森美術館初、Chim↑Pom大回顧展の新プロジェクトは託児所オープン？

一緒に美術館でアートに触れるには少し早い小さな乳幼児がいたら、子ども同伴で親がじっくり館内を観て回るのは実際なかなかハードルが高い。

2022年5月29日（日）まで森美術館で開催中の『Chim↑Poｍ展：ハッピースプリング』では、エントランスに設置されている「くらいんぐみゅーじあむ」という託児所に子どもを預けて、自分のペースでアート鑑賞ができる。

2005年に東京で結成されたChim↑Pom。ラディカルな作品やアート・プロジェクトにはゲリラ的に発表されるものもあり、物議を醸したこともある。本展では、作品をめぐり賛否の議論があったことやその後の対話などの資料も展示し作品の再検証を試みている点も見どころ。photo: Makiko Nawa

「子育て中でもアートに触れたい」。Chim↑Poｍのエリイや水野俊紀など子育て中のメンバーがそんな同世代の声から着想を得て企画した新作アート・プロジェクトが、この託児所なのだ。

エリイは2020年に出産したことを機に構想した新作のサウンド・インスタレーションを披露。ポップアイコン的な存在でもあり、初のエッセイ集『はい、こんにちは　Chim↑Pomエリイの生活と意見』（新潮社刊）の出版など活動も多岐はわたる。photo: Makiko Nawa
---fadeinpager---

￥4,000,000達成で約週3日、￥8,000,000達成で約週6日という具合に集まった額しだいで託児所を運営できる日数が決まる。リターンは「Chim↑Pomオリジナルぬり絵」とぬり絵コンテストの参加券など。Chim↑Pomのほか、美術家の会田誠、漫画家の東村アキコ、アーティスト/グラフィックデザイナーの河村康輔という豪華メンバーが募集期間ごとに審査を担当する。

「くらいんぐみゅーじあむ」イメージ

『Chim↑Poｍ展：ハッピースプリング』は、Chim↑Poｍの17年に及ぶパワフルな活動の軌跡が一挙に観られる回顧展でもある。タイトルに込めた「待ちわびた春が逆境のさなかにあっても想像力を持ち続けたい」というメッセージを体感できる、まさにダイナミックなプレゼンテーション。彼ららしい皮肉やユーモアたっぷりの作品はさまざまな社会的課題をビシビシと問いかけてくる。

コロナ禍以前から予定されていた展覧会にもかかわらず、駆除を乗り越えても生き延びる代表作『スーパーラット』の最新版や『酔いどれパンデミック』などいまの時代を予見させる作品のほか、観覧者も関わりながら道を育てていくプロジェクトもある。そんな展覧会のひとつのアート・プロジェクトが「くらいんぐみゅーじあむ」。

「『くらいんぐみゅーじあむ』は美術館の泣き声。 泣いたってかまいやしないよ、だって子供だもの。 鑑賞者はこの声を聴くことになるでしょう。 すべからくこの世の関係者、誰もが全員、 初めは赤ん坊だったし子どもだった。 あなたも、私も、虫も木も。」とエリイ。クラウドファンディングは3月31日（木）まで。
---fadeinpager---

『ビルバーガー』（2018年）In cooperation with Ningen Restaurant, Smappa! Group, Koto Hiroya　Private collection (left)　Courtesy: ANOMALY, Tokyo　Installation view: Grand Open – Marvelous Liberation –, ANOMALY, Tokyo, 2018　photo: Morita Kenji
---fadeinpager---

『酔いどれパンデミック』(2019-2020年)　Private collection Commissioned and produced by Manchester International Festival and Contact, 2019　Curated by Contact Young Curators　Courtesy: ANOMALY and MUJIN-TO Production, Tokyo　photo: Michael Pollard
---fadeinpager---

『ヒロシマの空をピカッとさせる』（2009年）　Courtesy: ANOMALY and MUJIN-TO Production, Tokyo photo: Cactus Nakao