アートに触れる休日を! 秋のはじめに訪れたい展覧会4選。

Culture 2023.08.17

尽きることのない実験精神と絵を描く喜び。

『デイヴィッド・ホックニー展』

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1950年代より60年以上にわたり絵画や写真、舞台芸術といった分野で多彩な作品を発表してきた英国生まれの画家デイヴィッド・ホックニーの、国内では27年ぶりとなる大規模個展。ロサンゼルスへ移住した初期のスイミングプールのある風景を描いたポップな代表作から、端正な筆致で衣服や室内の細部を描き込んだ肖像画シリーズ、1980年代ポラロイドを駆使し多角的に対象を捉えたフォトコラージュ、さらに近年はiPhoneやiPadを使いこなし、身の回りの風景を描き続ける。ロックダウン中に北フランスの古い農家にこもり、陽光あふれる田園風景を描いた全長90mものパノラミックな新作は、絵を描くことの純粋な喜びと瑞々しい実験精神に満ちている。

『デイヴィッド・ホックニー展』
会期:開催中〜11/5
会場:東京都現代美術館(東京・木場)
営)10:00〜17:30 最終入場
休)月、9/19、10/10 ※9/18、10/9 は開館
料)一般¥2,300

⚫︎問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp/hockney

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心を鎮めてくれる懐かしくて不思議な風景。

『野又穫 Continuum 想像の語彙』

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時代も国も定かでない、見知らぬ土地の風景に精緻な構築物がそびえ立つ。不思議だけれどなぜか懐かしさを感じる野又穫の絵画は、現実と地続きにある非現実とでもいうべき独特の世界を作り続けてきた。最大の所蔵館である同館のコレクション寄贈者・寺田小太郎も1980年代より野又の作品をこよなく愛した熱心なファンのひとりだ。英国の有力ギャラリー、ホワイト・キューブの現ディレクターが2004年に同館で野又の個展を観た記憶が年月を経て結実し、現在の国際的な注目へと繋がった。初期から最新作まで、野又の作品世界の全貌を広々とした空間で展開する本展は、心を鎮静する静謐な秩序に時空を超えた普遍性を持つ作品世界をたっぷりと堪能する機会となる。

『野又穫 Continuum 想像の語彙』
会期:開催中〜9/24
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京・初台) 
営)11:00〜18:30最終入場
休)月、8/6 ※月曜が祝日の場合、翌火曜が休館
料)一般¥1,400

⚫︎問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.operacity.jp/ag

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「もの」の意味を解くマテリアルとの対話。

『Material, or 』

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一部のつくり手がデザインを担うことで、使い手側が、「もの」が「もの」となる以前の「マテリアル」と対話することが難しい現代の社会。ディレクターに吉泉聡(TAKT PROJECT)を迎える本展では、素材の意味を剝ぎ取り、原初的な感覚のやり取りから、身体的で深い対話がなされる必要を訴える。吉泉は、特定の意味を持たなかった「マテリアル」が、人や生物との関わりの中で、「もの」へと繋がる意味が付与され、「素材」となると考える。自然や社会の持続可能な環境をめぐる問題が提起されるいまだからこそ、私たちとマテリアルの繋がりを、地球を巡る果てしなく広大な物語から読み解き、再発見することを試みる。

『Material, or 』
会期:開催中〜11/5 
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2(東京・六本木)
営)10:00〜18:30 最終入場
休)火
料)一般¥1,400

⚫︎問い合わせ先:
tel:03-3475-2121
www.2121designsight.jp/program/material

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大正の起業家が共感した画家たちの心意気。

『モネ、ルノワール 印象派の光』

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印象派の画家たちが活躍した19世紀後半のパリは、オスマン男爵による都市の大改造計画によって市民生活が大きく変化し、それに呼応するように伝統的な絵画の技法や制作態度も革新的な変貌を遂げた時代だ。同館創設者の松岡清次郎もまた、技術革新により人々の暮らしが激変した20世紀に生き、100年にわたり日本人の生活を支える数々の事業を遺した。同館所蔵の西洋絵画のコレクションから、モネ、ルノワールをはじめとするフランス印象派・新印象派の絵画が一堂に会する本展。起業家であった清次郎が、画家たちの生活への眼差しや新たな芸術表現を生み出そうとする心意気にシンパシーを感じ、コレクションをとおして見いだした理想の美を追体験したい展覧会だ。

『モネ、ルノワール 印象派の光』
会期:開催中〜10/9
会場:松岡美術館(東京・白金台)
営)10:00〜16:30最終入場 ※第1金曜のみ10:00〜18:30最終入場
休)月 ※月曜が祝日の場合、翌火曜が休館
料)一般¥1,200

⚫︎問い合わせ先:
tel:03-5449-0251 
www.matsuoka-museum.jp/contents/7562

*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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