ダミアン・ハースト、日本初の大規模個展が開催。

Culture 2022.02.28

国立新美術館とカルティエ現代美術財団は、3月2日より国立新美術館にて『ダミアン・ハースト  桜』を開催。

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ダミアン・ハースト 《神聖な日の桜》 2018年 油彩 カンヴァス 二連画  各305×244cm カルティエ現代美術財団コレクション 
Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd ©︎ Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

ハーストの最新作となる<桜>のシリーズは、カルティエ現代美術財団が世界で初めて紹介し、高く評価されたもの。本展は、イギリスを代表する現代作家ダミアン・ハーストの日本初となる大規模個展であると同時に、パリで昨年7月から今年の初めまで開催された同展覧会の国際巡回展となる。本展のために107点からなる<桜>のシリーズから作家自身が作品を選び、大型の絵画作品24点が展示空間を彩る。

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スタジオでのダミアン・ハースト、2019年 
Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd ©︎ Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

日本ではおそらくホルマリン漬けの動物作品で広く知られるようになったハーストだが、彼は30年以上にわたるキャリアの中で、絵画、彫刻、インスタレーションとさまざまな手法を用い、芸術、宗教、科学、そして生と死といったテーマを深く考察してきた。
最新作の<桜>のシリーズは、フランシス・ベーコンに代表される19世紀のポスト印象派やジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングといった西洋絵画史の成果を独自に解釈し、色彩豊かでダイナミックな風景画となっている。
大きいものでは縦5メートル、横7メートルを超えるサイズについては、カルティエ現代美術財団が制作し、美術史家ティム・マーロウがインタビュアーとなったドキュメンタリーフィルムの中で、「観客に没入感を与え、実物に比肩するものにしたかった。木を間近に見たとき、視界いっぱいになる感じ」と述べている。題材の桜は、彼が子どもだった頃に母親が油絵具で描いていた桜の絵が原点。そして満開に咲いたと思ったらあっという間に散ってしまう姿は、ハーストの作品のテーマでもあった「死の不可避性」に通じるものがある。

「<桜>のシリーズは、美と生と死についての作品なんだ。それらは極端で、どこか野暮ったい。愛で歪められたジャクソン・ポロックみたいにね。<桜>は装飾的だが、自然からアイデアを得ている。欲望、周囲の事柄をどのように扱い、何に変化させるのかについて、さらに狂気的で視覚的な美の儚さについても表現している。<桜>は快晴の空を背にして満開に咲き誇る一本の木だ。スタジオの中で色彩と絵具に没頭するのはとても気分がいい。<桜>はけばけばしく、とっ散らかっていて、儚い。そして、私がミニマリズムや想像上の機械仕掛けの画家であるというイメージから離れたことを示していて、とてもわくわくするものなんだ」とダミアン・ハーストはメッセージを寄せている。

日本の桜の季節に合わせて開催されるこの展覧会は、暗いニュースの多い時代の中で、まさに最高のギフト。「夢中で描いた絵だ。観客にも浸ってほしい」と、ドキュメンタリーフィルムで語っていたダミアン・ハーストの言葉がすべてを表している。

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ダミアン・ハースト 《漢字桜》 2018年 油彩 カンヴァス  366×274cm 個人蔵
Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd ©︎ Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

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ダミアン・ハースト 《母の桜》 2018年 油彩 カンヴァス  274×183cm 個人蔵
Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd ©︎ Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

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ダミアン・ハースト 《大切な時間の桜》

2018年 油彩 カンヴァス  366×274cm 個人蔵
Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd ©︎ Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

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ダミアン・ハースト(Damien Hirst):1965年、イギリス・ブリストル生まれ。リーズで育ち、84年よりロンドン在住。95年にはターナー賞受賞。2012年にはテートモダンにて大規模回顧展となる『ダミアン・ハースト』展、ヴェネツィアにて2017年に『難破船アンビリーバブル号の宝物』展、2021年パリのカルティエ現代美術財団で『ダミアン・ハースト 桜』展を開催。
ダミアン・ハースト 2019年 Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd ©︎ Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

『ダミアン・ハースト 桜』
会期:3/2(水)〜5/23(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木7-22-2
開)10:00〜18:00(日、月、水、木) 10:00〜20:00(金、土) *入場は閉館の30分前まで。
休)火 *5/3(火・祝)は開館。
観覧料:一般¥1,500
tel : 050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst

text: Natsuko Kadokura

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