カミラ王妃、若かりし頃にダイアナ妃の"リベンジドレス"を真似た日とは?
Culture 2023.05.10
1994年6月29日、ダイアナ妃は「再び自由になった」ことを象徴するブラックドレスで人々の前に登場してセンセーションを巻き起こし、「リベンジドレス」という言葉を広めた。一方、これはあまり知られていないことだが、カミラ王妃はその一年後にこれとそっくりなドレスでリッツ・ロンドンのパーティーに現れていた。ひとつのルックにまつわるふたつの運命。
リッツ・ロンドンに到着したカミラ夫人。(ロンドン、1995年10月18日) photography: Julian Parker - Getty Images
髪をきちんとセットし、晴れやかな顔でタイトなブラックドレスを着こなしたダイアナ妃の姿はよく知られている。「シャイ・ダイ(内気なダイアナ)」が「国民のプリンセス」となった瞬間だった。1994年6月29日、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーで開催されたチャリティ・ガラにダイアナ妃はこの姿で現れた。チャールズ皇太子(当時)がカミラ夫人(当時)との不倫を公表した数時間後のことだった。ギリシャ人デザイナー、クリスティーナ・スタンボリアンのドレスは王室の服装ルールからかけ離れたもので、人々はこれを非常に象徴的に捉えた。視線をひきつけるドレスは、自分がもうチャールズ皇太子の妻ではなく、自立した自由な女性であることを主張しているように感じられた。そこには、「これをあなたは失うのよ」というメッセージも暗に込められていて、そこから「リベンジドレス」の言葉が生まれ、その後この表現は一般に広まった。ドキュメンタリー映画『Princess Diana's Dresses: The Auction(原題訳:ダイアナ妃のドレス、オークション)』でデザイナーのクリスティーナ・スタンボリアンが明かしたところによると、ダイアナ妃はこのドレスを3年前に購入したものの、「大胆すぎる」と判断してそれまで着用しなかったそうだ。その晩、ダイアナ妃はこのドレスを纏い、「白鳥の湖」の黒鳥オディールのごとく演じきった。
サーペンタイン・ギャラリーに晴れやかな顔で到着したダイアナ妃。(ロンドン、1994年6月29日)photography: Tim Graham - Getty Images
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カミラのリベンジ
ダイアナ妃が注目を浴びたこの一件から一年後、カミラ夫人がそっくりな格好をしたことはあまり知られていない。1995年10月18日、リッツ・ロンドンでチャールズ皇太子が出席するパーティーが開催された。数カ月前に離婚したカミラ夫人はブラックドレスでやってきた。オフショルダーのブラックドレスにパールのチョーカーは明らかにダイアナ妃の恰好をそっくり真似たもの。タブロイド各紙はすかさずこれに飛びつき、他人の家庭を破壊する冷酷な愛人と書きたてて、彼女の外見をばかにした。カミラ夫人がこの晩、なぜこのような格好をしたかはいまでも謎だ。彼女も自由を求めていることを「叫び」たかったのだろうか。ようやく堂々と恋愛できる自由を主張したかったのだろうか。あるいはライバルをコケにしようとして失敗したのだろうか。真相は分からない。しかしながらひとつ確かなこと、それは彼女が30年以上もの間、爪はじきにされてきた末にようやく、この長いラブストーリーのクイーンとなったことであり、いまや彼女がイギリスの王妃であることだ。
text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)