

蜷川氏は現代アートの魅力をこう語る。

「現代アートには今を生きる私たちの社会的背景が反映されているので、美術史に詳しくない方でも様々な視点から鑑賞できます。いわゆる"美しい絵"の価値観には収まらないものと出会うこともあるかもしれませんが、では美しいとは何か、誰にとっての美しさなのか、と自分に問いかけることから鑑賞は始まります。バスに乗り、ふと気になったところで降りて散策してみる......そんな風にアートとの出会いを楽しんでみてください」

Ninagawa_Atsuko_2.jpegphoto : Katsuhiro Saiki

蜷川敦子

「アートウィーク東京」共同設立者・ディレクター。2008年、東麻布にコンテンポラリーアート専門のコマーシャルギャラリー「Take Ninagawa」を設立。青木陵子、泉太郎、ヤン・ヴォー、大竹伸朗、笹本晃、山崎つる子らを紹介。

 

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text : Kimiko Abe

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