Kバレエ・オプト、ヤングケアラーのシンデレラとは?

Culture 2023.11.28

熊川哲也 Kバレエ・オプトが、現在、社会問題にもなっているヤングケアラーを主人公に新たな"シンデレラ"像を描く『シンデレラの家』を来年4月27日から上演する。その前売りチケットを、ただいま先行発売中。

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メインビジュアルは、イラストレーターのヒグチユウコが描き下ろした。トップクリエイターが集結した本公演は、注目度大。Illustlation : Yuko Higuchi

プラスチック汚染を描いた前作「プラスチック」が、英紙「The Guardian」に特集されるなど、国際的にもその取り組みが注視されるKバレエ・オプト入魂の最新作となる『シンデレラの家』。本作は、ヤングケアラーの少女を主人公に描く現代の「シンデレラ」。誰もが知る名作「シンデレラ」が下敷きではあるが、原案となる詩集『シンデレラにはなれない』を書き下ろした最果タヒが描いたのは、おとぎ話とはまったく異なる現代のシンデレラ像。家族との「愛」と「憎しみ」のはざまに生きる少女が見つけた愛の逆説と希望のストーリーとなっている。

「幸せになりたい、と願えることはそれだけで恵まれていることだと思います。自分が幸せを願ってもいい存在だと思えることは、それだけである一つの自由を得ていると思う。
当たり前のことに思えるその願いを、まず『願っている』と言えない人がいて。その人が言葉にするのをやめてしまった気持ちを、言葉にしないで置いてきたからこそ、なんの形にもなれずただ揺らめいている海の中の陽の光のようなその感情を、固めないで、決めつけないで、詩の言葉にできれば、と思いました。
ヤングケアラー、と言っても、一人一人の『私』『ぼく』がいて、『ヤングケアラーの話』ではなく、無数の『私の話』『ぼくの話』がある。踊ることも、詩も、一つの代表としてものを語るのではなくて、ゆらめく無数の『私』と『ぼく』をそのまま表せるものだと私は思います。だからこそ、届くものがあると信じています」と公演に寄せて、最果タヒは想いを綴る。

Kバレエ・オプトの第3作目となる今作は、振付・演出を若き俊英のジュゼッタ・スポッタが担当。演奏は古い電化製品を「電磁楽器」に蘇らせ演奏する異才の音楽家、和田永、衣裳は気鋭のデザイナー、進美影、そしてダンサーには森優貴と酒井はなが参加。各分野の最前線で活躍する才能が集結するのもこの舞台への期待をさらに高めてくれる。

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ジュゼッペ・スポッタ:振付家。2002年にバレット・ディ・ローマに入団。イタリア国内で活動後、ドイツへ渡り、2010年ヘッセン州立劇場バレエ団に入団、芸術監督のシュテファン・トスに感銘を受け、振付活動を始める。11年、トス振付の『Blaubart』に出演後、ドイツで最高峰の芸術賞である「ファウスト」賞受賞。同年ハノーバー国際振付コンクール2位入賞。2019年よりMiRダンス・カンパニー ゲルセンキルヒェンの芸術監督を務める。ヨーロッパで再注目の若き俊英振付家として活躍中。

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最果タヒ(さいはて・たひ):詩人。2004年よりインターネット上で詩作を始める。06年現代詩手帖賞受賞。07年第一詩集『グッドモーニング』刊行。同作で中原中也賞受賞。15年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞受賞。その後も詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』が映画化されるなど、新しい詩の運動を巻き起こす。現代日本を代表する詩人である彼女のレトリックを抑えたストレートで鋭い言葉が、どのような舞台演出へと昇華されるのか期待が高まる。

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和田 永(わだ・えい):アーティスト、音楽家。大学在籍中より音楽と美術の領域で活動を開始。2009年よりOpen Reel Ensemble、Braun Tube Jazz Bandとして活動。2015年より古い電化製品から新たな「電磁楽器」を創作しオーケストラを形作るプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」を始動、第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。現代アートの旗手として彼のパフォーマンスは常に注目を集めるが、本作では特に音楽家としてのずば抜けた閃きが発揮される機会となるに違いない。

Orchardシリーズ
K-BALLET Opto『シンデレラの家』
In association with PwC Japan グループ


日時:2024年4月27日(土)15:30開演、28日(日)12:30 / 17:00開演、29日(月・祝)12:30 /17:00開演
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
東京都豊島区西池袋1-8-1
チケット料金:S¥9,000、A¥7,500、B¥3,000
一般発売:2023年12月16日(土)
*MY Bunkamuraにて先行発売受付中。
問い合わせtel : Bunkamura 03-3477-3244(10:00〜18:00)
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/24_opto_cinderella/

 

text:Natsuko Kadokura

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