「退屈でナルシスト」ハリー王子夫妻のNetflixドキュメンタリーに対するイギリスメディアの反応は?

Culture 2022.12.13

ハリー王子夫妻のNetflixドキュメンタリーが12月8日に配信開始された。イギリスメディアは早速、分析が始まっている。

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......そして相変わらずサセックス公爵夫妻は仲が良かった。(ロンドン、2019年6月29日) photography: Getty Images

12月8日に配信開始したドキュメンタリー「ハリー&メーガン」でハリー王子夫妻がやろうとしているのは、イギリスのタブロイド紙ともイギリス王室とも決着をつけることだろう。前者に対してはダイアナ妃と同様のやり方で自分たちを「つぶそう」としたことを告発している。後者に対しては離婚歴のある混血のアメリカ人女優を決して受け入れようとしなかったことを非難し、人種差別を疑う。

Netflix側ではバッキンガム宮殿が恐れるこのドキュメンタリーに対するメディアの反応をある程度予測し、対策を練っていた。「ガーディアン」紙、BBC、「インディペンデント」紙、「タイムズ」紙等......イギリスの主要メディアは配信開始日の午前8時1分(ロンドン時間)、一斉に第一報を流した。なぜなら番組のガードが固く、誰もハリー王子とメーガン夫人がどんなことをしゃべるのが事前にわからなかったからだ。

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「退屈でナルシスト」

そして予想通り、保守的なマスコミは酷評した。「デイリー・テレグラフ』紙は「一方的で臆面もないストーリー」と評し、『スペクテイター』紙はさらに手厳しく、このドキュメンタリーは「退屈でナルシスト」と断じた。ライブ番組を用意した「タイムズ」紙はドキュメンタリーの冒頭で流れるバナーにツッコミを入れた。バナーではイギリス王室がこのドキュメンタリーについてのコメントを拒んだとあるが、バッキンガム宮殿側では即日に、ドキュメンタリーの制作チームからコンタクトされたことはないと否定したからだ。

バッキンガム宮殿のこの発表に飛びついたのは「タイムズ」紙だけではなかった。ハリー王子夫妻と長年険悪な関係にある「デイリー・メール」紙もこれを大きく報じた。「王室の反撃:王室関係者はNetflixシリーズからコンタクトを受けたロイヤルメンバーはいないと語る」と同紙のオンラインサイトにはでかでかと書かれていた。

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「吐き気を催す」光景

「インディペンデント」紙は比較的冷静に事実を分析している。同紙によればハリー王子夫妻が語っているのは人種差別、メディア、そしてふたりの出会いについてであり、また、メーガン・マークルの母親であるドリア・ラグランドのインタビューや、子どもたちの貴重な映像が入っている点に注目している。「このNetflixドキュメンタリーは期待通りだろうか? 最初の5分間で、髪をタオルで巻いたすっぴんのメーガン夫人が、スマホのカメラに向かって泣いているのが見えたので、私は見る価値ありと思いました」と、ジャーナリストのジェシー・トンプソンは書く

一番攻撃的なのはタブロイドの「サン」紙だろう。記事を書いたのは、これまでもメーガン夫人を諸悪の根源と断じているジャーナリスト兼テレビパーソナリティのピアーズ・モーガンだ。「吐き気を催す」光景だとピアーズ・モーガンは書く。「忠告しよう。吐き気を催すだろうからバケツを用意したほうがいい。あるいは涙が出るまで笑うだろうからティッシュも必要だ。もちろん、それは自由を擁護するわれらが英雄コンビの望むところではないだろうが」と辛辣きわまりない。「オプラ(・ウィンフリー)に泣きついて、嘘で固めた「真実の爆弾」を機関銃のように投下した時と比べると、(このドュメンタリーシリーズは)予想通り退屈でありきたりのへつらいばかり。人種差別的で意地悪なメディア、人種差別的で意地悪な王室、人種差別的で意地悪な国民によって英国から追い出された、哀れにも虐げられたふたりという、いつものうんざりするストーリーを助長するだけのもの」とはいかにもピアーズ・モーガンが言いそうなことだ。それにしても「ハリーとメーガン」にちょっと物足りなさは感じる。

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【写真】ハリー王子とメーガン夫人の浮き沈み人生

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メーガン夫人がイギリス国民に慕われていた時期もあった。(バーケンヘッド、2019年1月14日) 

photography: Getty Images

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妊娠中も夫のハリー王子と一緒に積極的に公式の場に登場したメーガン夫人。(ラバト、2019年2月24日)

photography: Getty Images

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モロッコ滞在中、ティータイムをモロッコ国王のムハンマド6世と過ごしたサセックス公爵夫妻。(ラバト、2019年2月25日)

photography: Getty Images

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ケンブリッジ公爵夫妻とサセックス公爵夫妻は「ファブ・フォー」と呼ばれた。コモンウェルス・デーにウェストミンスター寺院のミサに出席する両夫妻。その数日後、プレスリリースで両家の分離が正式に発表され、サセックス公爵夫妻のために新たな王族の家が創設された。 (ロンドン、2019年3月10日) 

photography: Getty Images

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キャサリン皇太子妃ウィリアム皇太子とは異なり、このモロッコ滞在中の写真のように、ふたりは公の場でも仲の良いところを見せた。(アスニ、2019年2月24日)

photography: Getty Images

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それはパパラッチにとってはありがたいことだった。(ラバト、2019年2月25日) 

photography: Getty Images

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ハリー王子とメーガン夫人は5月8日、ウィンザー城で第1子アーチーのお披露目をした。その場にいたのは、カメラマン1人、記者1人、テレビカメラマン1人の合計3名だけだった。
キャサリン皇太子妃とは異なり、サセックス公爵夫人が出産後数時間でカメラの前に立つことはなく、40年来の王室の伝統は破られた。

photography: Getty Images

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公の場に何度も一緒に登場したにもかかわらず、イギリスのタブロイド紙は、ケンブリッジ公爵夫妻とサセックス公爵夫妻の仲、とりわけふたりの公爵夫人の仲が悪くなるのではないかといち早く憶測していた。(ロンドン、2019年6月8日)

photography: Getty Images

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スポーツイベント、「インヴィクタス・ゲーム」の一環として行われたメジャーリーグの野球試合で、ハリー王子とメーガン夫人は、レッドソックスとヤンキースの両チームから、息子「アーチー」の名前が入った子供用ユニフォームを贈られた。(ロンドン、2019年6月29日) 

photography: Getty Images

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......そして相変わらずサセックス公爵夫妻は仲が良かった。(ロンドン、2019年6月29日) 

photography: Getty Images

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初めての公の場で仲が悪いところを見せた瞬間? サセックス公爵夫妻はバッキンガム宮殿のバルコニーで他のロイヤルファミリーとともに、エリザベス女王の誕生日を記念して行われる伝統的なパレード「トゥルーピング・ザ・カラー」に列席していた。しかしながら「デイリー・メール」紙が動画でシェアしたように、式の間、ハリー王子は妻を2回叱責したように見えた。不和の始まりか? (ロンドン、2019年6月8日) 

photography: Getty Images

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サセックス公爵家の夏休み中の貴重な一枚。8月には、イビサ島で賃料12万ユーロの豪華なヴィラに滞在し、プライベートジェットで4往復した。このほか、ハリー王子とメーガン夫人は息子のアーチーを伴い、地中海を見おろすニースの豪華な邸宅にも滞在している。ふたりが日頃主張している環境保護への取り組みと相反するこの行動は大きな批判を浴びた。(ウォーキンガム、2019年7月10日)

photography: Getty Images

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ハリー王子とメーガン夫人は、『ライオンキング』のロンドン・プレミアに出席し、ビヨンセやファレル・ウィリアムズと歓談した。(ロンドン、2019年7月14日)

photography: Getty Images

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批判を浴びた夏休みの後、サセックス公爵夫妻は南アフリカへ。到着からわずか数時間後、ハリー王子とメーガン夫人はニャンガの町の若者たちとダンスを踊っていた。(ニャンガ、2019年9月23日)

photography: Getty Images

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ハリー王子は母ダイアナ妃が1997年に訪れたアンゴラを訪問し、ダイアナ妃来訪記念樹の前に座った。(フアンボ、2019年9月27日)

photography: Getty Images

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2019年10月1日、南アフリカでハリー王子は妻を攻撃する新聞社を訴える意向を公式声明で発表した。ハリー王子は、何カ月もタブロイド紙の標的になっている妻が母ダイアナ妃と同じ運命をたどることを恐れていた。 (ヨハネスブルグ、2019年10月2日)

photography: Getty Images

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アフリカに滞在中、ふたりはモンワビシビーチでのんびり朝を過ごし、地元サーファーたちと組んで活動するチャリティ団体「Waves for Change」のメンバーと面会した。(ケープタウン、2019年9月24日)

photography: Getty Images

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ハリー王子とメーガン夫人は、元アパルトヘイト活動家のデズモンド・ムピロ・ツツを訪問し、息子のアーチーを紹介した。(ケープタウン、2019年9月25日)

photography: Getty Images

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その1カ月後、ハリー王子とメーガン夫人は、第一次世界大戦で亡くなったイギリス兵を称える式典において再び公の場に姿を現した。(ロンドン、2019年11月7日)

photography: Getty Images

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兄弟仲の悪さを噂されながらもケンブリッジ公爵夫妻とサセックス公爵夫妻は、ロイヤル・アルバート・ホールでの2つの世界大戦の戦没者追悼式典で顔をあわせた。(ロンドン、2019年11月9日)

photography: Getty Images

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兄弟仲の悪さを噂されながらもケンブリッジ公爵夫妻とサセックス公爵夫妻は、ロイヤル・アルバート・ホールでの2つの世界大戦の戦没者追悼式典で顔をあわせた。(ロンドン、2019年11月9日)

photography: Getty Images

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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