山羊座の空模様-石井ゆかりの星占い「2023年の年報」

Culture 2022.12.31

2023年 山羊座の空模様

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何が欲しくて、何が必要で、どれを手に入れればいいか。
欲しいものを欲しいと言っていっていいのか。
これはワガママなのか、そうでないのか。
なんでもガマンするのが正しいのか。
欲望は、悪なのか。贅沢は、悪なのか。
やりたい放題やっている(ように見える)人々に、なぜこんなに腹が立つのか。
欲しいものが何もないのは、どうしてなのか。
欲しいと思うべきものを欲しいと思えないのは、なぜなのか。
そもそも、自分がこれを欲しいと思う気持ちは、どこから来るのか。
欲して手に入らなかったら深く傷つくから、欲しいと思うこと自体をやめるべきだ。
自分が欲しているのは「欲される」ことで、そこに無限ループが生じてはいないか。

「欲望」にまつわる問いを考えてみると、山のように降り落ちてきます。
自分の内なる衝動と「他者の目」とが絡まり合って、互いにずっと傷つけ合っているような風景が、そこに見えてきます。

人の「悩み」は結局は、たった3つのテーマに集約されると言われます。
すなわち、健康、人間関係(愛を含む)、そしてお金です。
どれも私たちの欲望から発する「悩み」だと考えることもできます。
人間は健康な身体が欲しく、愛や信頼関係が欲しく、そして、富が欲しいのです。
もとい、今の世の中では、「欲望」とはとても呼べないようなことのほうが悩みの主流であるように思われます。
「たくさんの富が欲しい」のではなく、家族と自分が安定して食べていけるだけの収入が欲しいのです。ありあまる元気が欲しいのではなく、ただ身体の痛みやしんどさがなくなって欲しいだけなのです。大それた愛が欲しいわけではなく、ただ尊厳を傷つけられたり、心を踏みにじられたりしたくないだけなのです。
こうした悩みを抱えた時、とりわけ「欲すること」は悪のように見えます。
ただ生きていくためにあれもこれも足りなくて呻吟している自分の目の前で、すでに充分以上に持っているように見える人が「もっとたくさん欲しい」と言っていたら、怒りが湧いてきて当然です。

それでも。
本当は、人間は本当にたくさんの欲望を生きているものなのだと思うのです。
世間の目というとげとげにつつかれ、自分の欲望をひた隠しにしながら生きているうちに、何が欲しくて何が必要なのか、本当のことがわからなくなります。
こんなものはそれほど欲しくない、と言いながら、当のそのモノを山ほど持っている人は、決して珍しくありません。
「自分は、ムダ使いはそれほどしていない」と感じていても、第三者から見ればムダの塊のような生活をしていたりするのです。
自分が欲しくて仕方がないものを持っている他者を密かに妬み、「そんなものを持っているのは悪だ」と糾弾する人もいます。この「妬み」の感情に、この人たちの多くは、気付いていません。
こうしたことはほとんど無意識に行われているか、その人の視界においては「なかったこと」「ちょっとした脱線」「小さなエラー」と見なされています。本質的なことではない、たいしたことではない、ということになっているのです。
こんな不可解な、認めがたい「欲望」を、私たちはどうすればいいのでしょうか。

2023年、山羊座の世界では、「欲望」がストレートに流れ出します。
何かを欲しいと思う気持ち、何かを求める気持ち、何かを知りたいという気持ち、何かを手に入れようとする衝動が、歪みなく、ねじまがらず、傷つけられも踏みつけられもせず、まっすぐに自分の心の中から外界へと流れ出すのです。
さらにその流れは血流のように、生活全体、今ある人生全体をさらさらと環流し、貴方の世界をいきいきと活気づけます。
今まで否定されていた衝動が肯定され、閉じ込められていた思いが解放され、罰されていた心が許されて、花のように生活が「ひらく」のを感じられるでしょう。

人を愛したいという思い、人から愛されたいという思い。
心に響く何かを「自分のものにしたい」という思い。
「禁止」が解除され、それらの思いが自然に生活の中を流れ出した時、貴方を取り巻く風景全体が、豊かな、豊饒なものへと変わっていくでしょう。
2023年、貴方の心の中と、貴方を取り巻いている景色とは、連動し、一体化しています。貴方が目にする美しいものがそのまま、貴方の心の中にあるのです。

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[時期について]

年明けは星座を問わずスローペースなのですが、特に山羊座の人々は、立ち止まったり振り返ったりする場面が多いかもしれません。先を急ぐことなく、ゆっくり起ち上げていけばだんだん、調子が出てきます。
1月は経済的にうれしいことが多い時です。臨時収入などが期待できる一方で、散財気味になる気配もあります。ただ、これまで経済活動に強い不安を抱えていた人、「足りない」ことへの恐怖心が強まっていた人は、そうした辛い気持ちがこのあたりから、少しずつ和らぐのを感じられるかもしれません。

1月末から2月は、コミュニケーションが明るく盛り上がる、楽しい季節となっています。いろいろな人から声をかけてもらえそうですし、こちらからも多方面に働きかけて、ほんわかとしたネットワークを広げられるでしょう。

3月はどの星座の人にも「転機」となりやすいタイミングですが、山羊座の人にとっては特に、「解放」を感じられる時間となるかもしれません。これまで自分を強く支配していた衝動やこだわりが、徐々に「抜けてゆく」ような感覚が湧いてきそうです。
2020年頃から経済的な問題を抱えていた人は、この3月を境に問題が解決に向かいます。お金に関する制限、縛りが解除され、深い安堵に包まれる人もいるはずです。
2022年8月末から心身のコンディションに問題があった人も、この3月末には問題が解決しそうです。生活が落ちつかなかった人、暮らしがイレギュラーな状態になっていた人も、この3月を境に落ち着きを取り戻せるでしょう。

3月末から6月頭にかけて、人間関係に熱がこもります。人と積極的に関われますし、好意や愛情を豊かに伝え合えるでしょう。普段あまり感情を見せない人も、この時期はエモーショナルな面を敢えて見せることで、特別な人との強い結びつきを作れるかもしれません。

3月から「愛の時間」がじわじわと始まり、4月には「愛の復活」の気配もあります。そして5月以降、本格的な「愛と創造の季節」が到来します。ここから2024年5月にかけて、素晴らしい愛のドラマを生きる人が少なくないでしょう。子育てやペットを飼うこと、趣味の活動、クリエイティブな活動などにも、特別な追い風が吹き続けます。心から愛せるものや、夢中になれるものに出会える時です。

5月下旬から10月上旬は、「ギフトの時間」となっています。人から価値ある贈り物を受け取ったり、重要な役割や財を受け継いだりすることになるかもしれません。あるいは、素晴らしいオファーが来たり、貴方のために特別な機会をセッティングしてもらえたりと、形のない「ギフト」もたくさん贈られるでしょう。贈り物を遠慮なく受け取った上で、それを「どう活かすか」を考えていくことになります。

7月中旬から11月上旬にかけては、遠出の機会が増えそうです。旅行や出張、遠征、留学など、熱い使命を抱いて長い距離を超えることになるかもしれません。特に8月後半から9月半ばは、長く離れていた地元に帰ったり、懐かしい場所を再訪したりする機会がありそうです。距離を超えて何かしら「取り戻せるもの」がある時です。

8月末から10月中旬は、熱い多忙さに包まれます。ガンガンチャレンジして、大きな成果を出せる時です。特に仕事や対外的な活動において、「勝負をかける」人が少なくないでしょう。ここで奮闘したことの成果は、少しタイムラグを置いて、11月半ばから12月に見えてくるかもしれません。

10月半ばから11月は、交友関係が活性化します。仲間と熱く関われますし、人脈が広がり、より大きな人的ネットワークに身を置くことで成長できそうです。これまで貴方が経験したこと、積み重ねてきたこと、10年以上の時間をかけて成し遂げつつあることについて、周囲の人々が熱く賞賛してくれるかもしれません。

11月半ばから年明けは、「振り返り」の機会が増えそうです。過去を振り返ったり、第三者からは見えないところで慢性的な問題の解決に取り組んだりする必要が出てくるでしょう。また、新年の新しい活動に向けて、水面下で準備に奮闘することになるかもしれません。

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[愛について]

5月半ばから2024年5月まで、約12年に一度の「愛の季節」に入ります。愛を探している人も、カップルも、素晴らしい愛のドラマを生きることができるでしょう。
特に、愛を探している人は、突然の出会い、意外な出会い、電撃結婚など、周囲も自分もびっくりするような展開が考えられます。

2018年頃から「愛」をどこか覚めた目で見つめてきた人、シニカルな、あるいは極度にロジカルな眼差しを向けてきた人は、少し古くさい、ベタな感じのする愛の世界にいつのまにか、引き入れられることになるかもしれません。

どんなことでも、頭で考えたイメージと、現実にやってみた時の感触は、大きく異なっているものです。特に「愛」は、夢と現実の乖離が大きい世界だと思います。過去数年、貴方はどちらかと言えば、理想や論理に注目し続けたために、現実の愛を捉えにくくなっていたのかもしれません。ルールや正しさ、自由、自律、公平平等といったテーマはどれもとても大切ですが、それら「だけ」では、愛はスケルトンのようにスカスカになります。2023年半ば以降、理想や論理の骨組みに、現実という血肉が流入します。温かな矛盾や古くささ、懐かしさ、曖昧さや絶対的なものをふんだんに含んだ、確かな手触りのある愛が、貴方の世界に流れ込むのです。

5月末から10月上旬は、非常に官能的な時間でもあります。求め合うこと、与え合うこと、お互いに「欲しい」と思うことの素晴らしさを深く味わえるでしょう。愛は段階的に、互いに侵入を許すプロセスを含みます。2023年、愛の世界で貴方は相当深い場所まで入り込んで、自分の中に固く閉ざされていたものを解き放つことができるかもしれません。

2008年頃から、貴方のもとには冥王星という星が滞在してきました。冥王星は熱い情熱、支配欲、制御し得ない衝動、生き物の根源的な生命力、再生の力、生殖、遺伝、性的欲望などを象徴する星です。つまり、恋愛と深く関わる星なのです。
2008年頃から自分でも不思議なほどの衝動に振り回されたり、がんじがらめになってきたりした人も、もしかしたらいるかもしれません。日常生活では無視されがちですが、人間は何よりも「動物」であり、理性ではどうにもできない激しいエネルギーに支配され尽くしてしまうことがあるのです。「頭ではわかっているけれど、心が拒否する」ようなテーマについて、考え続けながら呻吟する。もしそんな状態に心当たりがあるなら、2023年3月から、内なる、荒ぶる「縛り」がほどけはじめます。あれほど逃れがたかった激情が、少しずつ火が小さくなるように、だんだん収まってゆくのです。
内なる炎が強すぎて見えなくなっていた外界のことどもが、このあたりから少しずつ、よく見えるようになります。見失っていた誰かの大切な愛、自分を大切にしてくれている人の優しさ、人の変わらぬ真心など、「そこにあるのに、見えていなかったもの」が見えてきた時、貴方の愛の物語全体が、がらっと方向転換する可能性があります。本当は誰を愛し、誰に愛されるべきなのか。そのことへの認識が改まり、心の真実と噛み合い、愛によって人生が変わる。2023年から2024年いっぱいくらいまでの中で、そんな体験をする人も少なくないかもしれません。

2023年、愛に追い風が吹く時期は年明けから3日、3月半ばからそのあとずっとです。特に5月半ばから6月頭は、素敵なことが起こる気配が濃厚です。

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[おわりに]

2023年の年明けは、「居場所・住処を作る」プロセスのまっただ中にある人が多そうです。2022年5月頃から「居場所・家・家族」などを象徴する場所に拡大と成長の星・木星が入り、2023年5月まで滞在しているのです。家族構成が変わったり、引っ越しやリフォームなどで住環境が変わったり、何かしら「生活」が変化しつつある人が多いはずなのです。木星は古くから幸福の星とされていますから、ストレートに「家の中に幸福を育てる」取り組みが今、進んでいるだろうと思います。
家族や身近な人との関係に問題を抱えていた人は、この5月までに修復できるかもしれません。あるべき家族関係、あるべき生活の形を整えて、より安心できる暮らしを再構築できる時です。
この「生活環境・家庭の再構築」のプロセスは、貴方の心身のコンディションとも密接に結びついているようです。暮らし方や身近な人との関わり方を変えることで、体調が大きく変わる時と言えます。

5月以降の約1年は、「愛と創造の季節」です。素晴らしい愛を生きる人もいれば、クリエイティブな活動に打ち込む人もいるでしょう。才能が開花する時であり、人生において自ら「これは大切にしたい」と思えるものが増える時です。とにかく楽しいことが多いはずですし、自分の望みを軸にして生きられるでしょう。
2018年頃から、好きなことや愛について、どこか論理的になりすぎていたり、客観的であろうとするあまり、本気になれずにいたりしたのかもしれません。「これは今の時代に合わないのではないか」などという懸念から、好きなことや愛そのものと距離を置いていた人も、もしかしたらいるのではないかと思います。そうしたロジカルな距離感とでもいったものが、2023年からは少しずつ和らぎ始めます。確かに、論理も客観性もとても大切ですが、そこに血の通った人間的な思いがなければ、愛も才能も、屋根のない家のようなものになってしまいます。これまで作ってきた確かな骨格に、2023年は肉付けを始められます。愛が、才能が、現実のボディを得て活き活きと躍動し始めます。

2020年頃から経済的な問題を抱えていた人は、2023年3月を境に、その問題が解決していくでしょう。不安や懸念材料が消え、これまでの努力のもとに作られた収入の途がコンスタントに機能し始めます。過去2、3年の貴方の苦労は、今後の安定的な経済状態の土台となるはずです。
禁欲や節制を自分に強いてきた人は、特にこの3月から6月頭に、少々放縦な状態になるかもしれません。冒頭から述べたような、「自分の欲望に気付く」というプロセスが走り始めるのです。とはいえ、これは2043年頃まで続く長丁場のプロセスで、まだ全容は見えてこないかもしれません。

「愛について」で触れた冥王星の移動は、ひとつの荒ぶる時代の終焉であり、「破壊と再生」のプロセスの終幕です。つまり、すでに「再生」のルートには足を踏み入れている貴方がいるはずなのです。2008年頃から一度失って、まったく別の形で手に入れたもの。激しい感情の渦を通り抜けて、手の中に残った、落ち着いた、活き活きとした、初々しいもの。それをじっと見つめるような時間を、2023年は随所に持てるかもしれません。
人間は新陳代謝を繰り返して生きていきます。すなわち、生活全体が壮大な「破壊と再生」です。この「破壊と再生」の本質をさまざまな形で体験し、血や肉としたのが過去15年ほどのプロセスだったのではないでしょうか。そんな激しい、嵐のような道を通り抜けて、今、貴方は新しい生命力を得ているはずです。そして、その生命力を「どう使うか」を考え始めているのだろうと思います。

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illustration: Tomoko. B. Iwawaki

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