仕事が私にくれたもの:ファビエンヌ・モニー ディプティックのこれからを語る、CEOファビエンヌ・モニー。
Culture 2023.10.22
香りの楽しみ方は生活様式とともに変化する。
だからディプティックも進化を止めない。
「サン・ジェルマン大通り34番地にあるブティックを初めて訪れた時に感じた香りの豊かさ、そしてスタッフの知識の高さに触れ、感動したことをいまも鮮明に覚えています」とファビエンヌ・モニー。彼女の心を一瞬にして掴み、いまでも離さないのがディプティックだ。60年前にオリジナルキャンドルを発売し、現在でもさまざまな形で香りを提供するフランス屈指のメゾンにて、彼女は現在パリ本社CEOを務めている。そのディプティックが今夏、東京でポップアップイベントを開催。パリの街を香りで体感する旅をテーマにした大がかりなイベントは、大成功を収めた。
「この催しは東京から開始しました。20年前、ディプディックがアジアで初めて上陸したのが東京。この街は、我々にとって特別な場所です」
---fadeinpager---
昔に比べ日本でも暮らしにキャンドルを取り入れる人が増え、いろいろな香りを場によって選ぶ楽しさを感じてくれているのではないか、と彼女。
「約50種類のフレグランスキャンドルからライフスタイルやムードにあった香りが見つかる幅広いラインナップも、ディプティックの魅力です。調香して、ワックスを流し込んでも、その香りが保たれるキャンドルを作る熟練の職人技も我々の宝」
ディプティックでは、いまでも60年前と変わらぬ伝統的な手法と哲学で美しく焚き、美しく香り、そして心地よく拡散されるキャンドルを作る。
「伝統を守ることと同時に進化を続けることも重要です。香りの楽しみ方は、生活様式の変化とともに進化していかなくてはいけない。常に新しさを意識したものづくりを心がけています」
そんな忙しい日々を送る彼女にとっても、香水やルームフレグランスなどの香りは必要不可欠だ。
「私自身は、季節を感じるキャンドルを選ぶことが多いです。香りは瞬時に、私たちを別の世界に連れて行ってくれる。私たちは、これからも人生を豊かにする香りをさまざまな形でお届けします」
*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami photography: ©Diptyque