SNSでキアヌ・リーブスから連絡が来る? 変わった詐欺にご注意!

Culture 2021.11.12

キアヌ・リーブスのなりすまし詐欺が横行している。ハリウッドの有名俳優の名を騙り、ひっかかった女性たちをまんまとだまして大金をせしめるのが手口だ。

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第92回アカデミー賞授賞式でのキアヌリーブス。(ロサンゼルス、2020年2月9日。)photo:Jeff Kravitz/FilmMagic

4年ぐらい前から、偽キアヌ・リーブスがひそかにネットで増殖中だ。2017年にカナダで初の事例が発覚して以来、『マトリックス』の主演男優を騙る詐欺アカウントが急速に増えた。調査取材を行なったロサンゼルス・タイムズ紙の記者、デヴィッド・ラザルスによれば台湾でもミネソタでも発生していて、「これは世界的な現象だ。北米からヨーロッパ、アジアにかけて全世界でキアヌ・リーブス詐欺の被害者が増えている」とのこと。

やり口は古典的でAIもアルゴリズムなども必要ない。偽キアヌ・リーブスはまず、「SNSを物色して『手頃なプロフィール』のアカウントを探し出す」とデヴィッド・ラザルスはADN誌に語った。獲物にはメール、あるいはインスタグラムやフェイスブック、ツィッターのダイレクトメッセージ、もしくは出会い系サイトなどでコンタクトを取る。知り合って仲良くなったらさあ、行動開始だ。

とりわけターゲットになりやすいのは年配の女性だ。他の年代と比べてインターネット上の知り合いを信用しやすく、たとえ荒唐無稽な話であっても簡単にお金を払ってしまいがちだ。詐欺の手口には何パターンかある。ひとつは、トルコで最新作を撮影中、トルコ政府から銀行口座へのアクセスをブロックされてしまったというもの。もうひとつのパターンは次の作品を完成させるために、被害者の銀行口座を使ってビットコインを売買する必要があると信じ込ませるもの。ある80歳の女性は、愛するキアヌのためにミネソタ州の家を売り払い、キアヌの住むロサンゼルスへ引っ越した。何度も警告したものの、家族は女性を止めることができなかった。

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友達リクエスト、そしてプロポーズ

詐欺に引っ掛かるのはSNSに慣れていない孤独な高齢女性ばかりとは限らない。アメリカのラジオ局KCRWのジャーナリスト、マデリン・ブランドは自分のラジオ番組『プレス・プレイ』で自嘲気味に自分の体験を告白した。「ツイッターで友達リクエストが届いて、それがキアヌ・リーブス」だったこと、50代女性として「ワクワク」してリクエストを承認したこと。偽物かもという思いが頭をかすめたが、本人の可能性だってあるじゃない?

3,000カナダドルから家まで、偽キアヌ・リーブスたちは金品を巻き上げるテクになかなか長けている。あるケースでは2人の台湾女性が35万ドルのビットコインをだまし取られた。そのうちの一人はプロポーズされた後、次の作品を完成させるために女性の銀行口座を使ってビットコインを売買するよう頼まれた。台北の検察当局は当初、この女性がマネーロンダリングの一味ではと疑ったが、その後、詐欺の被害者ということが判明した。

しかし、なぜ他の俳優ではなくてキアヌ・リーブスなのだろう? マデリン・ブランドによれば、ある世論調査でキアヌ・リーブスは年配の女性に人気が高いという結果が出たそうだ。「この世界にはもったいない存在」とニューヨーカー誌から評されるほどの善人で、同年配の女性とデートする自称フェミニストならではの人気だろう……。

text: Mathilde Seifert (madame.lefigaro.fr)

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