ハワイ王朝最後のプリンセス、96歳で死去。
Culture 2022.12.19
アメリカのハワイ王朝の末裔、アビゲイル・カワナナコアが12月11日に96歳で亡くなった。
ホノルル・スター・アドバタイザー紙のインタビューに答えるアビゲイル・カワナナコア。photography: YouTube / Star-Advertiserのスクリーンショット
エリザベス女王が亡くなって3ヶ月経った12月11日、アメリカ唯一の王朝は最後のひとりを失った。ハワイ王国の宮殿としてかつて使われていたイオラニ宮殿は12月12日に、ハワイ王国のプリンセス、アビゲイル・カワナナコアが96歳で亡くなったと発表した。彼女はこの太平洋諸島の最後の王族、「ラスト・アリイ」(ハワイ語で「王家の一員」という意味)であるとされている。死因は発表されなかったが、ウェブサイト「ハワイ・ニュース・ナウ」によると、高齢の王女は体調があまり良くなかったようだ。
「アビゲイル・キノイキ・ケカウリケ・カワナナコア王女は同夜、ヌウアヌの自宅で妻のベロニカ・ゲイル・カワナナコアに見守られながら安らかに息を引き取りました。ハワイは王女のご逝去を悼みます」と宮殿の声明には記載されている。2017年に結婚した妻のベロニカは「アビゲイルのことはハワイや民への愛によって記憶されるでしょう。私は心から彼女を恋しく思います」と語った。
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彼女が民族に遺したものは永遠に残る。
ジョシュ・グリーン ハワイ州知事
ハワイ州知事のジョシュ・グリーンは彼女が亡くなった当日、国旗を終日半旗掲揚するよう命じた。「(妻の)ジェイミーも私も、アビゲイル・キノイキ・ケカウリケ・カワナナコア王女が亡くなられたことを悲しんでいます。アビゲイルはその地位の重みを誇り高く謙虚に引き受け、関わったすべての人々の人生を豊かにしました。先達の多くの“アリイ”同様に、彼女が民族に遺したものは永遠に残るでしょう」と州知事は語った。
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祖母の養子となる
アビゲイル・カワナナコアは、ハワイの砂糖プランテーションで富を築いたアイルランド人実業家ジェームズ・キャンベルの曾孫にあたる。島でも有数の地主であったジェームズ・キャンベルは、アビゲイル・クアイヘラニ・マイピネパイン・ブライトと結婚した。生まれた娘は同じくアビゲイルと名付けられた。このアビゲイルはハワイ王位継承権を持つデビッド・カワナナコア王子の妻になった。ふたりの間に、リディア・リリウオカラニ・カワナナコアが生まれた。アビゲイル・カワナナコアの実母はこのリディアである。
しかしながらアビゲイル・カワナナコアは6歳のとき、ハワイの伝統的な「ハナイ」の風習に従い、祖母アビゲイルの養子となった。それは王権が回復した場合、彼女を直接の相続人とするための措置だった。王女の称号はもはや正式なものではないが、彼女の祖先は19世紀後半に入植者によって廃位させられるまで、ハワイを支配していた。それ以前の19世紀初頭、ハワイ諸島はカメハメハ王朝のもとでひとつの王国に統一された。米国によって占領されたのちに1898年にアメリカ合衆国領へ編入され、1959年に米国50番目の州となるまでは、各国と独自に交易をする国だったのだ。
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財産争い
アビゲイル・カワナナコアは晩年、マスコミで話題になった。彼女は巨額の財産を所有していた。しかしながらアビゲイル・カワナナコアが2017年に脳卒中で倒れた後、法律顧問のジム・ライトが財産を管理するようになった。アビゲイル・カワナナコアは、20年間共に暮らしてきた伴侶である24歳年下のベロニカ・ゲイル・ワースとともに財産管理権を取り戻そうとし、ふたりは結婚までした。そうすれば財産を取り戻せると信じていたからだ。だがそうはならなかった。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)