「世界中が死にかけている気分」ウィリアム王子、うつ体験を告白 。

Culture 2021.12.08

Apple Watchのサブスクリプション型アプリ、Apple Fitness+内のポッドキャスト「Time to Walk」にウィリアム王子が登場、緊急医療サービスで働いていた時に経験したトラウマと、自分のメンタルヘルスへの影響について語った。

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リメンバランスデーの戦没者追悼記念式典に出席するウィリアム王子。(ロンドン、2021年11月14日)photo: Getty Images

Apple Fitness +アプリ内で提供されているポッドキャスト「Time toWalk」にウィリアム王子が登場した。「自分の中で何かが変わりました」という言葉とともにウィリアム王子は何年も前に経験したうつ体験について珍しく語った。Apple Fitness +はウォーキング習慣を推進することでメンタル&フィジカルヘルスを向上させようとするアプリだ。2021年12月6日の月曜日にウィリアム王子特別編がリリースされた。イギリス王位継承者は体験したトラウマを涙まじりに回想した。それは緊急医療サービスで救急ヘリ・パイロットとして働き、999回出動した間に体験したもので、イギリスのデイリー・メール紙によれば2017年の出来事だった。

ウィリアム王子は当時のことをこう振り返った。「一緒に仕事をしていたチームのことはいまでも覚えています。何人かとはとても仲が良かった……その時受けた緊急連絡は簡潔なもので詳細が分からず、軽傷かと思っていました」
この段階でウィリアム王子は知る由もなかったが、向かった先で待っていたのは5歳の少年、英国の新聞によればボビー・ヒューズという名前の少年であり、大事故に遭ったのだった。「すぐに少年が大変なことになっていることがわかりました。少年は不幸にも車に轢かれてしまったのです。見たくなかったものを見てしまった感じです。いずれにせよその時は少年を救うことだけを考えていました」とウィリアム王子は続けた。

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「みんなの痛みを自分のことのように感じる」

ジョージ王子ルイ王子シャーロット王女の父でもあるウィリアム王子は少年の家族のことも覚えている。「両親はヒステリックに叫び、泣き、途方に暮れて苦しんでいました。その場面が目に焼きついて離れませんでした」
救急隊は最終的に少年の命を救ったが、少年は今も脳損傷の後遺症に苦しんでいる。この体験はウィリアム王子のメンタルヘルスを脅かすほどの影響力があった。その晩、ウィリアム王子は「気が動転したまま」帰宅した。「泣いてはいませんでしたが、自分の中でなにかが変わった感じがしていました。とても緊張している自分がいました」とウィリアム王子は続けた。

本格的な反動は数週間後に起こった。「まるで誰かが勝手にドアの鍵を開けて開放してしまったかのようでした。世界中が死にかけているような気分でした。」と当時の心境をウィリアム王子は語った。こうしてウィリアム王子は悲しみの淵に沈んでいった。「独特の感覚でした。みんなの苦しみや痛みを自分のことのように感じてしまうのです。プライベートでは全て順調でした。家でも仕事でも幸せに暮らしているなかで自問し続けていました。『どうしてこんなに悲しい気持ちになるんだろう?』それで気づきました。人々が感じている悲しみやトラウマを家まで引きずってしまい、その影響を受けているということに」

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「ザ・ベスト」の曲

ウィリアム王子は救急隊の仲間のひとりのおかげで自分の中の気持ちを言語化することができた。しかし、本当の回復は、ボビー・ヒューズの家族との交流を通じてもたらされた。「本当に救われました。と言うのも……いまも思い出すと胸が詰まります」とウィリアム王子は言葉を詰まらせるとしばし黙った後、続けた。「家族の人たちは入ってきてこう言いました。『ありがとう』、そして『ほら、この子です。元気にやっていますよ』と。いまでも自分の中で冷静な気持ちではいられません。でも、人として、死の淵に立たされている人を見て、冷静な気持ちでいられるでしょうか」
その後ウィリアム王子はうつ状態から回復した。

ポッドキャストではこの出来事の他、もっと軽い話題も飛び出した。シャキーラの歌『ワカ・ワカ』を聴くとシャーロット王女が髪を振り乱して踊り始めることや、子どもの頃、父チャールズ皇太子とヘリコプターに乗った思い出、母ダイアナとドライブに出かけてティナ・ターナーの「ザ・ベスト」を一緒に大声で歌った思い出などだ。不仲説のある弟のハリー王子の名前を3回も口にしたことも注目されたポッドキャスト出演だった。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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