ハリー王子が暴露した、兄ウィリアム皇太子の「密約」。
Culture 2023.04.27
電話盗聴問題でタブロイド各紙相手に法廷闘争を展開中のハリー王子は、兄ウィリアム皇太子が2020年、電話盗聴をめぐって、ある発行元と密かに和解していたことを暴露した。
ウィリアム皇太子とハリー王子。(ウィンザー、2022年9月10日)photography: Getty Images
ハリー王子砲が再び炸裂した。4月25日付の英「デイリー・エクスプレス」紙が伝えたところによると、ハリー王子はロンドンの高等法院に提出した書類や弁護士の陳述を通じ、ルパート・マードック傘下のニューズ・グループ・ニューズペーパーズ(NGN)と兄ウィリアム皇太子とが2020年に密かに和解の合意をしていたことを述べた。
事の発端は2006年頃にさかのぼる。ウィリアム皇太子が結婚前のキャサリン皇太子妃にかけた電話や、ハリー王子の電話内容が「ニュース・オブ・ザ・ワールド」紙の記者らによって違法にハッキングされていた。電話盗聴はその後発覚し、同紙は最終的に廃刊に追い込まれている。この件に関してウィリアム皇太子はNGNを提訴しない代償として「巨額の和解金」を後日受け取ったとハリー王子は主張している。
いまのところウィリアム皇太子側からはコメントが一切出ていない。AFP通信によると、NGNの弁護士のアンソニー・ハドソンは合意の存在そのものを否定している。
---fadeinpager---
王室の評判を守るため。
ハリー王子は提出書類の中で、2012年にNGNの「上級管理職」と王室がさらなる合意をしたことを耳にした、とも述べている。この合意では、2人の王子に謝罪をすれば、同メディアグループに対する法的措置を先延ばしにすることも定められていたという。この時の協議には、エリザベス女王も関与していた。
チャールズ3世がまだダイアナ妃と結婚していた皇太子時代、愛人だったカミラ王妃と交わした超プライベートな会話が流出した「タンポン・ゲート」事件のトラウマが残るイギリス王室は、何よりも「王室メンバーが証人席に立ち、盗聴された留守番電話の私的で非常に機密性の高い内容を逐一説明しなければならないという状況を避けたかった。王室はこの件に関して非常に神経質になっていた」とハリー王子は述べている。
---fadeinpager---
違法な盗聴事件。
38歳となったハリー王子は、母ダイアナ妃が1997年にパリでパパラッチに追いかけられた末、交通事故死したのはタブロイド紙のせいだ、とタブロイド各紙を敵視している。今回のNGN提訴のほか、エルトン・ジョンらほかのセレブたちと共同で、「デイリー・メール」紙発行元出版社、アソシエイテッド・ニュースペーパーズ(ANL)に対しても、違法な手段による情報収集をおこなったと提訴中だ。具体的には私立探偵を使った「留守番電話の違法なハッキング、盗聴、電話料金や医療記録などの個人情報の欺瞞による入手」などだ。
10年以上前のことになるが、イギリスは、同国メディアによる盗聴が違法に2000年初頭からおこなわれていたというスキャンダルに揺れた。最初は2005年、ウィリアム皇太子やハリー王子に仕える王室関係者の電話が盗聴された事件だった。2011年夏になり、ミリー・ダウラーという失踪後遺体で見つかった少女の留守電をタブロイド紙「ニュース・オブ・ザ・ワールド」の記者が盗聴したことが判明し、騒ぎは頂点に達した。
この事件により、メディア王ルパート・マードックが所有していた同紙は廃刊となり、マードックはミリー・ダウラーの遺族に和解金200万ポンドを支払ったとAFP通信は伝えている。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)