こんな兆候は、有毒な恋愛関係に陥っている証拠!
Culture 2022.07.05
有毒な恋愛関係には共通点がある。フランスのふたりの心理学者が徴候を見抜くための鍵を提供する。
揉め事の多い恋愛関係から有害な関係まで、ほんの一歩ということもある。photo : Getty Images
「難しい」「彼/彼女はいつもそう。そういう人だから」。もめ事の多い恋愛から有害な関係まで、ほんの一歩ということもある。有毒な恋愛に陥っているカップルは「一緒にいていいことよりも悪いことの方が多い」という感覚が特徴、と心理学者でカップルセラピストのカミーユ・ロシェ(1)は直ちに指摘する。心ない言葉から、プライベート、あるいは人前での侮辱、極端な嫉妬まで、悪影響を及ぼす関係の徴候はいくつかある。総括しておこう。
強大な欲望
単にもめ事の多いカップルであれば、それぞれが相手に対して距離を取ったり、徐々に相手から離れることが可能だが、有毒な関係性の場合は、パートナーのどちらか一方が、「最大の敵と一緒に閉じ込められているという感覚」を抱くようになり、「同時に相手から離れられないと思い込んでしまう」とロシェは説明する。
有毒なパートナーは「フラストレーションの管理が非常に苦手です。強大な欲望を抱えていて、自分の欲望を最優先する。そういう人物から見れば、パートナーの欲望は存在しないも同然」と付け加えるのは心理学者でカップルセラピストのエリザベート・ドゥ・マドルだ。
孤立と精神的支配
有毒な関係では、孤立化は知らぬ間に徐々に進行する。ドゥ・マドルは次のような比喩でこのメカニズムを説明する。「カエルを熱湯に入れれば飛び上がって逃げますが、水に入れて、その水を少しずつ加熱すると、温度に慣れてしまい、火傷をするまで水に浸かっている」。有毒な人物は相手が気付かないうちに、ひそかに相手に影響力を及ぼし、相手を操作する。被害者は孤立し、より無防備になり、より操作されやすくなる結果に。
支配も有毒な関係の特徴だ。彼女が指摘するのは「一方がもう一方に呑み込まれる」融合という関係だ。こうした関係に陥ると、被害者は「自由を奪われ、自己充足感を失います。言葉による暴力や、時には身体的な暴力が伴うこともある」。この剥奪は複数の手法によって遂行される。たとえば、カップルのひとりが友人と会うために外出しようとすると、有毒な人物は人心操作術を駆使して、相手が出掛けないように別の計画を提案したりする。また別のケースでは「相手の予算を制限すると脅したり、攻撃的になったりすることもある」と心理学者は話す。
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コミュニケーション不足
カップルの間で対話がないときは要注意だ。「有毒な関係にあるとき、被害者はパートナーとコミュニケーションを取ることに消極的になります。自分の苦しみや欲求についてなるべく話さないように努めます。パートナーをいら立たせたり、怒りを買うことを恐れるためです」とマドルは言う。
お金が不和の原因となることもある。相手の生活費を管理することは支配を維持し、相手に害を及ぼす手段にもなり得る。実際に、有毒な関係のカップルの間では「嘘をつく、相手の所有物を盗む、個別の口座がなく、共通の出費についてもふたりで話し合うことをしない」という事態が見られることもあると心理学者は指摘する。
恒常的な罪悪感
「相手を前にすると自分を無能だと感じ、いつも自分が間違っていると思ってしまう」のは、有毒な関係の徴候だとロシェは言う。被害者はあらゆることで自分を責める。「自分は自己主張が足りない、相手の望みと同じ望みを持てない、人生のパートナーとして失格……」といったように。プライベートの場、また子どもの前など人前で受けた心ない言葉や侮辱がこうした罪悪感の原因となる。被害者は徐々に自信を失い、場合によっては怒りを募らせることもある。
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敬意の欠如
これらのサインはすべて、言葉や行為を通して表れた、相手への全般的な尊敬の欠如。心理学者のドゥ・マドルは「客体化」という表現を用いる。「有毒な人物は常に自分が中心で、他者への共感力がなく、他者に対して敬意や配慮を払いません」。性生活もその一例。有毒な関係の場合、性生活は存在しないか、あるいは「支配に対し、耐えることとして捉えられている」と彼女は言う。
極端な嫉妬
コミュニケーションと相互の信頼感が欠如した関係は「不安定」なものになる。「有毒なパートナーが不安感を抱くと、過度の嫉妬に駆られ、相手が浮気をしていると思い込むようになる」とロシェ。相手をコントロールしたいという欲求によって嫉妬はさらに強化される。このように弱体化した関係は、「互いの誠実さに対して疑い合う不健全な駆け引きにつながることもある。強い感情を煽って相手への支配を強めようとするように」と彼女は続ける。
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解決法
自分が巻き込まれている状況の仕組みを認識し理解するために、心理学者のドゥ・マドルは「相手を観察し、行動を分析することで、相手がどんな人間なのかを意識化する」ようにとアドバイスする。身近な人に話すことが適切な場合もある。「問題について人に話すことができれば、ほとんど解決したも同然です」と心理学者は言う。「身近な人たちだけでなく、専門家も中立的な立場でより適切なサポートをしてくれるでしょう」
結局のところ単なる力関係の不均衡が問題なのだということがわかれば、「自己主張し、自分の限界を設定し、いざこざに対処する」方法を学んで、互いの信頼関係を築き直すことは可能だとロシェは話す。
もし打つ手がないようであれば、別れることが互いを解放する唯一の解決策という時もある。ただ別離も簡単ではないと覚悟しなければならない。「拒絶に対する恐れも有毒な関係の構成要素です。そのため別れ話を切り出すには、この恐怖と向き合うことが必要となるでしょう」と心理学者は指摘する。「また別れ話をきっかけに、怒りや、情動的な脅迫、さらには自殺すると相手を脅す行為を伴う一種の依存が引き起こされる場合もあります。サポートを受けることが必要なのはそのためです」。心理学者は次の一言で締めくくる。「相手は私たちの所有物ではありません。愛は自由に与えられるものです。強制されるものではありません」
(1)Camille Rocher著『Les 5 croyances qui empêchent d’être heureux en couple』Larousse出版刊。著者はウェブサイトwww.anoustous.com開設者でもある。
text: Clémence Dubrana (madame.lefigaro.fr)