ノルウェーのモデルが明かした、プラスサイズの不都合な真実とは?

Culture 2022.04.05

ファッションにおける身体の理想像が複数存在することが求められるいま、カロリーヌ・ビョルヌリッケは、「プラスサイズ」モデルのシルエットが時につくり物であることを明らかにした。なかには、パディング(詰め物を入れること)という技法を使うケースもあるという。

 

 

カロリーヌ・ビョルヌリッケは、プラスサイズファッションにおけるパッド付きボディスーツ着用の慣習を非難している。@redkaroline / Capture d'écran / Instagram

彼女は「サイズ40(日本で言う13号)」。また、「モデルの世界では、サイズ38(9号)を超えると大きいサイズとみなされます」とも述べている。

ノルウェーのオスロに住むカロリーヌ・ビョルヌリッケは、10年前からモデルとして活動している。彼女のキャリアは15歳の時に始まった。当時は「とても痩せていた」と言い、拒食症の時期もあったそうだ。当時、彼女はプレタポルテとオートクチュールのコレクションのモデルをしていた。

今日、それらの仕事は終わりを告げた。彼女がすべき仕事は、ブランドのためにポーズをとること。昨年11月30日、カロリーヌ・ビョルヌリッケがTikTokで “水増し”を告発する動画を公開し、話題を呼んだ。一般にはあまり知られていないが、ファッションブランドでは何年も前から人気のある技術で、モデルにフォームパッドの人工装具を装着させ、お尻やバスト、ヒップが膨らんでいるように見せるというものだ。「“プラスサイズ”のブランドで何度かやらされました。着なきゃいけない服が私には大きすぎたの。この問題を解決するために、パディングがあるのよ」と語った。

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リアルではないボディ

この動画の中で、カロリーヌ・ビョルヌリッケは、ニューヨークのモデル事務所と契約した際にエージェントが購入した肌色のフルボディスーツを撮影している。写真撮影のたびに持ってきてもらい、大きく見せたいときにはフォームパッドを滑り込ませて装着しているそうだ。

「ふくよかな女性に知って欲しいのは、モデルがしばしばレタッチされていること、そして彼女たちはモデルのようには見えないということ」と説明する。カロリーヌ・ビョルヌリッケは、「非現実的」、さらには「不可能」な身体の理想化を糾弾するために動画を投稿した。「ブランドは、顔と首を本当に細く小さく見せたいのよ」

カロリーヌ・ビョルヌリッケは、このような慣行は包括的な言動とは矛盾し、いわゆる理想の体型がいまだ存在することを認識させられると指摘している。「ふくよかな女性に対するファットフォビア(肥満嫌悪)や差別は、まだまだ多い。本物のプラスサイズモデルを使うことをおすすめしたいわ」

彼女が発信したメッセージは、ボディポジティブ・ムーブメントを受け入れるブランドの真摯な姿勢に亀裂を入れ、感謝される一方、反発も受けている。「“パット付きボディスーツを着ることに同意したことが、問題を助長している”、と非難するコメントももらったけれど、私はもうそんなことはしていない。モデルのせいにするのはどうかと思うの。モデルが1人辞退すれば、次のモデルが仕事を受けることになるのだから」

この状況を変えられるかどうかは、ブランド側次第だと彼女は述べている。

text : Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr), translation : Hanae Yamaguchi

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