野村佐紀子の大規模写真展が、故郷・下関で開催。

Culture 2022.02.04

写真を撮り始めてから約30年、東京を拠点に作品を発表し続けている写真家・野村佐紀子が、生まれ故郷の山口県下関で初の大規模な個展『海』を2月11日より開催。また、同展の開催に合わせて写真集『海 - 1967 2022 下関 東京』(税別予価¥3,000 リトルモア刊)も発売される。

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『nude/ a room/ flowers』(2012年)©︎Sakiko Nomura

本展では初期から現在までの代表作約150点が展示され、代名詞ともいえる男性ヌードや、近年精力的に取り組むお供え花の新作、下関で撮影した未発表作を多数紹介する。ゲストキュレーターを務めるのは、野村の写真展を数多く手がけてきた藤木洋介。作品は長辺3メートルを超える大画面から、鑑賞者との距離を縮める親密なサイズのものまで、変化に富んだ構成が特徴だ。

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『夜間飛行』(2008年)©︎Sakiko Nomura

写真展タイトルの『海』は、日本海に面した街、下関市綾羅木に育った野村の生い立ちに起因するもの。学校からの帰り道、ちょうど海に沈もうとする夕日に向かって進むとき、街全体がオレンジ色の光に染まった風景が圧倒的なものだったと彼女は述懐する。幼少の頃よりそんな夕日を眺めては「美しいものが一番悲しい」「海は向こうの世界に繋がっているから怖い」と感じていたという。海の近くで、海の気配を感じながら育ったことは、彼女の感性の重要な部分を形作っている。そして海は、作品の中でモチーフや風景として登場するだけでなく、野村の写真の世界を言い表す、いわば象徴的な存在。静かだけれども激しい、繊細でありながら力強いといった、彼女の写真に潜むアンビバレントな魅力に通じるものなのだ。

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『GO WEST』(2019年)©︎Sakiko Nomura

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『GO WEST』(2019年)©︎Sakiko Nomura

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「トロイメライ」(2021年)©︎Sakiko Nomura

下関市立美術館 特別展 野村佐紀子 写真展『海』

会期:2/11(金・祝)〜3/27(日)
会場:下関市立美術館
山口県下関市長符黒門東町1-1
tel : 083-245-4131
開)9:30〜17:00 *入館は16:30まで。
休)月 *3/21(月・祝)は開館。
観覧料:一般¥1,200、大学生¥960 *18歳以下無料。
www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/bijutsu

text: Natsuko Kadokura

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