手仕事からモダンアートまで! 私を高める秋の展覧会。
Culture 2022.08.27
すごい規模感で開催される京都のウォーホル展、手仕事の魅力を味わうシャネル展や立花文穂展など、今秋は見どころたっぷりの展覧会がめじろおし。知性と感性磨きに役立つ、展覧会巡りをぜひ。
古都に魅せられたウォーホルの京都土産。
『アンディ・ウォーホル・キョウト』
アメリカの大量消費社会の光と影を描いたポップアートの旗手アンディ・ウォーホル。京都だけの開催となるこの大回顧展では、1950年代に商業イラストレーターとして活躍した初期作品から、60年代に事故や死を描いた「死と惨事」シリーズ、映像作品、セレブリティたちの注文肖像画、ビザンティンカトリックの家庭に育った生い立ちに関わる晩年の作品などを包括的に展示。さらに56年の世界旅行中に初来日し、京都を訪れたウォーホルと京都のゆかりを示す貴重なドローイングや写真などを展示する。ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館の所蔵作品のみで構成される国内初の展覧会であり、門外不出の『三つのマリリン』など100点以上が日本初公開となる。
会期:9/17~2023/2/12
京都市京セラ美術館(京都・岡崎)
営)10:00~18:00
休)月、12/28〜2023/1/2 ※ 10/10、2023/1/9は開館
料)一般¥2,000(月~金)、¥2,200(土、日、祝)
●問い合わせ先:
tel : 075-771-4334
www.andywarholkyoto.jp
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職人の「手」が生み出す芸術のスピリット。
『シャネルを紡ぐ手 アンヌ ドゥ ヴァンディエール展』
ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせ、都市化、工業化、グローバリゼーションによって消滅の危機に瀕したノウハウや文化を記録し続ける、写真家アンヌ・ドゥ・ヴァンディエール。1999年以降は、技術や文化、芸術を生み出す「手」にフォーカスしてきた。シャネルのオートクチュールのアトリエと、そのクリエイションを支えるメティエダール(芸術的な手仕事)の13のアトリエを取材した彼女は、職人の「手」によるものづくりに肉薄。本展では繊細な手仕事の写真とともに、彼らの「手」についての言葉を紹介する。ツイードや刺繍、プリーツ、そしてカメリアまで、シャネルが提唱する美のボキャブラリーに生命を吹き込む、メティエダールの精神を伝える機会となる。
会期:8/31~10/2
シャネル・ネクサス・ホール(東京・銀座)
営)11:00~19:00
無休
入場無料
●問い合わせ先:
tel : 03-6386-3071
https://nexushall.chanel.com
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紙と文字への偏愛、時代を超えた反骨の姿勢。
『立花文穂展 印象 IT'S ONLY A PAPER MOON』
広島市で製本業を営む家に生まれた立花文穂は、幼少期より身近にあった紙や文字、書や印刷物などから着想を得て、独自の作品世界を創り上げてきた。美術館では初となる本個展では、紙と文字を軸に印刷や書、ブロンズと紙の彫刻群、活版印刷機の「楽機」とギターや鍵盤のセッション、かつて東京にあった洋裁研究所にまつわる小部屋、ロードムービーのような回廊など、多面的な表現を展開する。作家自身の手で紙を貼りこんだ壁面の柔らかく乾いた風合いと、展示空間を風のようにわたる音楽とノイズに包まれて、心地よい充足感を味わってほしい。やがて、その弛まぬ創作の背後に熾火のように焚かれ続けている素材への偏愛と、故郷・広島の歴史と記憶に連なる清潔な反骨の姿勢を受け取るだろう。
会期:開催中~10/10
水戸芸術館(茨城・水戸)
営)10:00〜18:00
休)月、9/20 ※ 9/19、10/10は開館
料)一般¥900
●問い合わせ先:
tel : 029-227-8111
www.arttowermito.or.jp
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戦争を知らない世代のための「核」の物語。
蔦谷楽『ワープドライブ WARP DRIVE 』
ニューヨークを拠点に、核の歴史的悲劇をテーマに制作を続ける蔦谷楽。日本とアメリカでは異なる視点で語られがちな核問題を巡る調査研究を通して、国境を超えて共有されるべき物語を構築する。日本で初の個展では、大戦時アメリカに建設された日系人強制収容所のバラックと、戦後に広島と長崎に建てられたバラックを接合した構造物に映像作品が投影される。そこに跋扈する動物たちのキャラクターは多様な社会的役割を持つ核開発の関係者や被害者だ。蔦谷は彼らを深く観察し、既存の意味や理解を超えた鮮烈な見解を表明する。戦後77年経ったいま、戦争を知らない世代が自分たちの問題として戦争を捉えるための新しい物語を紡ごうとする在米日本人作家の挑戦に圧倒されるはずだ。
会期:開催中~10/2
原爆の図 丸木美術館(埼玉・東松山)
営)9:00〜17:00
休)月
料)一般¥900
●問い合わせ先:
tel : 0493-22-3266
https://marukigallery.jp
新型コロナウイルス感染症の影響により、開催時期および開館時間が変更となる場合があります。
最新情報は各展覧会のHPをご確認ください。
*「フィガロジャポン」2022年10月号より抜粋
text: Chie Sumiyoshi