「ハリー&メーガン」のドキュメンタリーがイギリス王室の傷を再びえぐる。

Culture 2022.12.07

サセックス公爵夫妻のNetflixドキュメンタリーが「ハリー&メーガン」という地味なタイトルで12月8日に公開される。イギリス王室は戦々恐々としている。

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ハリー王子とメーガン夫人。(ウィンザー、2022年9月10日) photography: Getty Images

9月にエリザベス女王が亡くなり、一時期はすべてが丸くおさまるかのように見えた。残念ながらそうはいかなかった。ハリー王子メーガン夫人は諦めていない。それどころか、2020年初めに二人が王室離脱した理由も含めて、王室の内幕を暴露する気でいる。何回やれば気が済むんだと言う人もいるだろう。

2021年3月のオプラ・ウィンフリーとの暴露インタビューは前哨戦に過ぎなかった。12月8日にNetflixで全世界配信されるドキュメンタリー(シンプルに「ハリー&メーガン」というタイトル)でふたりはさらに一歩踏み込んだメディア戦略を展開する。予告編を見る限り、巨額の予算を使って制作されたこのドキュメンタリーはまるで宣戦布告のようで、すでにイギリス王室を震撼させている。

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汚いゲーム

マスコミを批判し、人種差別を告発し、「ザ・ファーム」(英国王室を指す隠語)に苦しめられたことを糾弾する......。エリザベス女王の死から3ヵ月経ち、チャールズ3世が国王となって間もないこの時期にそんなドキュメンタリーが配信される。それにより、埋まりかけていたかのように見えたサセックス公爵夫妻とイギリス王室の溝は再び深まるだろう。そもそも2020年にハリー王子とメーガン夫人がイギリス王室を離脱したのは、イギリスのタブロイド紙から執拗に攻撃されたことが理由だった。

最初はうまく行っていた。2018年、イギリス新国王の次男と混血のアメリカ人女優が結婚し、古臭く、時代がかって窮屈な王室に新鮮さをもたらした。12月5日にNetflixが公開した予告編では、「そして、すべてが変わった」とハリー王子のナレーションが入る。「“一体何が起こったのか”と振り返るのは、とても難しいことだ」と言うと「家族の中にヒエラルキーが存在する。マスコミへのリークもあれば、嘘も流された。汚いゲームだ」と続く。

イギリス王室が恐れる今回のドキュメンタリーにはハリー王子に近い人たちが登場する。たとえば弁護士のジェニー・アフィアは「他の人の“思惑”があり、メーガン夫人に対する攻撃が行われた」と指摘してる。別な友人も「これは憎しみであり、人種問題だ」と言う。

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王室の予想よりもひどい内容の可能性

ハリー王子ならばもっと慎重に王室の仕組みや身内についての説明をするのではないかと考えられていた。だがそれどころか、ウィリアム皇太子の弟は真っ先に王室の行動を糾弾する。「結婚によって制度に組み込まれる女性たちの苦しみや苦悩」を彼が口にする時に流れるのは1997年にパパラッチに追いかけられた末に交通事故で亡くなった母ダイアナの映像であり、同じようにカメラマンに狙われるキャサリン妃だ。ここで疑問が頭に浮かぶ。タブロイド紙に一挙手一投足を詮索される義姉の苦悩についてハリー王子は言及しないのだろうか、ということだ。「怖かった。歴史を繰り返したくなかった」とハリー王子のナレーションは続く。

すごいことになるだろう

「ミラー」紙

AFPの取材に対してバッキンガム宮殿はいまのところノーコメントだ。しかし、今週末の「デイリー・メール」紙に載った宮殿関係者の話では、チャールズ3世とカミラ王妃は、攻撃され続けることに「やや疲れてきた」らしい。しかもドキュメンタリーの内容は「王室の予想よりもひどい内容の」可能性がある。Netflixの関係者は「ミラー」紙に「すごいことになるだろう」と語った。

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最初の暴露は2021年

現在カリフォルニア在住のハリー王子とメーガン夫人は2021年、アメリカのテレビで暴露インタビューを受けた。人気司会者オプラ・ウィンフリーの番組で、息子アーチーが生まれる前、肌の色を聞いてきた王室関係者がいると人種差別の告発をおこなったのだ。王室は「絶対に人種差別をしない」と現在王位継承権第一位のウィリアム皇太子は弁明せざるを得なかった。

以来、兄弟仲は悪化した。たとえ、エリザベス女王が亡くなったとき、一瞬和解したように見えたとしてもだ。ウィンザー城で兄弟は妻を伴い、公の場に姿を現した。互いに言葉を交わさなかったけれど「ファブ・フォー」の復活のように見えた。しかし、Netflixドキュメンタリーや、1月に出版されるハリーの回顧録は依然として存在している。回顧録のタイトルは「スペア(原題: Spare)」で、どんなトーンかは想像がつく。

“妨害工作”、“宣戦布告”、“ハリー、どうしてそんなに家族を憎むの?”と、イギリスのタブロイド紙は書きたてている。イギリスのマスコミにとってハリー王子とメーガン夫人は「私生活をさらけだして金を儲けるカーダシアン家のような存在」。ふたりはダークサイドに行ってしまったカップルで、ウェールズ公爵夫妻はエリザベス女王の直系としてきちんと義務を果たす完璧なカップルというわけだ。

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グッバイ・ハリー

王室離脱後、ハリー王子とメーガン夫人は、NetflixやSpotifyと1億ドル以上と推定される高額契約を結んだ。「サン」紙は、夫妻の「強迫観念的な自己憐憫」と王室に対する「あからさまな軽視」を非難し、すべての称号を剥奪すべきと主張している。ひとつだけ確かなことは、ドキュメンタリーや回顧録をもってしても二人の人気回復にはつながらないだろうということだ。最近のYouGov世論調査によると、英国でふたりはアンドルー王子に次いで不人気の王族だ。一方、ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の人気度はそれぞれ81%と75%。サセックス公爵夫妻が好むと好まざると......。

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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