未来的な作品で知られたファッションデザイナー、パコ・ラバンヌが死去。

Culture 2023.02.06

大胆な発想の作品でパリのモード界に名を馳せたファッションデザイナーが2月3日に永眠した。享年88歳。

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2004-05年パコ・ラバンヌ秋冬プレタポルテコレクションのフィナーレにて。photography: Getty Images

ファッションデザイナー、パコ・ラバンヌは1934年2月18日、スペイン・バスク沿岸地方の小都市、パサイアで生まれ、2023年2月3日にフランス・ブルターニュ地方のポルサルにて88歳で亡くなった。彼の作品はよく奇想天外、先見性がある、アヴァンギャルドなどと評される。ココ・シャネルは彼のことを「冶金業者」と呼んだ。また、未来的、神秘的という形容詞で語られ、建築家、預言者、占星術師と言われることもあった。誰もが無視できない存在だったのは、僧侶のような風貌や、金属でドレスを作るために溶接機やペンチ、糸や針まで自作してしまう型破りなクチュリエだったからだけではない。輪廻、数秘術、ノストラダムスの予言を信じていたことも彼の評判にひと役買った。1999年8月11日にロシアの宇宙ステーション「ミール」がパリに墜落してフランス南西部が壊滅状態になることを予言、それをテレビに出演してまで告げたことでメディアから猛烈に批判された。

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1981年、自邸でのパコ・ラバンヌ。photography: Getty Images

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服の建築家

宇宙からのメッセージを受け取ったと語り、スピリチュアルに傾倒する一方でパコ・ラバンヌは自由な発想と斬新な素材で実験的なファッションを生みだした。金属やプラスチックを大胆に用いたアヴァンギャルドな服作りは後にマルタン・マルジェラ、アレキサンダー・マックイーン、ニコラ・ゲスキエールら多くのデザイナーに影響を与えた。服は布で作らなきゃいけない決まりはないとばかり、チェインメイル(鎖かたびら)ドレスやアルミプレートドレスを発表した。初期の作品は何キロもの重さがあったそうだが、フランソワーズ・アルディ、ジェーン・バーキン、ブリジット・バルドーら1960年代の人気スターたちはためらわずに着用した。SF映画『バーバレラ』で当時としては解放的なヒロイン役を演じたジェーン・フォンダの「露出度高め」な超セクシー衣装も彼がデザインしたものだ。

ファッションデザイナーになったのは偶然だった。パリ国立高等美術学校で建築を学んでいた頃、学費稼ぎにファッション画を描きはじめ、興味が沸いたのだ。父親はスペイン内戦中の1936年にフランコ反乱軍によって銃殺され、残された家族はフランスへ逃れた。5歳だったパコ・ラバンヌはその後ブルターニュ地方の町、モルレーで育ち、17歳でパリに上京した。新聞等に掲載するファッション画を描く傍ら、セルロイドの小物(イヤリングやメガネ)を発売し、続いて自分のファッションブランドを立ちあげた。既成概念にとらわれない、まるでヨロイのようなドレスで注目を浴び、建築的なデザイン手法は彼の服の特徴となった。1999年に引退し、メゾンも2006年のコレクションをもって活動を休止した。その後復活したブランドは現在、ジュリアン・ドッセーナがクリエティブ・ディレクターとなっている。

text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)

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