「必要最小限の規模で」チャールズ3世戴冠式の日程や予算とは?

Culture 2022.09.28

エリザベス女王の死去により王位を継承した新国王にとって今後重要な行事のひとつが戴冠式だ。イギリスの「デイリー・メール」紙によればチャールズ3世は来年6月に戴冠式を「必要最小限」の規模で行うことを望んでいる。

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イギリスの新国王チャールズ3世。(ロンドン、2022年9月12日)photography: Getty Images

「短く、小さく、安く」と「デイリー・メール」紙はチャールズ3世の戴冠式を評した。新国王は実際、自分の信念としても「ミニマリスト」な式典を希望しているようだ。国がインフレに見舞われ、景気後退に向かっているこの状況ではなおさらだろう。

日程、場所、招待客......ロンドンのウェストミンスター寺院で行われるチャールズ3世とカミラ王妃の戴冠式はエリザベス女王の葬儀と同様、綿密な計画に基づいて実施される。その名も「ゴールデンオーブ(金の宝珠) 」計画だ。この宗教儀式を細部に至るまで策定するミッションはすでにスタートしている。

もっとも国王以下の王室メンバーは9月8日にエリザベス女王が死去して以来、バルモラル城で喪に服しているため、すぐの計画発表はない模様だ。イギリスの「ザ・サン」紙に王室と親しい情報筋が語ったところによると、戴冠式の計画を「急ぐ必要はない」との判断が働いているようだ。新国王の広報官も、「国王は戴冠式についてまだ考えていません。だいぶ先のことなので。現在はこの喪の期間にやるべきことに集中しています」と同紙にもらした。しかしながらイギリスのメディアではすでに話題となっている。

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「ミニマリスト」な戴冠式

「デイリー・メール」の情報源を常に信頼できるとは限らないものの、同紙によればチャールズ3世の戴冠式は、1953年の母親の時よりも「短く、小さく、安く」済ませることになるだろうとのことだ。いっぽう、「ミラー」紙に対して王室と近い情報筋は「国王は、国民の生活が厳しいことを知っています。戴冠式は古来の伝統を尊重しつつ、今日の世界における君主制のあり方を反映したものになるでしょう」と語っている。

経済が逆風に直面している折、エリザベス女王の葬儀に税金がどれだけ使われたかは明らかにされていないものの批判の声も出ている。1953年のエリザベス女王の戴冠式の費用は157万ポンドだった。2022年の物価に置き換えると4600万ポンドに相当する。

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伝統を尊重する

エリザベス女王の戴冠式から70年、息子チャールズ3世の戴冠式は非常に似通った式次第となるだろう。国王は祭壇で戴冠の宣誓を行い、法と正義に従って判断を下し、英国国教会を守ることを約束する。新しい君主が戴冠式の椅子、「エドワード王の椅子」に座るとカンタベリー大主教が頭に聖油を注ぐ。2本の王笏、宝珠、ローブを贈った後、大主教が王に王冠をかぶせ、人々は国歌「ゴッド・セーブ・ザ・キング(God save the King)」を歌いはじめる。

こうした伝統的な部分は変わらないものの、異なる宗教関係者を招くことでイギリスの多様性を示すことも期待されている。「デイリー・メール」紙によると、国内の主要な宗教団体(キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教)の代表者が招かれる可能性が高い。

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象徴的な日

まだ何も決まっていないものの、チャールズ3世は戴冠式の日として2023年6月2日、すなわち70年前にエリザベス女王の戴冠式が行われた象徴的な日を希望しているらしい。なお、エリザベス女王が戴冠式を行なったのは即位から16カ月も経ってからだった。

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ウェストミンスター寺院で行われたエリザベス女王の戴冠式。(1953年6月2日、ロンドン) photography: Getty Images

9ヵ月後の2023年6月2日に戴冠式が行われれば、その時点でチャールズ3世は74歳、カミラ王妃は76歳目前。最高齢で戴冠したイギリス国王となるだろう。

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テレビ放送

エリザベス女王の戴冠式は、ウィンストン・チャーチル首相の反対を押しきって、最初から最後までテレビで初めて生中継された。当時テレビを所有していたのはイギリス国民の3分の1以下に過ぎなかった。しかし戴冠式の生中継計画が発表されると、多くの人がこの日のためにテレビを買ったり借りたりした。こうしてまだモノクロの小さな画面ではあったものの、当時の人口の4割に当たる約2000万人のイギリス人がBBCによる放送で式典を視聴したのだった。チャールズ3世も戴冠式の様子を全世界で放送することが期待されている。

由緒ある王冠

ウィリアム王子ハリー王子の父親は亡き母同様、戴冠用王冠である「聖エドワード王冠」を頭に戴くことになる。ルビー、ガーネット、サファイアなど400以上の宝石がきらめく純金の王冠は、イギリス王家の所有する宝飾のなかでも最も象徴的な存在だ。

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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