極私的BTS愛 BTSの多面的な魅力とは? ライターKの偏愛動画5選。
Culture 2022.04.03
3月には、2年以上の空白を経てソウルでの有観客ライブを成功させ、アメリカ現地時間4月3日に開催される第64回グラミー賞では、昨年に引き続き「最優秀ポップデュオ / グループ パフォーマンス賞」にノミネートされているBTS。ARMY歴約4年半のライターKが偏愛する動画5本をピックアップし、彼らの魅力を熱く語る!
左から:V、シュガ、ジン、ジョングク、RM、ジミン、ジェイホープ。アメリカン・ミュージック・アワード(2021年11月21日)のレッドカーペットにて。photography: AP/Aflo
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この原稿が公開されている頃には、グラミー賞の結果はもう発表されているのだろうか? 昨年のグラミー賞の結果に関しては、「結局、視聴率稼ぎのためにパフォーマンスでの登場は最後まで引っ張られたのに賞は与えられず、BTSはまるで利用されたみたいだ」といったようなARMYの声が世界中から多数上った。私もそう思った。実際の人気や実績とはまた違うところで受賞が決まる「オトナの事情」もエンタメ業界には少なからずあるのかもしれない。だから正直なところ、今年の賞の行方自体には興味がない。受賞しようがしまいが、ウリバンタン(私たちのBTS)が最高なことには何の変わりもないのだし、彼らがいつでも、どこにいても健康で幸せでいてくれればいいと願うだけだ。この感情を「愛」と呼ばずして、何と呼べるだろう?
私がBTS沼に落ちたのは、2017年の秋。アメリカン・ミュージック・アワードの舞台で、彼らが「DNA」を生披露した動画を観たのがきっかけだった。グッチの衣装に身を包み、ハイレベルなパフォーマンスを見せたBTSにひと目惚れした。そこからはMVなどの公式はもちろん、さまざまな動画を毎晩明け方近くまでひたすら観続け、iTunesに全楽曲をダウンロード、ライブDVDの購入、ファンクラブ入会を済ませるまであっという間だった。SNSを通じて知り合い、アミ友(BTSのファン=ARMY、アーミーの友だち)となったJちゃん(彼女は14年のBTS日本デビュー当時からのARMYだった)とはリアルで対面も果たし、「おばちゃんアーミーはしつこいし、息が長いよ」と私に告げたJちゃんの言葉どおり、私のBTS熱はいまなお冷めることがない。
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BTSが世界的に人気となった理由のひとつは、巧みなSNS戦略だと言われている。ダンス練習風景や撮影舞台裏、Vlogの発信、そして最近ではインスタグラムも。完成されたアイドル/アーティストとはまた違う、"素"の姿を動画や写真で見せてくれるところに私も実際に親近感を覚えたし、完璧なパフォーマンスを目指して陰で全力を尽くす姿にも心を打たれた。
私のお気に入りMVの1本「SAVE ME」(2016年)は、荒野のような風景の中、1台の手持ちカメラを使用しノーカットで撮影するというシンプルな構成だけど、その撮影裏の動画を見ると、わずか数分のMVに彼らがどれだけ情熱を注いでいるのかがよくわかる。
[EPISODE] BTS (방탄소년단) 'Save Me' MV Shooting
また、YouTube プレミアムのドキュメンタリーシリーズ「Burn The Stage」(18年・有料配信)では、ライブ開演直前に些細なことからメンバー内で衝突が起き、涙ぐむ様子まで映し出されているエピソードも。悩んだり落ち込んだり、涙を見せたり……彼らが見せる剥き出しの感情に愛おしさすら感じるのだ。
BTS : Burn The Stage シーズン1 エピソード4「ケンカ両成敗」
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さらにギャグのセンスが光るところでは、かわいさとおもしろさが爆発。BTSの動画チャンネルのひとつ「Run! BTS」は、おもにゲームや料理、クイズなどをテーマにしたバラエティ番組風の作りで、数々の"神回"が生まれた。また、ここ数年は、アメリカのトーク番組にも引っ張りだこなので、渡米するたびに人気コーナーに出演してくれるのもうれしい。「The Late Late Show with James Corden」内の「A Concert in the Crosswalk」(21年12月)では、「Dynamite」「Butter」「Permission to Dance」の3曲を、LAの横断歩道で青信号の間に披露。ドタバタな状況の中でもプロ根性とサービス精神を見せていた。
BTS Performs a Concert in the Crosswalk
アメリカのTV番組で放映された数々のパフォーマンスの中でも、個人的なイチオシは「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」で披露した「ON」(20年2月)。NYのグランド・セントラル・ターミナルを舞台に変え、彼らにとってますます飛躍の年となる期待に満ちていた。が、このすぐ後、パンデミックの長いトンネルに入ったことを思い返すと、(乗客や通行人などがいない時間帯とはいえ)公共の場で、集団でのパフォーマンスというのがもはや伝説的なレベル。
BTS Performs "ON" at Grand Central Terminal for The Tonight Show
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そしてなんと言っても、私が思うBTSの最大の魅力はライブ。それも無観客のオンラインライブではなく(もちろんオンラインライブも十分に楽しんだし感動した)、歓声を上げないというルールのある有観客ライブでもなく、観客の熱狂・声援・興奮に会場が包まれたライブ! 19年11月30日にソウルで開催されたMMA(メロンミュージックアワード)では、約40分にわたるパフォーマンスを披露。会場にはアミボム(ライト)を握りしめたARMYが押し寄せ、受賞式ではなく、もはや単独ミニライブ状態だった。本番のライブのようにイメージ動画で始まり、RMのソロ曲、昔懐かしい曲、この年に発表したシングル曲、アルバムからの曲、各メンバーの持ち味が引き立つソロ演出(とくに「I NEED YOU」をBGMにしたジミンのソロダンスは必見)などが、凝った舞台美術・演出と相まって、とにかく圧巻。私も自らが参戦するライブの熱狂と感動をまた味わえる日が来るのを、この動画をときどき見返しながら待ち望んでいる。
BTS (방탄소년단) Intro: Persona + 상남자(Boy In Luv) + 작은 것들을 위한 시(Boy With Luv) + 소우주 + Dionysus @ 2019 MMA
東京都出身、現在は東南アジア某国でリモートワークを行うフリーランスライター&エディター。ARMY歴約4年半。ジン寄りのオルペン。BTSライブ参戦歴は過去3回。自身はRMと同じ誕生日、娘はVと同じ誕生日、父はジンと同じ誕生日で、勝手に運命を感じている。
text: Natsuko Kadokura