ロンドンの写真家によるコレクションスナップ集が登場。

ロンドンをベースに活躍したフォトグラファー、斎藤久美の写真集「Have I Met You Before?  LONDON STREET STYLE FROM FASHION WEEK 2001-2018」が11月23日に発売される。

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KUMI SAITO PHOTOGRAPHY #1 HAVE I MET YOU BEFORE? LONDON STREET STYLE FROM FASHION WEEK 2001-2018 Parsnips Archive | parsnips-uk.com
写真:斎藤 久美 デザイン:瀧澤 真姫 編集:若月 美奈 言語:英語 発行所:パースニップス・アーカイブ(英国) 定価:£15.95 / 2,680円(税込) ページ数:184頁 判型:A5(148x210mm) ISBN:978-1-7395963-2-3 *日本国内では洋書扱いになります。

これは2001年から2018年の間に、斎藤がロンドン・ファッションウィークの会場でエディター、バイヤー、モデルらを撮影した膨大な量の写真の中から、ロンドンを拠点とするファッションジャーナリストで斎藤の旧友でもある若月美奈が厳選した200点以上を収録するファッションスナップ集だ。

今では各国通信社のフォトグラファーがコレクション会場でスナップを撮る姿は定番となっているが、2000年代初頭は会場前に待機していたのは日本のファッション誌と直で仕事をするフォトグラファーと同伴のジャーナリストばかりだった。彼らはコレクションスナップをする先駆者的存在だったと思う。
斎藤はその一人であり、あふれんばかりのバイタリティーと天真爛漫さでロンドンのファッショニスタたちによく知られる存在だった。

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お馴染みアレクサ・チャンは、2011年秋冬のショーにリラックススタイルで登場。

タイトルの「Have I met you before?(前にお会いしたことがありますよね?)」は、斎藤がスナップの際に彼女らとたびたび交わしたお決まりのフレーズでもある。

ショー直前直後に足早に移動する人々を引き止めてスナップしていると、相手はレンズ越しに斎藤に気がついてそう問いかけてくる。もしくは撮影中の相手が誰だか思い出せないと斎藤からそう切り出す。
そして、それぞれが「もちろん!」と答えることで場が和らぎ、会話が生まれて良いムードで最高の一枚が撮れる。スナップばかりではなく、数多くのファッション誌の仕事を通して幅広いネットワークを持つ斎藤ならではのエピソードだ。

収められた写真の中には、有名ファッション誌の名物エディターの駆け出しの頃から近年までの歴史を感じさせる姿や、2000年代中頃から後半にかけて一斉を風靡したアギネス・ディーン、アレクサ・チャン、ピーチス&ピクシー・ゲルドフらブリットガールズらも見つかる。

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クララ・パジェット、カーラ・デルヴィーニュ、スキ・ウォーターハウスのモデル三人が並んだ豪華なスナップは2012年秋冬から。

NYやパリとは一味違う、ハイエンドブランドをヴィンテージやハイストリートとミックスしたロンドンならではのコーディネートの数々が次から次へと登場し、ファッション好きはもちろん、ストリートカルチャーやイギリスに興味がある人ならば夢中になってページをめくることになるはず。

2010年代後半になるとインスタグラマーやインフルエンサーたちが台頭し始めて、SNSがコレクションスナップに代わる存在となっていく。それまでのおよそ20年間に斎藤が撮り続けたスナップの数々には、個性を競い合いながら限りないパワーを炸裂させるロンドンの輝く時代が集約されている。

同僚たちに愛されながら数多くの仕事をこなし、長年に渡って時代を写真に収めてきた斎藤は、癌により2020年12月に他界。
「HAVE I MET YOU BEFORE?」は日英同時発売で、日本ではヴァイカナルズ・ロンドン(南青山、銀座、名古屋)、THE SHEなどで販売される。

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カジュアルなスタイルのイギリス人モデルのエディ・キャンベル。2013年秋冬の会場にて。

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2003年春夏の会場でのヴォーグUKのハリエット・クイック。当時エディターたちは決めすぎない装いでショーにやってきていた。

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ポーズを決めるマリアンヌ・テオドーセン。2014年春夏の当時、ブロガーとして一躍注目の存在となっていた。

text:MIYUKI SAKAMOTO

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。

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