チャールズ3世の戴冠式で鐘を鳴らすベルリンガーを大募集!
Culture 2023.04.27
イギリスではチャールズ3世の戴冠式を2週間後に控え、鐘を鳴らす「ベルリンガー」が足りず、同国の教会ベルリンガー中央協議会ではボランティアを募集している。
photography: istock
伝統に従えば5月6日、国王チャールズ3世の戴冠式の際に国中の鐘が鳴らされるはずだ。ところがロンドンのウェストミンスター寺院での式典が目前に迫っているのにベルリンガーが足りない。イギリスには教会が6,000あり、鐘の総数は38,000口だ。戴冠式の主催者側では、祝祭と再生の精神をこめて全ての教会で鐘を一斉に鳴らしたいと考えている。
こうして同国の教会ベルリンガー中央協議会により、鐘を鳴らしてみたい人を募るキャンペーンがおこなわれている。なぜなら、教会の鐘はロープを引っ張って鳴らすため、人手がいるのだ。単純計算で38,000口の鐘を鳴らすなら38,000人が必要だ。
そこで国民に対して大々的に呼びかけることに。誘い文句は、鐘を鳴らす技術が身につきます、とのこと。英「サン」紙が報じたように同協議会では「このスキルは一度習得すれば忘れることがありません」とアピール、「これまで一度も鐘を鳴らしたことがないのであれば、地元の教会に行ってやってみてはどうでしょう」と呼びかける。
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昔から伝わるスキル
「サン」紙の記者クレア・オライリーはデヴォン州の教会で実際に体験取材することにした。記者が向かったのはセイントマイケル&オールエジェルス教会。ここではヴォーン家が約1世紀にわたって代々ベルリンガーを務めている。1953年のエリザベス女王の戴冠式にも、昨年の女王の葬儀の際にも鳴らした。エリザベス女王は2022年9月8日、スコットランドのバルモラルで96歳の生涯を閉じた。
新当主のケリー&アンソニー・ヴォーン夫妻は当然、5月6日に行われるチャールズ3世とカミラ王妃の戴冠式でも鐘を鳴らす。「イギリスではこの伝統が深く根づいています。我が国のように鐘を鳴らす国は他にどこにもありません」とふたりは誇らしげに「サン」紙に語った。
実際に鳴らしてみると鐘はとても重く、半ばスポーツと言っていいほどだ。また、歴史を感じさせる面もある。「石の床に立ち、何世紀も前からおこなわれてきた通り、正確にロープを引っ張るというのは、緊張すると同時に心温まる体験です。すり減った床は、2世紀半前からベルリンガーたちが全く同じ動作をしてきたのだということを物語っているのです」と夫妻は教会の中で思いを語った。
3月末までに1500人近くのボランティアが名乗りをあげた。5月6日の戴冠式の模様はテレビで中継される予定で、ウェストミンスター寺院には2,000人の招待客が集まる。式典の後、ウィンザー城で歌手のライオネル・リッチーらが出演するコンサートが開催される。
text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr)