この冬訪れたい、注目のアート展覧会4選。
Culture 2023.11.24
モネの「連作」が映し出す画家の探究精神。
『モネ 連作の情景』
自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、柔らかい色使いとあたたかい光の表現によって、自然の息遣いを感じさせる数多くの作品を残した印象派を代表する画家のひとり、クロード・モネ。展示作品すべてがモネ作品という貴重な機会となる本展では、モネの代名詞として日本でも親しまれる〈積みわら〉〈睡蓮〉などをモチーフとした、戸外制作の「連作」に焦点を当てる。同じ場所やテーマに基づき、異なる天候・時間・季節を通して、一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」は、移ろいゆく景色とそのすべての表情を描き留めようとしたモネの「時」と「光」に対する探究心を感じさせると同時に、画家としての芸術的精神を色濃く映し出す。
会期:開催中~2024/1/28
会場:上野の森美術館(東京・上野)
営)9:00~16:30最終入場 ※金、土、祝は18:30最終入場
休)12/31、1/1
料)一般¥2,800 ※土、日、祝は¥3,000
⚫︎問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.monet2023.jp
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ガラスの中に見出した森羅万象の変成。
『宮永愛子 詩を包む』
日用品をナフタリン、樹脂、ガラスでかたどった彫刻や、塩、葉脈を用いたインスタレーションを通して、「変わりながらあり続ける」存在を視覚化する宮永愛子。何気ない日常の出来事をすくい上げ、息を吞むような美しい作品へと昇華させてきた。日本を代表するガラスに特化した美術館で開催する本展を機に、ガラスという素材に対峙した宮永は、水や空気、歴史をも内包する新作を発表する。繊細で移ろいやすい素材を扱い、「儚さ」という言葉で語られることが定説だった彼女の創作は、近年、物質のなかに人の生活や移動にも似た変成を見出し、弾力性に富んだ強靭さを纏う。それらが残していく気配の痕跡には、詩的に可視化された「時」と「記憶」が通奏低音のように響いている。
会期:開催中~2024/1/28
会場:富山市ガラス美術館(富山・富山市)
営)9:30~17:30最終入場 ※金、土は19:30最終入場
休)第1・3水曜(1/3は開場)、12/29 ~ 1/1、1/10
料)一般¥1,200
⚫︎問い合わせ先:
tel:076-461-3100
https://toyama-glass-art-museum.jp/exhibition/exhibition-5655
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テキスタイルと芸術・デザインの融合。
『FUJI TEXTILE WEEK 2023』
千年を超える織物の産地、山梨県富士吉田市の産業の歴史を根底に、伝統産業と地域の活性を目指す国内唯一の布の芸術祭。織物事業者と国内外のアーティストがコラボレートし、テキスタイルを軸にした作品を展示する「アート展」、そして生産者とのビジネスマッチングを実現する「デザイン展」の二本柱で開催される。今年のテーマは「BACK TOTHREAD /糸への回帰」。織物産業の主な工程である養蚕・紡績・染色・織りを担ってきた当地が、社会の変化とともに糸の多くをほかの地域から輸入するようになり、糸の仕入れに大きく影響を受けるようになった背景と、素材を巡る環境問題への関心にも着目。ものづくりの原点にフォーカスしたプログラムの数々が展開される。
会期:開催中~12/17
会場:山梨県富士吉田市(山梨・下吉田)
営)10:00~各会場への入場は15:30まで
休)月
料)一般¥1,200
⚫︎問い合わせ先:
info@fujitextileweek.com
https://fujitextileweek.com
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現実世界の未知の足場を可視化する試み。
『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』
環境問題などの社会課題やサステナビリティへの継続的な取り組みで世界的に注目されるアイスランド系デンマーク人のエリアソン。自然現象やその要素である色や光、動きが導く知覚体験を通して、世界の在り方や自然との関係性について新たな解釈を促してきた。本展では、当館オープンに伴い、初めて再生金属を用いて制作されたパブリックアートを軸に、光と水を使った大型インスタレーション、複雑に屈折する光を内包する幾何学的な立体作品、太陽光や風といった動力で描いたドローイングを公開。自然現象から幾何学、物理や動作パターン、色彩学に関する研究に裏付けられた知覚に訴えかける作品群が揃う。現実世界の「未知の足場」を想像力により可視化する試みに刮目したい。
会期:開催中~2024/3/31
会場:麻布台ヒルズギャラリー(東京・虎ノ門)
営)10:00~18:30最終入場 ※火は16:30最終入場、金、土、祝前日は19:30 最終入場
休)1/1
料)一般¥1,800
⚫︎問い合わせ先:
www.azabudaihills.com/azabudaihillsgallery/sp/olafureliasson-ex
*「フィガロジャポン」2024年1月号より抜粋
text: Chie Sumiyoshi