ル・グラン・ガラ2023、東京公演を前にドロテとマチューが記者会見。
Culture 2023.08.01
7月30日、名古屋で幕をあけた「ル・グラン・ガラ2023」。現在のオペラ座を支えている円熟の極みにあるダンサーたちとこれからのオペラ座を背負う若いダンサーたちが踊る、上手く構成されたプログラムで観客の感動を呼び起こす約2時間15分の公演である。 この日踊られたAプロはジャン=クリストフ・マイヨーの『くるみ割り人形』に代わってジョン・クランコの名作『オネーギン』から鏡のパ・ド・ドゥが入ったことで公演が見せたい演劇性がよりアップ。またウヴェ・ショルツの『ソナタ』はピアノとチェロによる生演奏が舞台装置のないステージを音楽で包み込み、その空間をレオノール・ボラックとマチュー・ガニオが静かな情熱で満たしていた。彼らがこの作品を踊るのは初めてのことだ。超技巧を披露する若手2組には会場から大きな拍手が。スチュットガルト・バレエのプリンシパル、フリーデマン・フォーゲルの踊りもグループにしっかり馴染んでいて……。
早くもBプロへの期待を高める、上質な公演だった。
Aプロで踊られる『赤と黒』(左)と『カルメン』。オペラ座での公演より。photos: (左)Svetlana Loboff/Opéra national de Paris、(右)Ann Ray/Opéra national de Paris
東京での公演初日となる31日の朝、エトワールのドロテ・ジルベールとマチュー・ガニオ、スジェのクララ・ムセーニュを迎え、プレスカンファレンスが行われた。「ル・グラン・ ガラ2023」を特別協賛するエアウィーヴが、パリ・オペラ座バレエ学校と公式スポンサー契約を結んだことの発表から記者発表会はスタート。高岡代表取締役会長兼社長によると、年末までにカスタマイズ可能な3分割のベッドマットレスを150台、バレエ学校のナンテールの寄宿舎に届けることになっているそうだ。未来のエトワールたちにクオリティの高い睡眠を! と、2013年にもエアウィーヴはマットレス100台を提供し、その際にはナンテールのバレエ学校内で初めてとなるCM撮影を行っている。カンファレンスにゲスト出演したスジェのクララ・ムセーニュは通学生だったのでその性能を知ることなく終わっているそうだが、現在カンパニーで踊っている若手の中にはエアウィーヴのマットで毎晩ぐっすり眠っていたダンサーたちもいるということだ。
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左: 記者会見のトークセッションより。左からマチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベール、クララ・ムセーニュ。オペラ座のバレエ学校時代、ドロテもクララも通学生だったそうだ。右: 会場に展示されたバレエ学校に提供されるエアウィーヴのマットレス。photos: Mariko Omura
エアウィーヴの高岡社長はル・グラン・ガラの公演そのものに限らず、2014年の公演に際してダンサーたちが東北震災に見舞われた仙台や石巻の子供達に夢と希望を与えるべくレッスンに出かけていったことも貴重な思い出とし、またそれ以前にもドロテがレッスンに出向いたことで彼女のヒューマンな人柄にもリスペクトがあって、そんなことからガラの支援を続けているそうだ。またアップライト・ピアノしかないバレエ学校のレッスン室にスタンウエイのグランド・ピアノを寄付するなど、オペラ座バレエ学校の芸術のサポートに情熱を注いでいる。この記者会見の途中、2022年北京で開催された冬季オリンピックにおける男子フィギュアの金メダリストであるネイサン・チェンがドロテへの花束を持って登場。24歳の彼は、8~14歳までクラシック・バレエを学んでいて、大いなるバレエファンだという。氷上のバレエで観客を魅了した彼は現在イエール大学に通っている。エアウィーヴは若い芸術家のサポートの一環として、その学業の手伝いをしているそうだ。
会見ではバレエ学校時代での学びの大切さが3名から語られ、そしてこの日から始める東京公演への意気込みなどが語られた。「このガラは僕とドロテが二人で初めて一緒に取り組んだガラで、4年ぶりにやっと再び公演ができることになり幸せです。僕たちが素晴らしいと思うダンサーたちを集め、公演で踊られる演目はそれぞれのダンサーのパーソナリティが反映されたものだと思います」と語るマチューに付け加え、ドロテは「オペラ座のレパートリーから新しい作品も加えています。技術的な面だけでなく芸術性も要求される作品では、ダンサーたちの感性、表現により異なる世界をごらんいただけるでしょう」と。二人が選んだ若い有望株の一人としてル・グラン・ガラに初参加となったクララ・ムセーニュは「それぞれのダンサーの個性が見える演目が集められたプログラムです。若い私にこの経験が与えられ、そして素晴らしい先輩たちとともに舞台に立てることはとても嬉しいです」と締めくくった。
左から、エアウィーヴ代表取締役社長兼会長高岡本州、ネイサン・チェン選手、マチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベール、クララ・ムセーニュ。photos: Mariko Omura
東京:東京文化会館ホール
Aプロ 7月31日(月)19:00開演、8月1日(火)13:30開演、8月2日(水)13:30開演、Bプロ 8月2日(水)18:30開演、8月3日(木)18:30開演
https://le-grand-gala.com
@legrandgala
大阪:フェスティバルホール
8月5日(土)17:00開演
www.ktv.jp/event/legrandgala2023
editing: Mariko Omura