蠍座の空模様-石井ゆかりの星占い「2023年の年報」

Culture 2022.12.31

2023年 蠍座の空模様

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「絶対」の対義語は「相対」です。
「相対的に」とは、何かとほかの何かを比べて、どんな差があるか、どう違うか、ということを語る時の言い方です。
一方「絶対」は、比較したり、取り替えたりできないことを言います。ほかにどんなオプションを提示されても、状況がどんな風に変わっても、「絶対」なものは「絶対」で、変えられないし、揺るがないのです。
「自分は絶対にこれを選ぶ」と言ったなら、それはもう、「選択」ですらありません。それはあらかじめの決定のようなもので、そもそもほかのものと比べて選んだりしていないのです。ほかにどんないいものがあろうと、ほかの選択肢を選ぶ余地がこれっぽっちもないのです。それが「絶対」です。

2023年の蠍座の世界には、絶対的なものがたくさんあります。
あるいは「これは絶対的なものだ」と気付かされていくルートに乗る、ということなのかもしれません。
たとえば、他人から見ればどの猫も犬も似たり寄ったりですが、飼い主から見れば「その猫」は絶対的に「その猫」で、ほかの猫と簡単に取り替えたりはできません。
いわゆる「ペットロス」と言われる悲しみに打ちひしがれている人に、「また新しいペットを飼えばいいのでは?」と声をかけることがナンセンスなのは、そのためです。
第三者から見れば、犬や猫は相対的な存在です。でも、一度その対象に愛を注いでしまった人にとっては、ほかの犬や猫と、自分のそれとは違います。
子どもが何人もいても、そのうちのひとりを失えば、親は悲しみに沈みます。「鬼子母神」のお話には、ひとつの真実が織り込まれています。
愛は「絶対」を創り出します。絶対的なもので作られた幸福は、強靱で、ゆるぎなく、真に充実しています。
絶対的なもので作られた幸福を生きたことがある人には、ある種のどっしりした揺るぎなさと、不思議な自信が感じられます。

2023年の蠍座の「絶対」は、さまざまな生活のシーンに根を張ります。
「絶対にここだ」と思える居場所を見つける人もいるでしょう。
「絶対にこの人だ」と思えるパートナーを得る人もいるでしょう。
クリエイティブな活動において「絶対にこれを完成させるぞ!」と決意する人もいるでしょう。
「自分の任務はこれだ」と決める人もいるでしょう。
なんらかの世界観、場所、人間関係の中に、貴方は絶対的に根を下ろすことになります。そこからはもう、簡単に離れたり、やめたりすることができません。
「つぶしがきく」ような選択は、2023年の貴方とは無縁でしょう。
ほかのものとなど決して取り替えたくないし、取り替えないぞ、と思えるような何事かを、2023年の貴方はその手に掴むでしょう。あるいは、2023年中にそれが「確定」しなかったとしても、遅くとも2026年頭頃までには、そのことが「確定」するでしょう。そこまでの道のりが、2023年から始まっているのです。

絶対的なものを決めたら、それに縛られて、不自由になるのではないか。
「変更できない」ような決断など、怖くてできない。
たとえばそんなふうに感じる人もいるかもしれません。
でも、現実には、「絶対」が決まっている人ほど、自由な人はいません。
「絶対」に縛られて不自由になる人は、その「絶対」が「ゴマカシ」「偽り」である可能性があります。
自分で自分に嘘をつき、納得しているふりをしている場合、その「絶対」は確かに、本人を苦しめます。
そうではない、真に自分の心に根ざした「絶対」を持っている人は、その「絶対」を空気や重力のように享受し、自分の自由の支えにできるのです。
2023年の貴方が手にする「絶対」は、ある意味において「自由へのチケット」と言えるのです。

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[時期について]

年明けは星座を問わず、スローペースです。特に蠍座の人々は、身近な人と身近な場所を散策したり、行きたいと思いながら近いのになかなか行けないでいたスポットを訪れたりと、「身近な世界」に再発見できるものが多そうです。普段から近くにいる人々と、改めてじっくり話をしてみるなど、コミュニケーションの中でも「再発見」が多いでしょう。
懐かしい人から連絡が来るなど「交流の再開」も期待できる時です。ポカポカした雰囲気に包まれる1月です。

1月末から2月中旬は、キラキラした楽しい愛の季節となっています。恋愛にはもちろん追い風が吹きますし、遊びや趣味の活動なども、とても楽しくなるでしょう。この時期に発見した「いちばん大切なこと」が、向こう3年ほどの愛の世界で、よって立つべき柱となるかもしれません。

3月はどの星座の人にとっても、大きめの節目となっています。
蠍座の人々にとっては特に、居場所や家族に関する問題が解決していくタイミングとなるかもしれません。2020年頃から悩んでいたことがあれば、3月に入る頃にはその悩みから脱出できるでしょう。
さらに、ここから長い時間をかけた愛の物語がスタートする気配もあります。最初の段階ではそれが「愛だ」とはわからないかもしれませんが、向こう3年ほどの中で、小さな芽が大樹へと成長していきます。

3月末から6月頭は、遠出の機会が増えそうです。旅行や出張、留学、遠征など、何かと距離を超えて新たな場所に立つような動きが強まります。あるいは逆に、遠くから誰かが訪ねて来てくれる、といった場面もあるかもしれません。長い距離を超える橋が架かる時です。
勉強や研究、発信活動など、知的活動にも勢いが出てきます。

人間関係は3月半ばからじわじわと賑やかさを増し、5月には華やかな「再会・縁の復活」のような出来事が起こり、さらにその出来事を皮切りに2024年半ばにかけて、「人間関係とパートナーシップの時間」に突入します。
これ以降、公私ともに特別な出会いに恵まれますし、すでにある人間関係もおおいに盛り上がるでしょう。人と関わることで、大きく成長できます。

5月末から10月上旬は、明るい忙しさに包まれます。素敵なチャンスが巡ってきますし、得意分野で大活躍できるでしょう。仕事や対外的な活動の場で「恵まれる」ことが多い時期と言えます。人気が出たり、高く評価されたりする場面も。楽しみながら日々、頑張れそうです。

7月から10月頭は「チームの再結成」のようなことが起こりやすい時です。古い交友関係が復活したり、「古巣」の人々から出動要請を受けたりと、過去の人脈が復活し、そこに活動の場を得られるかもしれません。
古い夢にはたきをかけて、もう一度夢を追いかけ始める人もいるでしょう。「もう少し上を目指したい」というような思いが湧き上がってきそうです。

8月末から10月前半は「隠れた敵と戦う」ような時間帯となっています。水面下で厄介な問題解決に挑んだり、過去の「後悔の種」と向き合ったり、ややこしい事を言ってくる人と膝突き合わせて話をしたり、と言ったことができる時です。生活の中のボトルネックが解消され、スッキリしそうです。

10月半ばから11月は、自分らしくのびのびと過ごせる、熱い時間帯です。自分から率先して始められることが多いでしょう。周囲を巻き込んで新たなムーブメントを巻き起こせるかもしれません。挑戦、勝負、冒険ができる時です。

11月中旬から12月頭は、「愛に救われる」ような優しい時間が巡ってきそうです。あるいは、貴方自身が誰かを救うことができるのかもしれません。
11月半ばから年明けは、経済活動が活性化します。稼ぐほうも使うほうも、ダイナミックに「動く」でしょう。年末の大掃除は特に、「整理整頓」「所蔵品の棚卸し」に重点的に取り組みたくなるかもしれません。生活の物質的側面を見直し、お金の流れを整理してスッキリさせることができそうです。

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[愛について]

2023年3月中旬から、貴方の「パートナーシップの部屋」に星が入り始めます。そして5月から2024年5月にかけて、本格的な「パートナーシップの時間」となります。
パートナーを探している人は、この時期にきっと、出会いを見つけられるでしょう。2018年頃から「家庭を作りたい」「一緒に生活する相手が欲しい」という思いでパートナーを探してきた人も少なくないはずですが、最終的に「この人だ」と思える相手を見つけられずにいた人もいるだろうと思います。一緒に暮らす、ともに生きる、ということへの責任感、緊張感が探せば探すほど強まった人もいるかもしれません。でも、2023年3月以降はそうした「家族・家庭」というものへの緊張感が和らぎ、自分のテリトリーに人を迎え入れることへの心のハードルが低くなりそうです。そうした心情の変化が、新たな出会いの可能性に繋がるのです。

すでにパートナーがいる人は、パートナーシップが一気に「育つ」時です。特に、これまで「自由な関係」「型に囚われない関係」を模索し、そのために不思議な距離が生まれていたならば、2023年半ばからその関係が一気に縮まるかもしれません。ホカホカした温度が生まれ、寄りそう時間が増えます。

2023年3月以降、蠍座の愛は「長い時間を越えてゆくもの」「時間の流れに耐えうるもの」となります。鍛えられ、意志の骨組みを与えられ、時間に育てられていきます。人と人とが愛し合い、その愛が深く人生に根を張るには、時間をかけた体験の共有と、意志による選択の蓄積が不可欠です。この「愛の時間」のプロセスは、早送りも、一段飛ばしもできません。2023年3月からの蠍座の愛は、一段一段、すべてのステップを踏みしめることでしか進まないのです。ここからは、一足飛びに結果を求めたり、刹那的なものや表面的なもので自分をごまかしたりすることは、不可能です。「本物」しか受け付けないし、「本物」ならばどこまでも引き受ける、という骨太な愛が、2023年3月からの、蠍座の愛です。

愛に強い追い風が吹きそうなのは、1月末から2月中旬、5月から6月頭、10月から12月です。また、5月頭と10月末は少し不思議な愛のドラマが展開するかもしれません。強い「縁」を感じられるタイミングです。

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[おわりに]

蠍座の2023年は、非常に多忙な状況からスタートします。周囲の人々のためにたくさんの任務を抱え込み、年の前半は特に、山盛りのタスクに追われながら駆け回ることになるかもしれません。この人のために何かしてあげたい、という思いが貴方を突き動かすでしょう。必要とし、必要とされることの喜びを味わえます。
自分自身をケアすること、また、大切な人をケアすることも大切なテーマです。人からのケアを受け取ることが下手な人も多い蠍座の人々ですが、この時期は「優しくしてもらうこと」「優しさを受け取ること」をしっかり学び、成長できそうです。
こうした「優しさを与え合う」体験の中で、貴方の心の重石が軽くなっていく気配もあります。特に、家族や身近な人に対して抱いていたネガティブな思い、距離感や緊張感、過剰な責任感などが、少しずつ和らいでいくようです。

前半が「家族や周囲の人々のため」の時間だったなら、2023年半ば以降は「自分のため」の時間となるかもしれません。一対一で誰かと関わることにスポットライトが当たり、特に愛の関わりが大きく進展するでしょう。たとえば「これまで家族に縛られていたけれど、ここからは自分自身の幸福を追求する」といった転換が起こる可能性もあります。あるいは「実家を出て、自分自身の家庭を作る」といったことに意識が向かう人もいるだろうと思います。さらに、「人から言われることをやるのではなく、自分が好きなこと、個性を活かせること、才能を活かせることをやる」という方向転換をする人もいるはずです。

公私ともに出会いに恵まれ、人に恵まれる年です。特に、硬質でどこか冷たくなっていた関わりの中に、温かな熱が流れ込んで来る、というイメージがあります。
というのも、2018年頃から「自立」「独立」「自由な関わり」「対等・平等な人間関係」を目指してきた人が多いはずです。こうしたスタンスの中では、古いしがらみや望まない関係がどんどん、切り離されてきたのではないかと思います。結果、人間関係がある意味、メタリックに、非常に無機質なものになりつつある人もいるのではないでしょうか。たとえば「要件がなければ連絡しない」「相手の時間を奪わない」「迷惑をかけない」など、論理的には正しくとも、人と人との関係においては少々過剰な「理屈による切り分け」が行われたのではないかと思うのです。
2023年は、そこにより人間的な「血肉」が充填され始めるような時間と言えます。これまで論理でスケルトンのように骨組みだけになってしまった人間関係に、あたたかな、矛盾をはらんだ優しい思いが注ぎ込まれるのです。人との距離が不思議と近くなり、心の触れ合いが起こり、許し合ったり、受け入れ合ったり、少し長い時間をかけて変化を見守ったり、といったやわらかさが感じられるようになります。余白が埋まれ、伸びしろが見込まれ、関わりを温めながら育てていく、そんな時間に入ります。

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illustration: Tomoko. B. Iwawaki

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