「ザ・クラウン」でダイアナ妃の悲劇を演じる、身長190センチの美しき女優とは?

Culture 2022.10.23

エリザベス・デビッキがダイアナ妃役を演じる「ザ・クラウン」シーズン5は、11月9日よりネットフリックスで配信開始される。全く違う道を志したこともある、ひとりの才能ある女優の肖像。

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『ザ・バーント・オレンジ・ヘレシー』のプレミア上映会でのエリザベス・デビッキ。(ヴェネツィア、2019年9月7日) photography: Abaca

9月末に公開された「ザ・クラウン」シーズン5の最新撮影ショットでは、すらりとしたエリザベス・デビッキがウェストシェイプの赤いドレスをまとい、白いパンプスを履いており、とてもエレガントだ。身長190cm、32歳の女優が演じるのはハートのプリンセス、ダイアナ妃だ。シーズン6での続投も決まっている。2020年8月、番組の公式アカウントは、「ザ・クラウン」新シーズンは1990年代を舞台としており、彼女がキャスティングされたことを発表した。

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オーストラリア出身の女優は当時、ハリー王子ウィリアム皇太子の母について賛辞を寄せている。アメリカの「タウン・アンド・カントリー」誌が再掲したこの声明でエリザベス・デビッキは「ダイアナ妃の精神、言葉、行動は、多くの人々の心の中に生き続けています」と述べ、「この素晴らしいシリーズに参加できることは、本当にありがたく、光栄なことです。最初のエピゾードから引きこまれました」と続けた。
いまや人気女優のエリザベス・デビッキだが、若い頃は別な道を志していた。

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レオンとマチルダ

1990年8月24日、パリに生まれた。3人きょうだいの長子として数年をフランスで過ごす。ポーランド人の父とオーストラリア人の母は、ともにプロのバレエダンサーだった。5歳の時、母の母国であるオーストラリアのメルボルンへ一家は引っ越した。幼いエリザベス・デビッキに演技への興味はまだない。しかしながら映画は好きだった。子どもの頃に見た映画で記憶に残っているのは『マチルダ』(1996年)や『フック』(1991年)。ティーンになると『レオン』(1994年)を夢中で観た。

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バズ・ラーマンのおかげ

彼女が女優に興味がなかったのは、なによりも両親からダンスへの興味を受け継いだからだ。しかしながら12歳になったエリザベス・デビッキは現実に直面する。どの教師よりも頭ひとつ分背が高かったのだ。身長が高いハンディから、まずはコンテンポラリーダンスに向かってみるものの、やがては演技の道を志すようになる。

 

 

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身長は依然としてコンプレックスであり続けた。「ティーンの頃は、腰をかがめて背を低く見せようとしていました」と2018年にウェブメディア「マインドフード」のインタビューで語っている。「幸い、両親とも背が高く、ふたりともダンサーだったので、身のこなし方を教えてもらえました」とも。

身長コンプレックスを払拭してくれたひとりがバズ・ラーマンだった。「キャリアの初期にバズ監督の映画『華麗なるギャツビー』(2013年)に出られて本当に恵まれていたと思います」と本人も言う。「私の身長を心から良いと思ってくれたおかげで早々に自分の身長を受け入れることができました......」

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才能ある学生

コンプレックスを持ちつつも、エリザベス・デビッキはティーンの頃から演劇の才能があった。メルボルンの高校では英語と演劇で優秀な成績を収め、卒業生総代になった。高校を卒業した2007年、彼女は演劇か法律かで進路を悩む。

結局は演劇を選び、「心配して当然な」両親をがっかりさせてしまう。でも大丈夫、彼女は2年後に見事、リチャード・プラット奨学金を得て、優秀な学生であることを証明してみせたのだから。この賞は、オーストラリアで演劇を学ぶ2年次の学生を対象にしており、オーストラリア有数の民間フィランソロピー団体のひとつ、プラット財団の活動として設けられている。

2010年、エリザベス・デビッキはメルボルン大学芸術学部を卒業した。そして21歳で初めて(小さな)役を得た。ステファン・エリオット監督のコメディ映画『A Few Best Men』(2011年)の秘書役だ。その後、バズ・ラーマンの映画『華麗なるギャツビー』(2013年)のロサンゼルスでのオーディションに呼ばれる。この映画で彼女は一躍注目されることになる。

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ハリウッドへ

この作品の撮影現場ではレオナルド・ディカプリオと、その後『マクベス』(2015年)の撮影ではマリオン・コティヤールやマイケル・ファスベンダーと共演する機会に恵まれる。同年、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)では、シャーリーズ・セロンを差しおいてスパイ、ヴィクトリア・ヴィンチグエラ役を射止めた。さらに2年後、大ヒット作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)でソヴリンの女王アイーシャを演じるなどハリウッドでも活躍の場は広がった。

彼女の演技はカンヌ国際映画祭でも賞賛された。2018年には、映画界の期待の若手俳優に贈られる「ショパールトロフィー」を受賞する。翌年、アメリカの「ヴァニティ・フェア」誌の第25回「ハリウッド」特集号の表紙を、ラミ・マレック、シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメらとともに飾った。その後、クリストファー・ノーラン監督の『テネット』(2020年)のヒロイン役をオファーされるが、オーディションを受けたいと申し出て、もちろん難なく合格する。

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奈落の底に突き落とされる

「クリストファー・ノーラン監督の作品を観て育った私にとって、これ以上うれしいことはありません」と当時、女優は熱く語っている。「監督の映画ではどこに連れて行かれるのか全くわかりません。どんなふうにこの役が描かれるのか知りませんが、まさにそのために私は存在するのです。奈落の底に突き落とされ、目の前で物語が展開するのを見守るために」とも。時には奈落の底で「憔悴する」こともあるそうだ。

 

 

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「役やプロジェクトにとても執着してしまう」と、エリザベス・デビッキは2015年11月の「ザ・ガーディアン」紙の記事で語っている。そして、「ある意味、自分を蝕むがままに任せ、関わりたいと思うことがあればそれに向かって突き進んでいきます」と言葉を続けた。

1997年に交通事故で悲惨な死を遂げたダイアナ妃役も彼女を蝕んだのかどうかはわからないが、いずれにせよ、その姿にお目にかかるのはネットフリックスで11月9日に配信開始するまで待たなくてはならない。なお、2023年には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3(原題)』の第3部にも出演することが決まっている。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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