天秤座の空模様-石井ゆかりの星占い「2023年の年報」

Culture 2022.12.31

2023年 天秤座の空模様

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「しがらみ」は一般に、悪いものと考えられています。
この言葉はもともと、水の流れをせき止めるために、川の中に設置した「柵」を意味するのだそうです。杭を打ち込み、横に竹や木の枝を渡して、水の流れを遮るのです。このことから、「さまたげるもの・まとわりつくもの・流れを遮るもの」の意味で使われるようになったということです。
「自由に生きていきたいが、いろいろなしがらみがあって、そうはいかない」といった言い方は、自分という水の流れがせき止められている、というイメージを含んでいるのだなと思います。

私たちは基本的に、時間の流れの中で、世の中をどんどん「流されて」いきます。
ですが、年齢を重ねるにつれて、あっちの人のお世話になり、こっちの人の恩義を受けて、だんだんと「素通り」できない場所が増えます。
人生を先に進めば進むほど、「しがらみ」が増えて、あちこちで立ち止まることを余儀なくされます。
こうしたことを「不自由だ」と感じるために、「しがらみ」は悪い意味で用いられるのでしょう。
でも、もし一切の「しがらみ」がなかったら、どうでしょうか。
その人生は、他者との関わりの薄い、助け合いのきっかけの掴みにくい、とても孤独なものと言えないでしょうか。
たとえば「しがらみ」のないドラマというのは、多分、ほとんど存在しないだろうと思います。しがらみがなければ、おもしろくないのです。
人と人とが気持ちによって結びつき、お互いをとてもよく覚えていて、お互いの心を大切にする時、そこには何かしらの「しがらみ」が生じるのです。
そうした「しがらみ」やジレンマの中からしか、生まれてこないものがあります。
人が一生懸命になり、あれこれアタマを使い、あちこちで相談したり、心の中で気持ちをこね回したりしながら「道を見つけよう」とするのは、「しがらみ」があるが故です。

2023年の天秤座の世界では、「しがらみ」が新しい、より前向きな意味を持つことになりそうです。
自分ひとりではどうにもならないことがあり、相手ひとりでもどうにもならないことがあって、お互いにどうにもならない中で手を差し伸べ合い、差し伸べ合った手が複雑に絡み合いながら、新しい世界を創り出します。
たとえば私たちは日々、他人との関わりをお金やお礼などで「精算」していきます。モノをもらったらお返しをし、あるいは対価を支払って、その都度恩義をリセットするのです。
ですが「しがらみ」の中では、関係を清算できません。
私たちはお金や言葉で精算できない繋がりの中で、頼ったり甘えたりし合いながら生きています。そしてそれこそが、本当の人間関係なのだと思う向きもあります。利害関係でもない、支配関係でもない、清算できない関係を生きることにこそ、価値や意義がある、という考え方は厳然と存在します。そうした関係の中では、たとえば「なぜ今、自分を助けてくれるんですか?」と尋ねても、論理的な説明は返ってきません。自分が誰かに力を貸す時も、論理的には説明しきることができません。説得できたとしても、その根幹は理屈ではできていないのです。
少なくとも2023年の天秤座の世界では、そうした関わりが大きく育ち、複雑化し、深みと厚みを増します。

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[時期について]

年明けは愛にあふれるゆったりした時間となっています。年末年始は普段よりもプライベートにスポットライトが当たる時期ですが、今年は特に懐かしい人との再会や、普段あまり会わない人々との交流が盛り上がりそうです。
とはいえ、コミュニケーションや交通に混乱が生じやすい時期でもあります。先を急がず、予定は柔軟に変更し、連絡が行き違ってもあまり慌てずに過ごしたいところです。
1月下旬に入ると混乱も収まり、スピード感が出てきます。行きたい所に行けるようになりますし、フットワークを活かして「攻める」動きができるでしょう。

1月末から2月は「生活改善」や心身のコンディションの向上を図れるタイミングです。暮らし方を見直すとともに、日々の生活の中に「楽しみ」をいろいろ仕込めそうです。

3月は星座を問わず、2023年の「山場」となっています。天秤座の人々にとっては特に、いろいろなことが「解禁」される感じがあるかもしれません。これまで、「やりたいこと」から遠ざけられていたなら、ここから「やりたいこと」にぐっと肉迫できるようになります。自分の思いを通しやすくなりますし、自己主張・自己表現ものびのびとできるでしょう。押さえ込んでいた「自分」を解放できそうです。

3月末から6月頭は、非常に忙しい時期となっています。仕事や対外的な活動の場で、おおいにチャレンジできるでしょう。少し難しい仕事を引き受けたり、リーダー的な立場に立たされたりする人もいそうです。新しい任務を開拓できる時です。

5月から本格的に「ギフトの時間」に入るのですが、すでに3月下旬からこの流れを感じられるでしょう。人から素敵な提案を受けたり、うれしい機会をセッティングしてもらったりと、形のない「ギフト」もたくさんあったはずです。ここから約1年、人からもたらされるもの、贈られるものに何かと「乗っかっていく」ことで得るものが多くなります。
誰かから大事なものを「託される」ような展開もありそうです。

5月末から10月頭まで、「人に恵まれる」時期となっています。仲間が増えたり、新たに友だちができたりと、「人の輪」が外側へと広がっていきます。
また、新たな夢を見つける人もいるかもしれません。ここからフレッシュな夢を追いかけ、比較的短期間にその夢を掴む人もいるだろうと思います。

7月から8月は「隠れた敵と戦う」ような場面があるかもしれません。水面下で難しい問題解決に挑む人もいれば、自分の中の「もうひとりの自分」、すなわち、コンプレックスや認知のゆがみ、内面化された古い価値観などと、熱く闘って変えてゆく人もいるでしょう。この「闘い」自体は第三者からは見えませんが、戦いに勝利することによって、現実の状況が大きく変わる可能性があります。

8月末から10月上旬は、フレッシュな挑戦の時間です。新しいことを始める人もいれば、周囲を巻き込んで熱いムーブメントを起こす人もいるでしょう。また、エクササイズやスポーツを始める人もいるかもしれません。カッカしてくる時期なので、このエネルギーを何に使うか、どこに向けるかが、ひとつの大事なテーマとなります。

10月半ばから11月は、経済活動が大きく動きます。価値あるものが手に入りそうです。収入が一気にアップする人もいれば、大きな買い物をする人もいるでしょう。ずっと欲しかったものを、人からのサポートを得てつかみ取ることができるかもしれません。

11月から12月頭は、自分らしさを取り戻せる、とてもキラキラした楽しい季節となっています。うれしいことがたくさん起こるでしょう。愛にも強い追い風が吹きます。
また、11月から年明けは、フットワーク勝負の時期でもあります。あちこち動き回り、周囲の人にも広く働きかけて、得るものが多いでしょう。勉強にも勢いが出ます。

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[愛について]

2023年前半は「パートナーシップの時間」です。
パートナーを探している人は、2023年前半に「その人」に出会える可能性が非常に高くなっています。是非、行動を起こしてみたいところです。
この「パートナーシップの時間」は、2022年半ばからすでに始まっています。2022年後半に愛の芽を見つけ、2023年前半にその芽を大きく育てていく、というプロセスの中にある人も少なくないはずです。
まだ何もない、という人も、2023年は全体を通して、愛が大きく「開かれ、育つ」時間となっています。積極的に「その人を探す」アクションを起こせば、きっと結果が出ます。

2020年頃から、「愛に背を向けてきた」人も少なくないかもしれません。愛というもの自体が信じられなくなったり、愛の重みを背負う勇気がなくなったりと、なんらかの形で愛について痛みを感じた人もいるのではないかと思います。そうした愛の閉塞感、孤独感、愛からの分離の感覚が、2023年半ばを境に消えていきます。愛に対する硬直的な感情が解きほぐされ、ストレスやプレッシャーも解消されるでしょう。「愛とはこうでなければならない」といった強い規範意識のようなものも、ここから徐々に解体されます。よりやわらかな、血の通った、人間的な愛を求めることができるようになるのです。
愛の世界でリラックスできるようになりますし、愛についての悩みや苦しみは、この3月を境に消えていくか、まったく別の思いへと変わるでしょう。

6月から10月上旬は、そんな「開かれた」心に、爽やかな愛の風が流れ込みます。交友関係の中から愛が生まれたり、パートナーとの愛や尊敬の念が「再燃」したりといったことも起こりそうです。

ほかに、愛に追い風が吹くのは1月、2月下旬から3月半ば、11月から12月頭です。

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[おわりに]

天秤座の2023年は人間関係の年であり、「人」の年です。年の前半は特に、公私ともに豊かな出会いと関わりに恵まれるでしょう。もともと天秤座という星座自体が「関わりの星座」で、出会いや人間関係は貴方にとって「得意分野」のはずです。2023年はそういう意味で「本領発揮の年」と言えるかもしれません。
この「人間関係の年」は、2022年5月からすでにスタートしています。普段以上に豊かな関わりが、貴方の世界を包み込んでいるでしょう。2023年はそうした関わりに、さらに深く入り込める時間と言えます。特に年の半ば以降は、人から受け取るものがたくさんあり、人の世界に踏み込む機会も増え、紐帯がぐっと強まります。
6月から10月上旬は交友関係が盛り上がり、人脈が広がります。新しい人の輪の中に自分を置いた時、新たな自分を発見する人もいるはずです。

2018年くらいから、「人の世話になってはならない」「人に迷惑をかけたくない」という気持ちが強まっていた人も多いかもしれませんが、この5月以降はむしろ「人から贈られるものを、積極的に受け取ってみよう」という思いを持てそうです。一度「分離」してみて、その上で「こういうものは受け取っていいけれど、こういう部分では依存しないほうがいい」といった見極めがつくようになっているのかもしれません。それゆえに、人から何かを受け取ったり、託されたものを引き受けたりすることが、比較的容易になるのだろうと思います。

2020年頃から「本来うれしいはずのことが、素直に喜べない」「とても楽しんでいたことのはずなのに、なぜか楽しめない」といった思いを抱いていたなら、2023年はその違和感が消えてゆく年です。喜びや楽しみが、滞りなく貴方の心に湧き上がり、外界へと流れ出します。その思いが貴方自身だけでなく、周囲の人々をも温めることになります。
才能を発揮することを恐れたり、自己主張を飲み込んだりしてきた人もいるでしょう。「自分」を表現することを押さえ込む苦しみを、これまで必死に耐えていた人もいるはずです。そうした苦悩も、2023年3月頭でおしまいです。喜びや楽しみの方向へ、自分の本質や才能をおおらかに「ひらく」こと。2023年3月以降そのことが「解禁」され、驚くほど明るい世界を生きられるようになるはずです。

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illustration: Tomoko. B. Iwawaki

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