「詐欺師、薬物中毒者と貶されてきた」 ハリー王子、高等法院でタブロイド紙を告発。

Culture 2023.06.07

チャールズ3世の次男、ハリー王子が火曜日の朝、ロンドンの高等法院に到着し、ボイスメールのハッキングを行ったとして英日刊タブロイド紙『デイリー・ミラー』に対して証言するために出廷した。

aflo_220573468.jpg
法廷に到着したハリー王子(ロンドン、2023年6月6日)photography: AP/aflo

黒塗りの車で到着したハリー王子は、待ち構えていた数十人の記者たちにひと言も話すことなく法廷に入った。約束通り、ハリー王子は今週火曜日の朝、ロンドンの高等法院に出廷し、自身のボイスメールをハッキングしたとして非難している日刊タブロイド紙『デイリー・ミラー』に対し、証拠を提出した。王室関係者が出廷するのは、1891年に後のエドワード7世が名誉毀損裁判で出廷して以来、1世紀ぶりという前代未聞の出来事である。

---fadeinpager---

マスコミによる侵害

現在カリフォルニア在住のハリー王子は、他の英国王室ファミリーと対立しており、英国の新聞社に対して一連の法的手続きを開始した。彼は、1997年にパリでパパラッチに追われた母ダイアナ妃の死についてタブロイド紙の責任を問い、また妻のメーガン夫人に対する嫌がらせについても非難している。

先月始まった今回の裁判では、ハリー王子は1996年から2010年にかけて、『デイリー・ミラー』の記者がボイスメールのハッキングを含む違法な方法で情報を収集したことを非難している。火曜日、彼は高等法院で、自分は「人生の大半をマスコミによる侵害で苦しんできた」「(自分が)生まれたときからマスコミの敵意を知っていた」と語った。「どの記事も私を苦しめてきた」と告白した。

---fadeinpager---

「マスコミの危険行為はどれほど続くのだろうか」

ハリーはしばしばためらいがちな声で、どの宮殿にも常に新聞があったと説明した。「ロイヤルファミリーのひとりとしての経験に基づいて言えば、タブロイド紙は私たちひとりひとりに特定の役割を割り当ている」とハリー王子は非難した。「プレイボーイな王子か負け犬か......私の場合は詐欺師、未成年飲酒者、無責任な薬物中毒者など、数え上げればきりがない」。

「今日振り返ってみると、彼らのこのような行動は全く卑劣なもの」とハリー王子は付け加えた。「誰かがこの狂気に歯止めをかけるまで、マスコミの危険行為はどれほど続くのだろうか」と証言文で問いかけ、また、出廷中に読み上げられた声明で、報道と政府の関係についても「最低レベル」と批判した。「国家は、報道機関と政府のあり方によって世界に判断されるが、私の考えでは、その両方が最低の状態にある。報道機関が政府に対して責任を追及する代わりに、現状維持のために政府と手を組んだら、民主主義は失敗する」と、証人として聖書に誓いを立てた後、ハリー王子は非難した。

---fadeinpager---

電話のハッキング

ハリー王子が言及した147件の係争記事のうち、33件が判事によって訴訟手続きに選ばれた。ハリー王子の弁護士は、記者団が「少なくとも30人の私立探偵」のサービスを利用したと主張している。ハリー王子は、彼の弁護士であるデイビッド・シャーボーン氏が月曜日に訴えたように、子ども時代から学生時代、そして成人期に至るまで、違法な情報収集の被害者となっていたと述べた。シャーボーン氏はまた、「若き日のハリー王子の人生の全てが保護されることがなかった」と付け加え、何もかもが制約されることなく報道されていたと指摘し、特に恋愛関係や兄ウィリアム皇太子との確執を挙げた。

裁判の冒頭、ミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)(『デイリー・ミラー』紙のほかに『サンデー・ミラー』紙と『サンデー・ピープル』紙も発行する新聞社)は、違法な情報収集のいくつかの証拠を認め、無条件の謝罪を申し出た。一方、出版社の弁護士であるアンドリュー・グリーン氏は、一方でボイスメールの傍受の告発を否定し、事実の古さを強調した。「単純に申し上げて、ハリー王子がハッキングされたという証拠は存在しない」と主張した。

---fadeinpager---

タブロイド紙との戦い

3月末、ハリー王子はロンドンの高等法院で、『デイリー・ミラー』紙の発行元であるANL社に対する予備審問に出廷し、周囲を驚かせた。証人喚問では、新聞に掲載された自分の人生のプライベートな詳細が暴露されたことによる「疑惑と不安」が原因で、数人の友人と縁を切ることになったと説明したと、英日刊紙『タイムズ』は指摘している。

『デイリー・ミラー』に対する裁判の一環として、ハリー王子が受けた偏向した手段について、再び証言することが予想されている。しかも今回は、証言席に直接立つ予定だ。38歳となったハリー王子は、幼い頃から自分の人生を苦しめたタブロイド紙について言葉を濁すつもりはない。つい数週間前、ハリー王子の広報担当者が、ニューヨークで夫妻が、非常に攻撃的なパパラッチに追いかけられた、と主張したことがあった。これはダイアナ妃の死の記憶がよみがえるエピソードであった。

---fadeinpager---

チャールズ3世との面会予定はない

ハリー王子が最後に英国に姿を見せたのは、5月6日に行われた父チャールズ3世の戴冠式に参加した際の短い滞在に遡るが、1月に出版した回顧録で非難した父や王位継承者である兄ウィリアム皇太子とは距離を置いていた。ハリー王子は英国滞在を利用して、ルーマニアを私的訪問中のチャールズ3世に会う予定はなさそうだ。

text: Ségolène Forgar avec AFP (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

2025年春夏トレンドレポート
中森じゅあん2025年年運
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリシティガイド
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • 広告掲載
  • お問い合わせ
  • よくある質問
  • ご利用規約
  • 個人の情報に関わる情報の取り扱いについて
  • ご利用環境
  • メンバーシップ
  • ご利用履歴情報の外部送信について
  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • Pen Studio
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CCC MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CCC Media House Co.,Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.