「自分がバカだった」アーミー・ハマー、カニバリズム願望メッセージ騒動から2年、沈黙を破る。

Culture 2023.02.09

危険なカニバリズム願望を明かしたDM流出に続いて複数の女性からレイプや性的虐待を告発され、俳優がハリウッドの表舞台から消えたのが2年前。2月4日、米のデジタルメディア「エアメール」の取材に騒動後初めて応じた。

 

 

Instagram@airmailweekly

天使のように美しい顔の俳優は2021年以降、性的暴行やレイプ、カニバリズム願望が明らかになるなどの告発続きで地獄に堕ちた。2月4日、2019年創刊のデジタルウィークリーマガジン「エアメール」のインタビューに応じて2年ぶりに沈黙を破り、過去の「過ち」を認める一方でレイプや性的虐待をしたことは断固として否定した。

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「不同意の同意」

「自分がバカだった。自己中心的で、自分の気分がよくなるために人を利用し、終われば用済みだった」と取材で俳優はインタビュアーのジェームズ・カーチックに語っている。人気俳優として若い女性に対して強い立場だったことも認めている。一方で、告発は否定し、告発した女性のひとりとは、いわば「不同意の同意」があり、ふたりでレイプごっこをしていたと語った。

13歳で牧師から性的虐待を受ける

また、13歳の時に牧師から何度も性的虐待を受けたと語っている。この体験により、「自分がまったくコントロールできない形でセクシュアリティが人生に入りこんだ」と言う。だから恋愛や性的関係において支配欲が生じることになったのだと自己分析する。「無力だった状況」を体験して「セックスの面で自分がコントロールしたい」と思うようになったそうだ。

多額の借金

職を失った俳優は経済状態も赤裸々に語った。「一文無しどころか、多額の借金を抱えている」そうで、つまりは不動産業への転身がうまくいかなかったということだ。ロバート・ダウニーJr.がお金を出してくれたおかげで2021年6月から半年間、依存症の治療を受けられた。そのことに大変感謝している。その後はケイマン諸島のホテル、「モリッツ」でパートタイムの不動産セールスとして働いていた。

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企画から降板させられた

映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)に出演していた俳優は、『ショットガン・ウェディング』(2022年)やドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』(2022年)等の企画から降板させられたことを残念がる。また、過去の不適切な言動を理由にその人物を排斥する「キャンセル・カルチャー」の影響も指摘した。

「もう誰も雇ってくれないだろう」と言う。「誰も保険を引き受けてくれない。自分を起用しようと思う人なんて全然いないだろうから。(中略)自分を雇えばその人たちも加害者側だとみなされる」と悲観する。自分をスケープゴートになぞらえ、供犠のメタファーでこれを説明する。「自分を雇ったらその人たちにも火の粉が降りかかって焼き尽くされる。保身のために自分のような人間を火刑台に乗せるのは、火に油を注ぐようなものだということに彼らは気づかない。そしてその火は今、制御不能となり、皆を焼き尽くそうとしている。なのに、依然として保身のために人々を供物に捧げつづけている」

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自殺しようと思った

エフィーという女性からレイプの告発を受けるなど複数の訴えが彼に対して起きていることが明らかになっているが、テレビキャスターのエリザベス・チェンバースの元夫(ただし2020年に離婚が発表されたが、まだ成立していない)は自殺しようと思ったことを語っている。「海に出て、できるだけ遠くまで泳いだ。溺れるか、ボートに轢かれるか、サメに食われないかと思って」

ネットユーザーのなかには彼の発言を不快に思う人もいる。ある人はツイッターで、「児童性的虐待の被害者であることが、大人になってからレイプやカニバリズム傾向の免罪符になるように振る舞っている」と不快感を示し、同様にコメディアンでポッドキャスト制作者のジェフ・フレームは、「子どもの頃、何年も性的虐待を受けた当事者として、アーミー・ハマーが他人を傷つける口実にこれを用いるのは嫌な気分だ」と憤慨した。

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ハマー家と悪魔との取引

もっともハリウッド中からそっぽを向かれているわけではない。彼がオマージュを捧げるロバート・ダウニーJr.は、リハビリ費用を出してくれた。出演作『君の名前で僕を呼んで』(2017年)の監督ルカ・グァダニーノは、2022年11月にアメリカの「ヴァラエティ」誌の取材に対し、同じ俳優たちで続編を作りたいと思っていることを明かしている。「なぜかって? それは一緒に仕事をする役者が純粋に好きだから。また一緒に仕事できれば嬉しい」

アーミー・ハマー事件はドキュメンタリードラマとなり、その衝撃的な内容で話題となった。「House of Hammer」のタイトルで描かれるのはハーパー(7歳)とフォード(5歳)の父親であるアーミー・ハマーに対する告発の内容と、ハマー家の薄暗い歴史だ。叔母のケイシー・ハマーが登場し、「数世代にわたる虐待」を糾弾する。「外から見たら、完璧な家族だった。(中略)だが、もし悪魔との取引が存在することをあなたが信じているのなら、ハマー家はその上位にいるだろう。どの世代も悪事に手を染めてきた。そして、世代を追うごとにひどくなっていく」

text: Annabelle de Cazanove (madame.lefigaro.fr)

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