エリザベス女王、96歳で死去。
Culture 2022.09.09
欧州の最高齢の君主であるイギリスのエリザベス女王が9月8日(木)、96歳で死去した。疲労の兆候が見られたため、王室医師は彼女を医学的監視下に置いていた。チャールズ皇太子とウィリアム王子は、スコットランドのバルモラルの邸宅で彼女の枕元にいた。
銀婚式でのエリザベス女王。(1977年6月7日、ロンドン)photography: Getty Images
宮殿の上には半旗が掲げられ、BBCからはイギリス国歌「God Save the Queen(ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン/女王陛下万歳)」が流れた。バッキンガム宮殿は9月8日(木)午後7時30分、「女王は本日(8日)の午後、バルモラルで安らかに息を引き取られました」と発表した。時代と危機を乗り越えてきた安定の象徴である96歳の君主は、わずか25歳だった1952年に父ジョージ6世が亡くなって以来、インド初代首相のジャワーハルラール・ネルー、フランス第18代大統領シャルル・ド・ゴール、そして彼女を「私の友人」と呼ぶ第8代南アフリカ共和国大統領ネルソン・マンデラとの交流があった。
ひとつだけ確かなことは、世界で最も有名な君主であるイギリス女王の死は、イギリス王室にとって不確実な時代の幕開けであるということだ。長男のチャールズ皇太子は73歳で後継者となる。
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医師が健康状態について“懸念”
8日のうちに、エリザベス女王の医師は彼女の健康状態について「懸念」を表明し、「スコットランドのバルモラル城で医師の監視下に置くことを勧告していた」という。「今朝の更なる診断の結果、女王の医師は陛下の健康を懸念し、引き続き医師の監視下におくよう勧告しました。バッキンガム宮殿は、女王は引き続き快適に過ごしており、バルモラルに滞在しています」と短い声明の中で発表した。
この知らせを聞いたチャールズ皇太子は、すぐにバルモラルの女王の邸宅に向かい、ウィリアム王子の到着を待った。アン王女をはじめ、アンドルー王子、エドワード王子の到着をガーディアン紙が確認した。数日前から英国に戻っているハリー王子も、今週水曜日にロンドンで開催される予定のウェルチャイルド賞への参加をキャンセルし、女王の枕元へ向かった。
NEW: Harry and Meghan, the Duke and Duchess of Sussex are travelling to Balmoral Castle. They were supposed to be doing a charity event in London this evening.
— Chris Ship (@chrisshipitv) September 8, 2022
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国全体が深く憂慮
イギリスの新首相リズ・トラスは、イギリス女王の健康状態について、当時のイギリス国内のムードを要約して説明した。政府首脳は午後、「この昼のバッキンガム宮殿からのニュースに、英国中が深く心を痛めていることでしょう。私の思い、そして英国中の人々の思いは、女王陛下とそのご家族にあります」とツイートした。
The whole country will be deeply concerned by the news from Buckingham Palace this lunchtime.
— Liz Truss (@trussliz) September 8, 2022
My thoughts - and the thoughts of people across our United Kingdom - are with Her Majesty The Queen and her family at this time.
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英国のトニー・ブレア元首相も声明でこのニュースに反応した。「私の思いと祈りは、この心配な時期に女王陛下とそのご家族のもとにあります。この懸念に、デヴィッド・キャメロン元首相も「深く憂慮する」と述べている。
Deeply concerned by the news this afternoon from Buckingham Palace.
— David Cameron (@David_Cameron) September 8, 2022
I send my heartfelt thoughts and prayers to Her Majesty The Queen and the Royal Family at this worrying time.
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カンタベリー大主教は、エリザベス女王に「国民の祈り」を捧げていた。「神の存在が女王陛下とご家族、そしてバルモラルに仕える人々を強め、慰めますように」とイングランド国教会の大主教は述べている。
My prayers, and the prayers of people across the @churchofengland and the nation, are with Her Majesty The Queen today.
— Archbishop of Canterbury (@JustinWelby) September 8, 2022
May God’s presence strengthen and comfort Her Majesty, her family, and those who are caring for her at Balmoral.
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一方、英国女王が国家元首となった英連邦の一国であるカナダのジャスティン・トルドー首相は、女王と王室に「思い」を送った。
Mes pensées, et les pensées de tous les Canadiens, accompagnent Sa Majesté la reine Elizabeth II en ce moment. Nous espérons qu’elle ira mieux et transmettons nos vœux les plus chers à la famille royale.
— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) September 8, 2022
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健康状態の悪化
9月7日(水)、バッキンガム宮殿は、医師から安静を勧告されたため、君主の会見を延期したと発表した。「昨日はお忙しい一日でしたが、今日の午後、陛下は医師の安静の勧告を受け入れられました」と王室報道官は述べた。夕方からオンライン形式で行われるはずだった会議は、「再調整される」と同関係者は語った。
前日、エリザベス女王はスコットランドのバルモラルの邸宅に、辞表を提出しに来たボリス・ジョンソンと、正式に首相に任命したリズ・トラスを迎えていた。宮殿が発表した画像には、96歳の君主が杖をついて微笑みながら、在位70年で15人目の政府首脳となった新首脳と握手している様子が写っていた。しかし、バルモラルの邸宅から新しい政府首脳を迎えることは、エリザベス女王にとって初めてのことだった。従来、君主は伝統的にロンドンのバッキンガム宮殿で新首相を迎える。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi