サッカー界のレジェンドで元イングランド代表のデビッド・ベッカムが、新しいかたちでウクライナの人々への支援を実現した。
インスタグラムで約7200万人のフォロアーを持つスーパースターでユニセフの親善大使でもある彼は、3月20日にアカウントの管理を一時的にウクライナの医師であるイリーナに譲与。
イリーナはウクライナの2番目の都市ハルキウにある産婦人科病院の院長であり麻酔科医で、いまでも現地で仕事を続けている。
彼女はベッカムのストーリーズを通し、戦争が始まった初日に妊婦や母親たちとともに避難したという地下室の様子を紹介しながら「初日がいちばん大変だった」と報告。また集中治療室の新生児は設備の面から地下には避難できないことや、戦争開始2日目に産まれた呼吸器に問題がある子は、持ち直したものの家が破壊されてしまったために母と帰る場所がないと伝えた。
現在、イリーナは院長の仕事に加えて妊婦や母親たちの情緒面でのサポートから、運ばれてきた荷物をトラックから下ろすなどの物流管理までをも担当しているという。休むことなく24時間働きながらも、同僚の医師や看護師たちとともに「心配は止まないし泣くこともある。でも私たちは諦めない」と語っている。
投稿から24時間が経ち、この映像はストーリーズから消えてしまってはいるが、アイコン下にある青いハートマークのハイライトを通して視聴が可能だ。
ベッカムのコメントとイリーナのレポートの間、画面にはユニセフのインスタグラムのリンクと、「7:デビッド・ベッカム ユニセフファンド」へのリンクが支援の寄付先として表示されている。これはベッカムが世界中の厳しい状況下にいる子どもたちを暴力や戦争、貧困や飢餓から救うためにユニセフとともに設立したものだ。
また、ベッカムがかつて活躍したチーム、マンチェスター・ユナイテッドも有するイングランドのプロサッカー1部リーグのプレミアリーグは、ウクライナの人道支援のためにチャリティ団体ディザースター・エマージェンシー・コミッティを通して100万ポンドを寄付。
全試合の前にはグランドのビッグスクリーンにウクライナカラーのブルーと黄色を背景に「フットボール・スタンド・トゥギャザー」(フットボールはウクライナの人々と団結するの意)の文字を映し出し、各チームのキャプテンたちは同色のアームバンドをつけて試合に臨み、ウクライナの人々とともにあることをアピールしている。
スポーツ界でもほかに支援の輪が広がっている。
男子の元テニス世界ランキング1位のアンディ・マレーは、今年の残りの期間に獲得する賞金全額をユニセフに寄付すると表明。ユニセフUKの親善大使でもある彼はインスタグラムを通して「ウクライナの子どもたちに必要なのは平和だ。いますぐに」と訴え、プロフィール欄にはユニセフの寄付先のリンクを載せている。
同じく世界的なテニス選手ロジャー・フェデラーも、自身のロジャー・フェデラー・ファンデーションを通して戦火のなか学校に通えなくなっている600万人のウクライナの子どもたちへの教育面でのサポートのために、50万ドルをウォーチャイルド・オランダに寄付したと報告している。
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— Roger Federer (@rogerfederer) March 18, 2022
text: Miyuki Sakamoto
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在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。