ハリー王子夫妻とスポティファイの、複雑な関係とは？

ハリー王子夫妻がスポティファイと大型契約を結んで以来、彼らが制作したコンテンツはひとつだけである。軌道に乗り始めたスポティファイだが、その矢先にコロナ関連の陰謀論やデマといったスキャンダルに巻き込まれることとなった。ハリー王子夫妻にとっては、ちょうど良いタイミングで巻き起こった論争となるのだろうか？

ノッティンガムを公式訪問中のメーガン妃とハリー王子。(ノッティンガム、2017年12月1日) photo: Abaca

メーガン夫人とハリー王子は、ここ数週間、スポティファイの編集方針に警鐘を鳴らす運動に加わった。問題となっているのは、スポーツコメンテーターでラジオ司会者のジョー・ローガンによるポッドキャスト「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」。独占放送を行うスポティファイの中でも、最も聴取率の高いポッドキャストのひとつとなっている。アメリカ人のジョー・ローガンは番組内で、さまざまなゲストを迎え、その中には新型コロナウィルス対策やワクチン接種の有用性を問う人もいる。

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1月30日（日）、メーガン夫人とハリー王子は、所属するアーチウェル財団の広報担当者を通じて声明を発表し、CNNが取り上げたように、昨年から状況を監視してきたと述べている。

「昨年4月、ハリー王子夫妻はスポティファイに対して、彼らのプラットフォームにおける新型コロナウィルスに関する誤情報がもたらすあまりにも深刻な影響について懸念を示し始めました」。

 ハリー王子夫妻は現在、スポティファイが「この状況に対処する」ことを望んでいる一方、「現在の活動はそのまま継続して取り組んでいく」と述べている。

ふたりは2020年1月にスポティファイと契約を結んだ。金額は不明だが、「世界中のオーディエンスが盛り上がり、楽しめるような一連のコンテンツが計画されていたことが知られている。

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ボイコットの呼びかけ

フォークロックのスター、ニール・ヤングが、スポティファイを“お金のために嘘を売っている”とし、「1月27日にスポティファイから彼の全楽曲を削除するよう声明を発表した。その後、同郷のジョニ・ミッチェルが続いて声明を発表している。このアメリカの音楽界の重鎮ふたりの決断は、同サイトの不買運動を呼び起こし、株価の下落を招いた。

スポティファイの社長ダニエル・エックは、1月30日、エンターテイメント紙「Variety」が転載した声明の中で、「スポティファイは、バランスを取るためにもっと努力し、この未曾有の時代を切り抜けるための指針となる、医学界や科学界から広く認められた情報へのアクセスを提供する義務があった」と発言している。パンデミックに関するあらゆるコンテンツの前に放送される警告システム、また科学者が検証した情報を掲載しているサイトへのリンクも検討されている。

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大きな契約、小さなコンテンツ

夫妻は誤情報に対する戦いに非常に熱心で、アーチウェル財団の活動の柱のひとつになっている。しかし、ハリー王子夫妻は自分たちのコンテンツをスポティファイから取り下げる予定はない。

 いまのところ、クリスマス休暇に際して2020年12月29日にオンライン公開された33分のポッドキャストがひとつあるのみだ。エルトン・ジョン、テニスチャンピオンの大坂なおみ、作家のディーパック・チョプラなどの著名人が、その年に流行したコロナウイルスについて振り返った後、アーチーくんの初の生声が披露された。しかし、2021年に新たなコンテンツがアップされることはなかった。

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てこ入れ

 アーチウェルのページがほぼ空っぽのため、最近、スポティファイは行動を起こすことにした。1月25日、同社はポッドキャスト制作スタジオのギムレットに依頼をかけ、アーチウェルが“リーディング・ウーマン（優れた女性たち）”を特集する番組（毎週製作）の製作チームの求人を開始したことが報道された。

現在もスポティファイのウェブサイトで公開されているベテラン・プロデューサー募集の広告には、「一流のタレントと仕事をした経験があり、社会活動と大衆文化の接点に興味がある人が理想」と書かれている。また、「番組チームと協力して厳しい納期でエピソードを制作する」スキルも必要とされている。メーガン夫人とハリー王子は、いまのところ、その必要条件を満たしていないかもしれない。