2022年 第75回カンヌ国際映画祭 クローネンバーグ監督の「問題作」で阿鼻叫喚!?カンヌ7日目の大階段。
Culture 2022.05.24
カンヌ映画祭7日目。5月23日、映画『Crimes of the Future』のプレミア上映を前に撮影チームが揃ってレッドカーペットを歩いた。直前にはシャロン・ストーンも登場。
カンヌ7日目のレッドカーペット。
「気分が悪いの?」5月23日にカンヌ映画祭で上映されたデヴィッド・クローネンバーグ監督のミステリアスな新作『Crimes of the Future』でレア・セドゥがそう尋ねるシーンがある。彼女が演じるカプリスは、自分の臓器の変容をパフォーマンスとして見せる前衛的なアーティスト、ソール・テンサー(ヴィゴ・モーテンセン)のアシスタントだ。「とても強烈なシーンもあります」と、最近もクローネンバーグ監督は、自ら映画について語っていた。「映画が始まって最初の5分で映画館を出る人もいるだろうと確信しています」
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「自分の家のよう」
監督のそうした警告も各界のスターたちの耳には届かなかったようだ。パレ・デ・フェスティバルの大階段にデコルテが大胆に開いたブラックドレスに身を包んだナオミ・キャンベルが華やかに登場してから数時間後、昨年のカンヌ映画祭審査員メンバーのひとりだったマギー・ジレンホールが世界一有名なレッドカーペットに姿を表した。「去年10日間滞在して、ここはもう自分の家のよう」と、昨年のカンヌ映画祭で25作品を鑑賞した女優兼監督は冗談を飛ばした。
次はヴァンサン・カッセルとティナ・クナキ夫妻が登場。ティナは、ヴァレンティノのピスタチオグリーンのビスチェドレスに白の手袋。クローネンバーグ監督の次回作に出演が決まっているヴァンサンは、監督の、自らを「再創造する」能力を称賛した。「彼はつねに身体に対する好奇心を持ち続けているが、いつも違う角度で取り組んでいる」と語った。
その少し後、レベッカ・ズロトヴスキがやはり「圧倒的な天才」という言葉で監督を称えた。アナ・ジラルド(と父親のイポリット・ジラルド)が登場した数分後、撮影チームが観衆とカメラマンの声援に迎えられてレッドカーペットに入場した。
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シャロン・ストーンのトレーン
レッドカーペットでデヴィッド・クローネンバーグは主演を務めたヴィゴ・モーテンセンを絶賛した。「素晴らしい俳優で、よき友人」と監督は目を輝かせる。「ヴィゴを起用すると、俳優と同時に脚本家も写真家も雇うことになる」。賞賛された当人も監督の熱意に応えるように、「友人」クローネンバーグの才能について力を込めて語った。「彼の撮影に参加することは、映画学校を卒業したばかりの青年と一緒に仕事をするようなもの。監督の映画への意欲はまったく変わらない」
彼はまた「素晴らしいパートナー」とレア・セドゥの演技を称賛した。ロングドレスを纏ったレアはシャネルのクロップトップにサテンのスカートを合わせたクリステン ・スチュワートと並んで登場。どちらもビジューがきらめく華麗な装い。
撮影チームの前を行くのは、グリーンのスリットが入ったビスチェドレスを纏ったシャロン・ストーン。その艶やかな姿に全員が見惚れた。シャロンはこの日は自分でドレスのトレーンを持って階段を上った。
21時30分頃、クローネンバーグ撮影チームも揃って大階段へ。大喝采に包まれた上映会場の大劇場「リュミーエル」に入場した後、ヴィゴ・モーテンセンは元共演者のヴァンサン・カッセルに歩み寄り抱擁を交わした。クローネンバーグ監督次回作の主人公へ、聖火を受け渡すかのように。
text : Chloé Friedmann(madame FIGARO.fr)