ハリー・ポッターのスタントで半身不随になった青年のドキュメンタリーが公開に。

Culture 2023.11.15

映画『ハリー・ポッター』シリーズでダニエル・ラドクリフのスタントダブルをずっと務め、撮影現場で事故に遭った男性がいる。その半生を辿ったドキュメンタリー映画が米国で11月15日、HBOにて配信開始される。

 

『ハリー・ポッター』シリーズでは、超自然的な人物が次々と登場する。彼らは人間の限界を超え、魔法の杖をひと振りすれば、どんなとんでもない状況からでも抜けだすことができる。だが思いもよらない残酷なやり方で現実がのしかかってくる場合もある。主役ダニエル・ラドクリフのスタントだったデヴィッド・ホームズは、『ハリー・ポッター』シリーズ最終作の撮影中に重傷を負った。『David Holmes: The Boy Who Survived (原題:デヴィッド・ホームズ、生き延びた少年)』は、半身不随となった彼の半生に焦点を当てたドキュメンタリー映画だ。

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知られざる存在

このドキュメンタリーにはダニエル・ラドクリフが自ら制作総指揮に加わっている。11歳でハリー・ポッター役に選ばれた時から自分のスタントを務めてくれた人の生き様を伝えたい。そんな思いで作られたドキュメンタリーは、2001年に公開されたシリーズ1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』から最終作撮影中に起きた恐ろしい事故まで、デヴィッド・ホームズの姿を捉える。ヒットに恵まれた『ハリー・ポッター』シリーズ10年の歴史の間に撮られた数多くの記録映像の助けを借りて映しだされるのは、冗談好きで俳優たちとの仲が良い若いスタントマン、ホグワーツの魔法使いの冒険に長年参加できたことに感謝する陽気な人物だ。とりわけ親しかったダニエル・ラドクリフはドキュメンタリーの中で一緒に過ごした数々の楽しい瞬間や、撮影中にデヴィッド・ホームズを襲った重大な事故を回想する。

2009年、シリーズ最終作『ハリー・ポッターと死の秘宝』の撮影中、デヴィッド・ホームズはスタント中に首を骨折し、半身不随の身となった。そんな悲惨な状況でもデヴィッドは常に前向きに生きようと務め、不幸を嘆くよりも自分の恵まれている部分に目を向けつづける。決してお涙頂戴に陥らず、感動を呼ぶこのドキュメンタリーは、魔術好きであろうとなかろうと見る価値がある。諦めないという魔法はスクリーンの中でどのように作用するだろう。

text: Gaspard Couderc (madame.lefigaro.fr)

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