立田敦子のカンヌ映画祭レポート2022 #01 カンヌ国際映画祭開幕、ウクライナからメッセージも!

Culture 2022.05.19

第75回カンヌ国際映画祭が開幕しました! 

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第75回カンヌ国際映画祭の公式ポスターは、トルーマンショーへのオマージュとしてデザイン。©Atsuko Tatsuta

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今年は2年ぶりに通常通り5月開催で、17日から28日まで。©Atsuko Tatsuta

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オープニング作品は、なんと日本映画『カメラを止めるな!』(2017年)のフランス版リメイク映画『キャメラを止めるな!』です。監督は『アーティスト』(11年)で、フランス映画ながらアカデミー賞を受賞したミシェル・アザナヴィシウス。主演は、スター俳優ロマン・デュリスという豪華なスタッフになっています。日本のオリジナル作品が300万円で作ったスーパー低予算自主映画ということを考えれば、このリメイクは感慨深いですね。

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オープニングの『キャメラを止めるな!』に出演した女優、竹原芳子さんもレッドカーペットに登場。©Getty Images

本日、アザナヴィシウス監督にインタビューした際に、「ゾンビ映画と海外では伝えられているけれど、もともと自主映画の制作現場についての映画であって、映画愛にあふれた作品なので、映画ラバーが集まったカンヌのオープニングに選ばれたことはとても理に適っているし、この映画にとって最高のプレミアの場だと思う」と伝えたところ、「まったくもって同意するよ」という言葉をもらいました。アザナヴィシウス監督によると、上田慎一郎監督もカンヌに来たいといっていたのだけれど、妻が妊娠中で止めることにしたのだそう。

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カンヌ国際映画祭でインタビューした、ミシェル・アザナヴィシウス監督。©Atsuko Tatsuta

作品を観て、こんなにもほぼ同じ内容でリメイクしているということに驚く人も多いようです。でも、それでもおもしろいと感じるのは、この元ネタがそれだけ普遍的だということ。何度でも、ゾンビのように再生可能なストーリー、ということなのでしょう。個人的には、日本版より(フランス的な)皮肉が効いていて、さらにアンチポリコレ(ポリティカル・コレクトネスpolitical Correctness)映画になっているところが好きでした。

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日本の『カメラを止めるな!』をした、ミシェル・アザナヴィシウス監督の『キャメラを止めるな!』

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また、オープニングセレモニーには、ウクライナのゼレンスキー大統領がライブビデオでメッセージを伝えました。グラミー賞でも同じようにメッセージを送っていましたが、チャップリンやフランシス・フォード・コッポラなど名監督や作品の名前を引用し、映画業界の人々にウクライナの支援を訴えていました。フランスはもとより、ヨーロッパの政治家はカルチャーへの関心が高く、カンヌでのスピーチもしっかりと映画を引用しながら素晴らしいスピーチをできる人が多いです。日本の政治家で、こんなスピーチをできる人なんているでしょうか?

4月上旬に、ウクライナのマリウポリで映画制作中にロシア軍に殺害されたリトアニア人の映画監督マンタス・クベダラピチェス(享年45歳)の遺作となる『マリウポリス2』は、20日に上映される予定なので、また詳細を報告します。

ところで、今年のカンヌは、コロナ禍が落ち着いた(本当?)こともあり、昨年と比べると来場しているジャーナリストがかなり増えた印象です。マーケットがリアルとオンラインとの併用ということもあり、映画配給会社や宣伝はまだまだ少ないようですが、それでも映画祭に活気が戻ってきました。フランスではマスク着用の義務がなくなったということで、マスクをしている人をほとんど見かけません。通常の日本の冬時期の方が、マスク着用者がずっと多いくらいです。マスクに慣れている日本人からすると、ちょっと怖い気持ちもありますが、2週間後のフランスでのコロナ感染者数にも注目したいと思います。

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南フランスらしい町の一角も、マスクを着用していない人たちが行き交う。©Atsuko Tatsuta

映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
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