英国で犬の肖像画展&女王とコーギー展が開催へ。

Culture 2023.01.24

ロンドンのWallace Collectionで犬の肖像画ばかりを集めたエキシビション「Portraits of Dogs from Gainsborough to Hackney」が開催される。

イギリスの人々は動物好きでも知られるが、なかでも犬は特別な存在と言っても過言ではないだろう。犬同伴で入店できるパブがあちこちにある。ここで展示される作品のほぼすべても、国内の美術館や博物館から集められたものだという。

「この展覧会のアイデアは私たちが長年にわたって持ち続けていたものです。Wallece Collectionで特に人気のローザ・ボヌールの『Brizo』、エドウィン・ランドシーアの『Doubtful Crumbs』ももちろん展示されています」と同美術館のディレクターザビエル・ブライ氏は語る。

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1864年作のローザ・ボヌールの『Brizo』。愛犬への愛情が伝わってくるような作品だ。
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エドウィン・ランドシーアによる『Doubtful Crumbs』は快適な犬小屋で眠るセントバーナードの餌の骨に残された肉片を見つめる野良犬のテリアが描かれている。これは作品が描かれたヴィクトリア時代の『謙虚であれば天国で施しを受けられる』という価値観を元に描かれたそう。とはいえ物欲しげなテリアの表情が切ない。
© The Wallace Collection.jpg

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古代ローマ時代の二匹のグレイハウンドの彫刻から、ルネッサンス期の巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチによる犬の前足のスケッチ、ヴィクトリア女王の愛犬の肖像画、デヴィッド・ホックニーの名作まで、合計59点を並べる。人物の姿はなく犬のみが描かれた作品ばかりだが、そこからはそれぞれのキャラクターとともに飼い主との密接な関係が垣間見えるのが印象的だ。

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躍動感にあふれた、レオナルド・ダ・ヴィンチによる『Studies of a Dog's Paw』。

 © National Galleries of Scotland

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ヴィクトリア女王が飼っていたスパニエルのティルコのポートレイトはエドウィン・ランドシーアの1838年の作品。

© National Trust.tif

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トーマス・ゲンズボローによって描かれた愛犬トリスタンとフォックスの肖像画は、作家自宅の暖炉上に飾られていたという。

Tate Images.tif

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イギリスで最も愛されているモダンアートの巨匠、デヴィッド・ホックニーも愛犬を描き続けた画家として知られている。

© David Hockney Photo Credit_ Richard Schmidt Collection The David Hockney Foundation.tif

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同展に先がげて開催される、昨年死去したエリザベス女王と愛犬コーギーの写真を並べた「The Queen and Her Corgis」にも注目したい。

女王が長年に渡ってコーギーを愛寵していたのはご存知の通り。それは7歳の時に妹のマーガレット王女とともに父のヨーク公(のちのジョージ6世)からジェーンとドゥーキーという名の二匹のコーギーをプレゼントされたことがきっかけだったとか。その後は在位70年の間だけでも30匹以上を飼い続けていたという。

同展では1936年にジェーンとドゥーギーとともに撮影されたものから、18歳の誕生日にやはり父から送られたコーギーのスーザンとのポートレイトに加えて、愛犬とともに公務する様子やウィンザー城内で散歩する姿などの写真が並べて女王の人生を振り返る。

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当時はまだ王女だったエリザベスと最初のコーギーだったジェーンとドゥーキーのポートレイトは1936年7月に当時暮らしていたピカデリー145番地の庭で撮影された。

Lisa Sheridan/Studio Lisa/Hulton Archive via Getty Images

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18歳のエリザベス王女とスーザン。1944年5月撮影。

Lisa Sheridan/Studio Lisa/Hulton Archive via Getty Images

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スコットランドのバルモラル城の庭にて。1952年9月撮影。

Bettmann / Contributor via Getty Images

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愛犬たちを伴ってキングスクロス駅に到着した女王。1969年10月撮影。

STF/AFP via Getty Images

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バルモラル城の庭にある滝の前で。1971年9月撮影。

Lichfield Archive via Getty Images

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母親のエリザベス皇太后とクラレンスハウスで。1983年8月撮影。

Tim Graham Photo Library via Getty Images

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妹のマーガレット王女の愛犬ダックスフントのピプキンとコーギーの間に生まれた「ドーギー」もまた、女王の愛犬だった。コーギーと「ドーギー」を連れてウィンザー城の庭を散歩。1994年4月撮影。

Julian Parker/UK Press via Getty Images

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コーギー愛好家たちと笑顔で会話。2002年10月撮影。

ADRIAN WYLD/AFP via Getty Images

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犬猫保護施設のバタシードッグス&キャッツホーム訪問の際にもコーギーがお出迎え。2015年3月撮影。

BEN STANSALL / POOL / AFP via Getty Images

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そして世界中の涙を誘った、昨年9月19日の女王の国葬の日にウィンザー城で主人の棺を待つ二匹の姿を収めたものも。

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侍従たちに連れられて玄関前で待機する健気な二匹は、夫であるエジンバラ公が亡くなった直後に次男のアンドリュー王子から贈られたムイックとサンディだ。

Justin Setterfield via Getty Images

「この展示を通して、女王の動物愛護の精神とコーギーへの果たしない愛情を感じていただければ幸いです」とブライ氏。

「Portraits of Dogs from Gainsborough to Hackney」は3月29日から10月15日まで、「Portraits of Dogs from Gainsborough to Hackney」は3月8日から6月25日までの開催予定となっている。

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