英国王室の暮らしを彩る、美しき手仕事ブランドとは?

Culture 2022.06.03

セレモニーなどの特別な日から日常使いまで。英国ロイヤルファミリーは、職人たちの手によって丁寧に作られた品々に日々支えられている。彼らの暮らしを彩る手仕事ブランドをご覧あれ。

Royal School of Needlework

Robe

■ ローブ

ロイヤル・スクール・オブ・ニードルワークは、短期から学位コースまで幅広いプログラムを揃える、今年で創立150周年の王立刺繍学校。校内にスタジオもあり、ビスポークのオーダーから歴史的価値がある刺繍の修復まで行う。王室の重要な品々の装飾も数多く手がけており、女王が1953年の戴冠式で着用したローブは特に有名。戴冠式時は終戦直後と食糧難だったことから、平和と豊潤を願うオリーブと麦の穂が金糸で施されている。このローブはドレスとともに7月7日からウィンザー城の『Platinum Jubilee: The Queen's Coronation』で展示される予定だ。 

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Royal School of Needlework
https://royal-needlework.org.uk

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London Scribes

Calligraphy

■ カリグラフィ

カリグラフィとはペンとインクで装飾的な文字を書く技法。ロンドン・スクライブスのジェニー・コリアーは、チャールズ皇太子夫妻から依頼を受け、彼らのイベントへの招待状の宛名やネームカードに美しい手書き文字を綴る。数多くの色や書体の中から皇太子たちが好んで選ぶのは、黒インクで書くクラシックなイタリック体に少し斜体をかけた文字だとか。作業用に渡されるゲストリストは要人の個人情報を含む極秘書類。その扱いに注意しながら1日に作業できるのは250名分ほど。その後、綴りなどの確認を繰り返して完成する。

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London Scribes Calligraphy
www.londonscribes.com

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Philip Treacy

Hat

■ 帽子

フォーマルな席で王室女性メンバーの装いに欠かすことができない帽子。ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式の際、ユニークさでひときわ目を引いたベアトリス王女の帽子をはじめ、ロイヤルファミリーを含む36人分を手がけたのがデザイナーのフィリップ・トレーシーだ。キャサリン妃も大ファンで、ハリー王子とメーガン夫人の結婚式や、エディンバラ公の葬儀、2022年3月のジャマイカ訪問でもトレーシーの帽子をかぶっていた。カミラ夫人やダイアナ妃の姪、レディ・キティ・スペンサーも愛用者だ。 

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©PA Photos/amanaimages
Philip Treacy
www.philiptreacy.co.uk

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William Yeoward Crystal

Crystal Glassware

■ クリスタルグラスウェア

インテリアデザイナーとして知られるウィリアム・ヨワードが、英国を代表する老舗クリスタルメーカー、ジョン・ジェンキンス&サンズのティモシー・ジェンキンスと出会ったのがはじまり。ふたりが魅せられていた18~19世紀のクリスタルを再現すべく、ウィリアム・ヨワード・クリスタルを設立。すべてを手仕事で仕上げ、時代を超えた美を思う存分蘇らせただけではなく、実用的で現代の価値観に合うものにした。ビスポークで制作するアイテムは特に定評あり。2008年からチャールズ皇太子御用達となっている。 

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William Yeoward Crystal
www.williamyeowardcrystal.com

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G.H. Hurt & Son

Shawl

■ ショール

キャサリン妃がジョージ王子出産後に初めて公の場に姿を現した際に、王子を優しく包んでいた純白のショールはジーエイチ ハート&サンのもの。オーストラリア原産の最高級メリノウールを独自の伝統的な技術で編み上げ、ホタテ貝状の飾り縁はハンドメイドで丁寧に仕上げている。シャーロット王女、ルイ王子のみならず、ハリー王子とメーガン夫人の第一子アーチー・ハリソンも、誕生時には同社のデザイン違いのショールを纏って初お目見えしていた。メリノウールショール¥14,850/ジーエイチ ハート&サン

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©ZUMA Press/amanaimages
G.H. Hurt & Son
tel:03-6721-1903 
https://ghhurt.shop-pro.jp

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A. Nash

Broom

■ ホウキ

300年もの間、先祖代々ホウキを作り続けているナッシュ一家。白樺の枝をワイヤーで束ねた穂の部分を、ハシバミもしくは白樺の柄に取り付ける工程をはじめ、現職人のブラッドリー・ナッシュが先代から譲り受けた道具を使ってすべて手作業で行う。王室に収めているホウキは毎年120本にものぼるとか。落ち葉掃きで使い古されたホウキはすぐに処分されるのではなく、芝生内にミミズが掘り起こしてできる小さな塚を取り払うために役立てられているそう。このホウキは映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』にも登場。

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©Alice Whitby

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Wendy Keith Designs

Shooting Stockings

■ 狩猟用靴下

チャールズ皇太子が愛用するウェンディ・キース・デザインの狩猟用靴下は、最高級のメリノウールにアルパカやオーストラリア特有の動物ポッサムの毛を混紡。履き心地のよさを追求しておよそ40年にわたり作られてきた。同社の歴史をともに支える熟練のニッター(編み立て士)たちによる、手編み物独特の温かみのある風合いも魅力だ。質のよさに加えて、身に着けていて楽しくなるような色とデザインも人気の秘訣。狩猟専門店だけではなく、ファッションショップでも取り扱いがあるというのも納得できる。 

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Wendy Keith Designs
https://wendykeithdesigns.co.uk

*「フィガロジャポン」2022年7月号より抜粋

text: Miyuki Sakamoto

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