英国王室を描いたドラマ、プレミア上映会は女王に敬意を表し喪服で集合。
Culture 2022.11.10
11月9日にロンドンで「ザ・クラウン」シーズン5のプレミア上映会が行われ、ネットフリックス作品のキャストたちは全員黒い服を着てやってきた。
ジョニー・リー・ミラー、イメルダ・スタウントン、ドミニク・ウェスト、エリザベス・デビッキ、ジョナサン・プライスとレスリー・マンヴィル。「ザ・クラウン」シーズン5のプレミア上映会にて。(ロンドン、2022年11月8日)photography: Abaca
11月9日にネットフリックスで「ザ・クラウン」シーズン5の配信が開始され、早くも王室関係者ら各所から批判を浴びている。ピーター・モーガンが手がけるこの歴史ドラマをバッキンガム宮殿やイギリス国民が非難するのは、イギリス王室の最近の出来事を勝手に書きかえているからだ。いずれにせよ、シーズン5では出演者が一新された。ロンドンで行われたワールドプレミアで、新キャストがレッドカーペットに集結した。
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会場のドルリー・レーン劇場にドラマの出演者が続々と到着し、その後、集合写真の撮影に応じた。どうやらみんなで事前に服装を打ち合わせていたらしい。全員が黒を着ていた。エリザベス女王が亡くなって2カ月しか経っていないので喪に服するという意味合いもあったのかもしれない。
「ザ・クラウン」シーズン5のワールドプレミアでレッドカーペットに集結したキャストたち。(ロンドン、2022年11月8日)photography: Abaca
新たにエリザベス女王役を演じるイメルダ・スタウントンは、黒のブレザーにそろいのパンツ、白のシャツとネクタイで現れた。チャールズ皇太子とフィリップ王配役のドミニク・ウェストとジョナサン・プライスは、ともに黒いスーツに蝶ネクタイだった。
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エリザベス・デビッキとリベンジドレス
エリザベス・デビッキはディオール オートクチュールのロングビュスティエドレスで登場し、注目を浴びた。黒のシルククレープドレスにはミニトレーンがついており、ハートネックのデコルテが印象的だ。1994年、ダイアナ妃がサーペンタイン・ギャラリーのパーティで着用した、かの有名なリベンジドレスをほうふつとさせた。
ディオール オートクチュールのビュスティエドレスで登場したエリザベス・デビッキ。(ロンドン、2022年11月8日) photography: Abaca
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あれは1994年6月29日のことだった。ロンドンのケンジントンガーデンにあるサーペンタイン・ギャラリーに晴れやかな顔でやってきたダイアナ妃に、誰もがぎょっとした。妃の服装が王室のルールをことごとく無視していたからだ。体にぴったりしたミニ丈のオフショルダードレスはクリスティーナ・スタンボリアンがデザインしたもの。ひとりで同ギャラリーのチャリティディナーにやってきた妃は人々の視線を釘付けにした。同時に妃は今宵、自分の結婚の破綻が公けになることも知っていた。その晩、チャールズ皇太子はテレビ出演してカミラ夫人との不倫を告白したのだった。
リベンジドレス姿のダイアナ妃。(ロンドン、1994年11月20日)photography: Getty Images
のちに人々は、ダイアナ妃がメディアバトルに勝利したと言うだろう。「民衆のプリンセス」の名で親しまれた妃は人目をひくドレスで他を圧倒した。そしてこの瞬間、「リベンジドレス」という言葉が新たな自由の象徴として誕生したのだった。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)